「大物保有も資産価値は未知数……」ビクターエンタテインメント売却は前途多難か
#音楽業界
サザンオールスターズ、SMAPらが所属する大手レコード会社、ビクターエンタテインメントの身売り話が11月4日に浮上。同日付の読売新聞朝刊は、ビクターエンタテインメントの親会社であるJVC・ケンウッド・ホールディングスが、同社の持ち株の過半数をゲームソフト会社のコナミに売却する意向であると報じた。JVC・ケンウッド・ホールディングスは即座に「そのような事実はない」とのコメントを発表したが、音楽業界では「売却話がいよいよ動き始めたか」と捉えられている。
「親会社だった日本ビクターの経営が悪化した5年ほど前から、ビクターエンタテインメントの身売り話は度々ささやかれてきました。真相は不明ですが、05年には堀江貴文氏率いるライブドアに買収されるとの報道が一部の週刊誌でありました。その後、日本ビクターはケンウッドと合併。既存事業の選択と集中を進める同グループにあって、身売り話が具体化するのも時間の問題だと見られてきたのです」(音楽関係者)
前述の通り、サザンオールスターズやSMAPといった超大物アーティストが所属する同社。さぞかし豊富な原盤権等を保有しているかと思いきや、「原盤権についてはマネジメント事務所と折半しているケースが多く、ビクター社の資産価値は未知数」(前出関係者)であり、他のレコード会社が買収に二の足を踏む一因ともなっているという。これまで同社の売却先候補として業界トップスリーの一角であるエイベックス、ユニバーサルミュージックの名も挙がったが、いずれも実現には至っていない。
また、読売新聞が報じた売却先のコナミについては、「他業種の企業が老舗レコード会社をうまくマネジメントできるのか」との声も聞こえてくる。
「音楽業界における権利関係は非常に複雑で、独特の力関係で結ばれた関係者が”あうん”の呼吸で利益を分け合っています。最近では、有名アーティストがさほど力のないレコード会社に所属するケースが増えていますが、これは事務所側がガッポリ取るためのスキームと見て間違いありません。事実、近年凋落傾向にあったビクターエンタテインメントには、そうしたメリットを見込んで所属しているアーティスト、歌手が多いといわれており、はたして同社の買収先が十分な利益を上げられるかどうか」(前出関係者)
音楽関係者の間では「ビクターエンタテインメント売却は既定路線で、あとは買い手が付くかどうかだけ」とも評される今回の騒動。かつての名門レーベルを引き受け、再生させる会社は現れるのか。
(文=石山博美)
サザンの懐はガッポガッポ?
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