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執拗に襲いかかる老婆から逃げ切れるか!? 痛快サスペンスホラー『スペル』

sub1_large.jpg(C)2009 Curse Productions LLC. All Rights Reserved

 映画界では、秋らしく恋愛モノや重厚な人間ドラマが市場に増えてきたが、そんなどことなく落ち着いた空気に強烈なパンチをかます、1本の痛快サスペンスホラーが11月6日から公開される。『スパイダーマン』シリーズで知られるサム・ライミ監督の最新作『スペル』だ。

 物語の主人公は銀行のローンデスクで働くOL、クリスティン(アリソン・ローマン)。同僚と昇進をめぐってライバル関係にあった彼女は、支店長に仕事のできるところをアピールするため、顧客の老婆ガーナッシュが嘆願する不動産ローンの延長を、心の中では彼女に同情しながらもきっぱりと断る。すると老婆は態度を豹変させ、クリスティンに襲いかかろうとする。警備員が老婆を取り押さえ、その場はなんとか無事に済むが、老婆の執念はそんなことでは収まらない。その夜、帰宅しようとしたクリスティンを人気のない駐車場で襲い、呪詛の言葉を吐きかける。その日から、クリスティンの周囲には次々と恐ろしい出来事が巻き起こり、彼女はなんとかその呪いを解こうとするのだが……。

 サム・ライミ監督といえば、『スパイダーマン』シリーズの世界的大ヒットで一躍ハリウッドのトップ監督の座についたが、もともとは『死霊のはらわた』『ダークマン』といったホラー色の強い作品でカルト的人気を誇った監督。そんなライミ監督が『スパイダーマン』という大作の3部作を終え(そろそろ『スパイダーマン4』の準備も始まっているようだが)、小粒ながらも自らの”原点”ともいえるジャンルに回帰したのが『スペル』なのだ。

 近年は『ソウ』や『ホステル』といった、リアルに痛い描写が満載のホラー映画も流行しているが、そうした残虐描写はないので苦手な人でも大丈夫。基本は主人公が暗闇で突然襲われるといったような古典的手法で驚かせるのが中心で、さしずめお化け屋敷感覚。99分間の上映時間の間、一難去ってまた一難という主人公の状況に、一緒にハラハラドキドキできる。ぜひとも映画館という暗闇の中で、大画面と大音響で体験し、ビックリドッキリしてほしい作品だ。

 クリスティンに呪いをかける老婆ガーナッシュの存在もある意味必見。銀行で、駐車場で、そして自宅でクリスティンに執拗に襲いかかる彼女は、よぼよぼの外見からは想像できない壮絶アクションぶりを見せつける。クリスティンとの取っ組み合いでは、思わず入れ歯や目玉も飛び出すほどの激しさで強烈極まりなく、ホラーと笑いは紙一重というのはまさにこのこと。老婆の突然の襲撃に一瞬ビックリしたあと、次は「ありえねー」という笑いすら起こる。

 遊園地に出かけて自分の足で歩いてお化け屋敷を体験するのも楽しいが、近所のシネコンで座って観ているだけで楽しめるアトラクションと考えれば、なかなか面白い。驚かされるのが平気で、ユーモアを理解できる人と一緒に見れば、さらに盛り上がること請け合いだ。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)

『スペル』
<http://eiga.com/movie/54661>

死霊のはらわた

スプラッター・ブームの火つけ役

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最終更新:2009/10/31 15:00
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