木嶋のりこ×梶野竜太郎「激しすぎる”アイドル愛”が少女を女優に変えた!?」
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「主人公にはセーラー服を着せる。それを配給会社から断られたら、この映画は撮らないつもりでした」
何のてらいもなく、そう言い切る男がいた。梶野竜太郎──並々ならぬ”アイドル愛”で映画『ピョコタン・プロファイル』を完成させ、昨年11月に公開されるやいなや、秋葉原を中心としたアイドル映画シーンを席巻した映画監督である。
今回は、『ピョコタン・プロファイル』のDVD化を記念して梶野竜太郎監督と、その激しすぎる”アイドル愛”の犠牲となった……じゃなくて、主演に抜擢された木嶋のりこちゃんを迎え、緊急対談企画をセットした。
稀代のアイドルヲタを自認する映画監督の恍惚と、その熱を受けて一心にスクリーンを舞った美少女の偽らざる本音が炸裂したガチンコトークの一部始終。開幕です!
──まずは監督、木嶋さんをキャスティングしたきっかけを教えてください。
梶野 僕ね、アイドル雑誌の『Cream』(ワイレア出版)を創刊号から全部持ってるんですよ。で、のりちゃんを見て、うわっ! うわーっ! この子、超カワイイなぁーと思って、でも芝居できなきゃ意味ないじゃないですか。それで、下手でもいいからちょっとでも芝居に興味あったらいいなぁと思って、捕まえたんです。
木嶋 捕まっちゃいました(笑)。
梶野 それで、聞いたら演劇部だったっていうんで、超ガッツポーズですよ。だって何十人、何百人いるグラビアアイドルのなかで、この子イイ! と思っても芝居に興味がある可能性なんて低いじゃないですか。とりあえずもう、この時点で大・抜・擢!
木嶋 私がもともとこのお仕事を始めたのが、女優さんになりたいっていう気持ちからだったので、お話をいただいたときは、お芝居の仕事で、しかも劇場公開映画で、主演でっていう、もう夢のような気持ちでした。
──実際に監督とお会いになった印象は?
木嶋 初めて会った感じがしない監督だなって思いました(笑)。すごく説得力があって、パワーを感じたというか……。
梶野 だって、すげぇ出て欲しかったんだもん! 結局僕ね、この仕事しててもミーハーなんですよ。超カワイイ! って思ってた子が生でポンと現れたら、もうテンション上がりますよね。
──その木嶋さんのセーラー服姿には、監督のこだわりが反映されているというお話ですが。
梶野 そう、セーラー服ありきです。セーラー服の良さは、こう腕を上げるとウエストが出るじゃないですか。
木嶋 うふふ。
梶野 でも、あんまり「上げたら出る」っていうのは白々しい画になるので、実は極力避けてるんですよ。上げてないのにちょっと出る、っていうのがポイントなんです。このパッケージもそうなんですけど、2mm、2mmですね、軽ーくのりちゃんのおヘソが出てるんです。これ以上出ると下品なんです。
──すごい真面目な顔でしゃべってますよね。
梶野 真面目ですよ!
木嶋 私、このポスターに決まったときにも同じことを力説されました(笑)。
梶野 この、自然なんだけどちょっと出てるのが、もうカンペキなんですよ。洞穴から光が出たような感じです。
──しかも裸足ですが。
梶野 そう。この違和感がイイんですよ。雑誌とかでもあるじゃないですか、スク水なのに上だけ着てるとか。そういうのです。
木嶋 私、「気合」かと思ってました。地球を救うために裸足で立ち上がるぞって。
梶野 違う、それはけっこう違う。かわいいのが最強なんです。
──そうした監督のこだわりを聞いて、木嶋さんはいかがでした?
木嶋 あー、うーん、なんというか、本当にアイドルが好きなんだなぁって思いました。すごくアイドルに詳しいし、お仕事じゃなくて本心から好きなのがすごく伝わってきて。だから撮影のときも、ただお芝居を撮るんじゃなくて、女の子をかわいく撮るっていうことを重視してくださってて、うれしかったです。自分の見せ方を勉強させていただきました。はい。
梶野 アイドル好きってことで言えば、初日の舞台挨拶のときに、のりちゃんが号泣してたんですよね。僕もちょっとウルウルは来てたんですけど。あのときに、のりちゃんが泣いてくれたことで、あぁーこの映画やってよかった! って心底思いました。木嶋のりこを泣かせたぞ! と。
──それはアイドル好き冥利に尽きますね。
梶野 もうたまんないですね。
──では、作品についてもお話を聞きたいと思います。ジャンルとしてはコメディ+SFということになるかと思うんですが、着想はどこから?
梶野 そうですね、基本はコメディで、ちょっとシュールな終わり方をしたいな、と思ってたんです。それで、肉付けしていくうちに、どこかの島で何かを探す話にしようと。
──それで、ゴムニク諸島で”ピョコタン”を探すという物語に。
梶野 キャラクターの着ぐるみと女の子のカラミって面白いじゃないですか。
──え、え?
梶野 あれ、伝わってない? あの、男と女の恋愛劇って、面白いのもたくさんあるとは思うんですけど、基本的にアイドルのファンにとっては、彼氏役っていらないんですね。でも、女の子と女の子のカラミだとポップになりすぎちゃう。それで、この女の子のファンも納得できる生命体って何だろうって考えたら、架空の生き物なんです。だって、ピョコタンとのりちゃんがいくら抱きつこうが、ファンは嫌じゃないでしょ? そうすると、きれいなシーンしか残らないんですよ。
──なるほど、納得しました。SF的要素についてはモチーフがあるんでしょうか。
梶野 そうですね、けっこうリスペクトしている作品が多くて、それを僕のテイストに変えたらどうだろうっていう肉付けをしている感じですね。
──木嶋さんは、最初に脚本を読んだときはどんな印象を持ちました?
木嶋 私はけっこう喜怒哀楽が激しいので、この主人公に似てるなーって思いました。あと、最後のシーンが「あ、え!?」みたいな感じだったので、早くやりたい! っていうのがすごく強かったです。
梶野 最後のシーンはすごく重要でしたね。何回もテイクを重ねて、いいシーンが撮れたと思います。のりちゃんの走り方がすごくヘンでしたけど、それも含めて。
木嶋 えー!? ヘンなんですか?
梶野 ヘンでしょ。
──ヘンでした。
木嶋 うそぉー! そんなにおかしかったですか?
梶野 事務所の社長から、走り方おかしいよ、とは聞いてたんですけど、想像を超えてました。
木嶋 そんな……どこがヘンなんだろ。
梶野 見ればわかるじゃない(笑)。ぴょこぴょこぴょこって、タラちゃん的なSE(効果音)入れたくなるような。
木嶋 そんなぁ……。あ、そういう意味でも「ピョコタン・プロファイル」なんですね!
梶野 ん、ん?
木嶋 うまくまとめました。
──えーと、だいぶまとまってない感じですので、最後に今後のことについても伺いたいと思います。木嶋さんは今回主役を演じて、井口昇監督の『片腕マシンガール』にも出演するなど、日本映画界で存在感を示し始めていると思うのですが、今後の展望を聞かせてください。
木嶋 もうとにかく、日々勉強中ですので、いろんな役を演じたいな、と思ってます。あと、私もすごく書くことに興味があるので、いつかは自分で書いて、演じて、その両方やりたいという夢があります。
──監督脚本主演。
木嶋 はい、勉強していきたいです。
──では監督、次回作『魚介類 山岡マイコ』はどんな作品でしょうか。
梶野 世界で初めて魚介類として認められた女子高生の話です。見た目は普通の女の子なんですけど、魚なんですよ。魚なので、乾くと死んじゃうんです。今回のテーマは80分間、とにかく濡れた制服の女の子が見たいっていう、非常に分かりやすい作品です。
──確かに分かりやすいです。今後もアイドル映画にこだわっていく。
梶野 とりあえず、答えを出すまではこれでやりたいと思っています。映画好きなので、男二人の刑事モノを撮りたいとか、そういう気持ちもありますけど、まずはアイドルムービーで「梶野竜太郎といえばこれだよね」という答えを出したい。それと、いまは自分に余裕がないので単なる構想段階なんですけど、いつか「東京国際アイドルムービーフェス」っていうのを主催したいという気持ちがありますね。近い作品を撮ってる監督さんはたくさんいると思うので、だったら一回集まってやろうよって。
(取材・文=編集部)
★サイン入りDVDプレゼント!
『ピョコタン・プロファイル』発売を記念して、日刊サイゾーより梶野監督、木嶋のりこちゃんのサイン入りDVDを1名様にプレゼントいたします。ご応募の〆切は11月27日(金)23時59分、当選の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。
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ピョコタン・プロファイル [DVD]
【ストーリー】友達のつみれと卒業旅行を計画していたさより。怪しい旅行代理店で、聞いたこともない島で”ピョコタン”という生物を捕獲するという、賞金付き探索ツアーを勧めらる彼女たちだったが…。
●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。
短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。第2回したまちコメディ映画祭 in 台東にて、新作『魚介類 山岡マイコ』を上映。2010年に長編版として劇場上映が予定されている。現在、ニコニコ動画チャンネル『魚介類TV』(毎週日曜日20時~)に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/
●きじま・のりこ
グラビアアイドル・女優。1988年長野県生まれ。
「全国女子高生制服コレクション05」で7テイルズを獲得。グラビア雑誌、イメージビデオを中心に”お菓子系アイドル”として絶大な人気を誇るかたわら、女優活動へ。『片腕マシンガール』(07)、『ピョコタン・プロファイル』(08)と相次いで劇場公開映画に出演、舞台にも活動の幅を広げている。
ブログは→http://blog.livedoor.jp/kijimanoriko/
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