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映画『グワシ!楳図かずおです』公開記念インタビュー

噂の”まことちゃんハウス”大公開! これが楳図かずお先生の最新作なのら(前編)

umezu_01.jpg楳図かずお先生の新宅”まことちゃんハウス”にて。ご自慢のステンドグラスをバックに
“グワシ”ポーズ。日々の生活からアートパフォーマーとして活動しているのだ。

 観る者の心をグワシッと掴む天才漫画家・楳図かずお。それは、コミックだけに限らない。紅白のボーダー柄で吉祥寺名所となっている”まことちゃんハウス”は、楳図先生が様々なアイデアを凝らした最新作であり、3D化した楳図ワールドでもあるのだ。11月23日(祝)より下北沢トリウッドで公開されるドキュメンタリー映画『グワシ!楳図かずおです』は、そんな楳図先生の素顔や完成したばかりの”まことちゃんハウス”の様子を伝えるもの。映画公開を祝して、渡辺篤史よろしく”まことちゃんハウス”を探訪したのだ。

──楳図先生、お邪魔します。いや~、実にすばらしいお宅ですね。紅白柄のおめでたいデザインも素敵ですが、吹き抜けのリビングの一面には大きなステンドグラスがあり、とても明るくファンタジック。住み心地はいかがですか?

umezu_02.jpg“まことちゃんハウス”に到着なのら

「バッチリです。隅から隅まで自分が気に入るように造りましたから、気持ちいいですよ~。特にどこがいいかと言うと、家全体がワンルームになっているので、家の端から端まで見通せるんです。1階は吹き抜けになっているので閉塞感がありませんし、2階には渡り廊下があるので、行き止まりがなくて、ず~っと家の中を巡回できるんですよ~」

──なんと、鏡の向こう側にも行けちゃうそうで。

「はい、階段の踊り場にある鏡は隠し扉になっていて、鏡の向こう側にも行けるんですよ~。パーティーをやるときは階段の踊り場をステージに見立てて、鏡の部屋を楽屋代わりにして飛び出すことができて楽しいんです。せっかく階段を造ったのに、ただ上り下りするだけじゃつまんないですからね」

──なるほど、まことちゃんハウスでの生活は、毎日がショー感覚なんですね。本棚を見れば、その人の頭の構造が分かるなんて言いますけど、まことちゃんハウスも楳図先生の脳内世界に足を踏み入れたような気分になります。

「ようこそ、いらっしゃいました(笑)。まぁ、作品もひとつの脳内世界ですよね。ボクの脳内にあるイメージを漫画にして、外に出しているわけです。漫画家はみなさん、そうだと思いますけど」

umezu_06.jpg上/赤白ボーダーのスリッパ群がお出迎え
中/白亜です
下/ステンドグラスすごい

──まことちゃんハウスは、楳図先生の最新作と言ってよさそうですね。

「はい、ボクの最新作です。家全体がボクの作品だと言えるし、ステンドグラスにはボクが14歳のときに描いたデビュー作『森の兄妹』(小学館)が描かれていますし、階段は『おろち』(同)に出てくる洋館の階段がモチーフになっています。ボクの作品ひとつひとつが家になっているんですよ」

──楳図先生のオフィシャルホームページを制作している伊藤弘二氏が、今回の『グワシ!楳図かずおです』を2年がかりで撮ったわけですが、映画を観ている観客も楳図先生のホームパーティーにお呼ばれしたようなアットホームさのあるドキュメンタリーになっています。

「そうですか、それはよかった。実はボクは観てないんですよ(笑)」

──自身のドキュメンタリーなのに、どこまで撮影され、どう編集されているのか気にならないんですか?

「ボクは、自分の作品もほとんど読み返さないし、テレビ番組に出演しても見ないんです。漫画の場合は、常に次の作品、新しい作品を描かなくてはいけなかったわけで、その繰り返しで今日まで来たんです。編集者から『この話は危ない』と注意されても、『今、ここで描かなくてどうするんだ!?』という意識で振り切って描いてきました。テレビなんかに出演するときも、恥も外聞も忘れて思いっ切りやるようにしているんです。それで、作品も出演番組も、自分で見直すことはしないんですよ~」

──漫画界のパイオニアならではの前向きな姿勢ですね。ドキュメンタリーでは伊藤監督に自由に撮影させたわけですか。

umezu_05.jpg天井には『闇のアルバム』。

「自由に撮らせたというよりは、いつの間にかカメラが回っているんですよ(笑)。伊藤監督は空気みたいな方で、話し方も『今から取材します』というトーンじゃなくて、いつもと全然変わらないんです。ボクがイラストを描いたり、ダンスの練習をしているところを撮っているようですが、ボクにとっては当たり前の日常風景。まぁ、今まで他の人にお見せする機会がなかったので、傍目から観れば珍しい映像なのかもしれませんね」

──テレビやドキュメンタリーでまだ見せてない、天才クリエイターとしての”裏の顔”はあるのでしょうか?

「ボクには”裏の顔”はないですよ~! かなり自然体で生きています。ボクは本当に”ノープライバシーの男”なんです。高尾山にある別宅なんか、外から内側が見放題ですよ(笑)。ボクがご飯を食べている様子が、周囲から見えちゃうぐらいですから」

──蜷川実花写真集『UMEZZ HOUSE』(小学館)では、入浴シーンも披露していますしね。

「そうなんです。ボク、すぐ裸にされてしまうんです(笑)。この間は年末放送の『ガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)の収録で大変な目に遭ってます。300mの高さからロープで吊るされちゃいました」
後編につづく/取材・文=長野辰次)

『グワシ!楳図かずおです』
漫画家・楳図かずおにとって、初となるドキュメンタリー映画。現在休筆中の楳図先生がイラストを仕上げていく過程をはじめ、”まことちゃんダンス”の練習に励む姿、5カ国語のラジオ講座に耳を傾ける様子など、天才クリエイターの日常生活に密着。”まことちゃんハウス”の通称で親しまれている自宅が造られていくメイキング映像としても興味深い。
監督・撮影・編集/伊藤弘二 音楽/大内勇太 出演/楳図かずお、祖父江慎、竹熊健太郎 配給/トリウッド 11月23日(月)より下北沢トリウッドにてロードショー公開。初日には出演者による舞台挨拶あり。
http://gwashi.com/

うめず・かずお
1936年和歌山県高野山生まれ、奈良県育ち。14歳のときに描いた『森の兄妹』と高校2年のときに描いた『別世界』が1955年に出版され、プロデビュー。以後、『へび少女』(小学館)『半魚人』(講談社)など数多くの恐怖漫画で絶大な人気を得る。長編『漂流教室』『わたしは真悟』『14歳』(すべて小学館)は”現代の予言書”と称したくなるほど時代を先取りした内容。また、1975年にはLP『闇のアルバム』(ソニーミュージック)をリリースするなど、ミュージシャンとしての才能も発揮している。楳図作品を原作にした映画に『蛇娘と白髪魔』(68)、アニメ『まことちゃん』(80)、『漂流教室』(87)、『洗礼』(96)、『楳図かずお恐怖劇場』(05)、『猫目小僧』(06)、『神の左手 悪魔の右手』(06)、『赤んぼ少女』(08)、『おろち』(08)がある。

蜷川実花写真集『UMEZZ HOUSE』

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最終更新:2009/11/24 20:06
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