市橋達也事件 リンゼイさんと「ディープキス」の核心に週刊誌が迫る!
#雑誌 #出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
●第21回(11月18日~11月24日発売号より)
第1位
「市橋達也容疑者とリンゼイさん『親密交際ディープキスビデオ』の核心」(「週刊ポスト」12月4日号)
第2位
「男を狂わす”ブサイク力”の正体」(「週刊プレイボーイ」12月7日号)
第3位
「フライデーが撮った『事件な熱愛』25年史」(「フライデー」12月4日号)
私も編集長をやったことがある「フライデー」が創刊25周年を迎えた。今号はその記念特大号。創刊されたのは「1Q84」年。迷宮入りになった「グリコ・森永事件」が起き、ロサンゼルス・オリンピックではアメリカのカール・ルイス選手が大活躍した年である。
芸能界では、松田聖子、中森明菜の全盛時代で、今年急逝したマイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」が発売3年目を経ても圧倒的な強さで年間アルバムチャート1位を制した。
この記念号の中で、やはり一番見応えがあるのは、「フライデー」張り込み班が撮った「珠玉」の熱愛写真とその裏話だろう。8カ月の張り込みの末に撮れた「反町隆史と松嶋菜々子」、怪我の功名で撮れた「浜崎あゆみと長瀬智也」など、どれも逸品ぞろいだが、見ているこちらまでドキドキする「衝撃路上キス」は、不倫の女王・山本モナと、今は民主党の要職に就いている細野豪志衆議院議員である。
数々のスクープをものにしたフライデー取材陣の努力に頭が下がる。今週もKAT-TUN田中聖と人気グラビアアイドルの「極秘ハワイ旅行」をスクープ撮しているが、こうした張り込みネタでも部数は伸びなくなっているようだ。
”張り込みよ、永遠なれ”というつもりはないが、昔は、努力と部数が結びついてた「フライデー」にとってつくづくいい時代だったと思う。
豊島区と鳥取県に住む34、35歳の豊満女性と、彼女たちに関わってきた男たちの不審死が話題だが、警察の捜査もなかなか進まないようだ。情報が途切れたとき、週刊誌は何を考えたらいいのか。その例が、「朝日」と「プレイボーイ」にある。
なぜ、豊満ではあるが、どう見ても美形ではない二人がモテたのか。朝日は、そこには7つの法則があると、アラサーの本誌記者がルポしている。中でも、「法則1 ブスなら太れ」が面白い。作家の岩井志麻子さんは「私がよく行く新宿2丁目の格言でね、『ブサイクなら太れ』っていう言葉があるんですわ。一言で表したときに『ブサイク』というジャンルに行くより、『デブ』のほうが需要がある」というのだ。法則4は、「不景気なときほどデブがモテる」という。元銀座ホステスでエッセイストの蝶々さんが、「男の人って社会的な生き物だから、どこかで自分のほうが上だと思えないとセックスできないんです。そういう人は太っている人のほうが安らぐんです」といっているが、分かるような気がする。
同じような企画だが、朝日よりプレイボーイを選んだのはズバリ、タイトルの勝利。「ブサイク力」とは言い得て妙だ。「愛嬌のあるブス、そしてセックス大好き、これで多くの男が落ちますね」とは、鳥取に住む豊満女性の元交際相手の言葉だそうだ。
この特集は二部構成になっていて、二部の「”小太り系”犯罪続発で『デブ専ギョーカイ』に激震走る!」が面白い。女二人の疑惑が広がる中、デブの女性ばかり集めた「デブ専」の風俗にも、ヒタヒタと影響は出始めているというのだ。デブ専キャバクラで働くDさん(29歳・76㎏)は、「事件以降、パーティに参加しても、白い目で見る男性ばかりが増えた感じがするし、声をかけられる数も少なくなった気がします」という。
風俗ライターの中目銀二氏はデブ専風俗の由来も教えてくれる。
「デブ専風俗は25年くらい前に大塚・鶯谷でホテトルをやっていた人がデブばかりを集めたのが発祥といわれています。(中略)1店しかなくて大当たり! それが噂になって、その後、デブの店が増えてSMやヘルスに波及したとか。来る客も約9割がマニア。料金が安いから何度でも来やすいし、いろんな女の子と遊びやすい」
思い出した。月刊誌編集部にいる頃、太った女の子ばかり集めている風俗ができたと評判で、女性ポルノ作家の丸茂ジュンさんと一緒に鶯谷に取材に行ったことがあった。私にその趣味はないが、太った女の人たちがみな、風俗嬢らしくなく、おっとりしていて優しそうだったことを覚えている。そういえばモナリザもハワイの女性も土偶も、みんなポッチャリ系。デブ・イズ・ビューティフルの時代到来、ということは今が大不況だということか。
今週の1位は、逮捕後、食事を拒んで、事件のことも一切話そうとしない市橋達也容疑者にまつわる仰天情報。
事件から1カ月が過ぎた07年の5月。千葉県警の捜査員に協力を求められたという男性は、市橋容疑者やリンゼイさんの写真を何枚も見せられたという。そして、捜査員から「このビデオを観てほしい。ただ、口外はしないと約束してほしい」といわれ、衝撃的なビデオを見せられたという。それはエレベーターの防犯カメラに写っている二人の姿だった。
「二人は、ドアが閉まると抱き合って、キスし始めたんです。女性が拒んだり嫌がっている様子はなかった。まるで外国映画のラブシーンのように濃厚なディープキスをしながら、体をまさぐりあっていた」
まるで付き合い始めたばかりの恋人同士のようだったというのだ。この証言が本当だったとしたら、事件の様相はだいぶ変わってくるのかもしれない。なぜそのように愛しい彼女を殺さなければならなかったのか。どんな諍いが二人の間にあったのか。整形までして逃げ延びようとした市橋容疑者の強い意志は、どこから来ているのか。
彼の口から真実は明かされるのか。この取り調べの様子こそ、可視化してもらいたいものである。
(文=元木昌彦)
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。
【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
楊貴妃もポッチャリ系だったそうです。
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