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海賊船で勝手にロック! 60年代の名曲で綴る青春群像劇『パイレーツ・ロック』

pirates-rock_1015.jpg(C)2009 Universal Studios. All Rights Reserved.

『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督最新作『パイレーツ・ロック』が10月24日より公開される。

 舞台は1966年のイギリス。ザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズが生まれ、世はブリティッシュ・ロックの全盛期。しかし、英国政府は「ロック=諸悪の根源」として、BBCラジオでのロックの放送時間を1日45分以下に規制していた。それなら政府の法が及ばない海上から勝手にロックを放送しちゃえとばかりに、英国近海に出没した「海賊ラジオ局」。船の中から24時間、自由にロックやポップスを流しつづけ、英国国民の大半がその放送に耳を傾けた。

 カーティス監督の前作『ラブ・アクチュアリー』といえば、クリスマスのロンドンを舞台に英国首相からフツーのOLまで、さまざまな人々の恋愛を描いた群像劇で、日本でも興行収入15.5億円のヒットを記録。観客、批評家双方からなかなかの高評価を得た作品だった。『パイレーツ・ロック』もまた監督が得意とする群像劇で、海賊ラジオ局の個性的な8人のDJやオーナー、人生経験を積むためにやってきた青年、ロックバンドのグルーピーさながらにDJたちに熱を上げる女の子たちなど、さまざまな人物が登場。そんな彼らの成長や友情、恋、親子愛、そして束縛されない自由と音楽を愛する心をたっぷりと描いているのだ。

 カーティス監督は本作が2作目だが、もともとは脚本家。映画ファンなら『フォー・ウェディング』『ノッティングヒルの恋人』『ブリジット・ジョーンズの日記』の脚本家として知っている人も多いはず。いずれもラブコメディの名作として名高く、それらの後に手がけた初監督作『ラブ・アクチュアリー』も、いまやクリスマスの名作恋愛映画として定番だ。カーティスが脚本・監督を手がける映画にハズレは少ないから、知らない人は覚えていて損のない名前だ。映画で活躍する前は、「ミスター・ビーン」などローワン・アトキンソンのTVコメディで脚本を書いていた人物で、それゆえに軽妙なコメディタッチも得意としつつ、下品にならないイギリスらしいユーモアとオシャレなセンスが光る。

 また、音楽がテーマの映画だけに、劇中には60年代の名曲がこれでもかと54曲も流れる。ザ・ローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「夜をぶっとばせ」、ザ・フーの「マイ・ジェネレーション」「恋のマジック・アイ」、ザ・キンクスの「オール・デイ・オール・ナイト」「サニー・アフタヌーン」などに始まり、他にもザ・ビーチ・ボーイズ、ヤードバーズ、クリーム、スモール・フェイセズ、ホリーズ、ドノヴァン、クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンetc……。誰もが一度は耳にしたことがある曲が満載で、映画を見ながら体がリズムに乗っていること間違いなし。また、女の子たちは当時大ブレイクしたマリー・クワントのミニスカートやホットパンツ、カラータイツ、ロングブーツといった装いで登場し、60年代のポップでカラフルなファッションも目にうれしい。

 折りしもビートルズのデジタルリマスター盤が大ヒットしている現在、60年代のカルチャーにどっぷり浸かれる、ご機嫌でハッピーな群像劇をぜひチェックされたし。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)

『パイレーツ・ロック』
<http://eiga.com/movie/54705/>

『パイレーツ・ロック』特集
<http://eiga.com/movie/54705/special>

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最終更新:2009/10/18 18:00
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