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夏未エレナ15才 寺山修司の舞台『中国の不思議な役人』で見せた”恐るべし”の妖艶

shuji0928.jpg寺山修司の伝説の舞台が32年ぶりに蘇る(撮影/阿部章仁)

 没後25年以上経っても人気が衰えない青森県生まれの劇作家・寺山修司が、32年前に手がけた伝説の舞台『中国の不思議な役人』。この秋全く新しい演出・キャストで蘇り、32年前と同じ東京・渋谷の「パルコ劇場」にて上演されている(10月4日まで)。

shuji0928_2.jpg撮影/阿部章仁

 寺山修司の世界は独特である。

 鬱蒼とした巣窟をうごめく魑魅魍魎。「犬」と呼ばれる頭を丸めた男たちと、妖しく客を誘う娼婦の間を厳しい鞭の音が響き渡る。

 物騒で恐ろしげな貧民窟の娼館に、たった一人売られた妹を救い出す為、女将校の陰謀に巻き込まれる兄。舞台中央を行きかうエキゾチックな帆船、風見鶏を頭に付けた小男、「私」という文字を切り抜く結核病みの娼婦。なにもかもが幻想的で暗い上海の街に美しい音楽が流れ、血を象徴する赤が目を突く。

 かつての前衛劇団、「天井棧敷」で繰り広げられた、妖艶で残酷な寺山修司の世界『中国の不思議な役人が32年を経て更に強烈に展開。俳優としても知られる演出家の白井晃が放つあっと驚く演出に、最初から最後まで驚かされっぱなしだ。

shuji0928_4.jpg撮影/阿部章仁

 日中戦争を挟んだ激動の中国・上海の娼館を舞台に、数奇な運命を辿る可憐な少女・花姚(かちょう)を演じる夏未エレナ。ドラマ、映画でも活躍する夏未が、”処女”を守り通すも”愛欲”に溺れていくエロティックな少女・花姚(かちょう)を体当たりで演じている。早熟な夏未は弱冠15才。不思議な生命を持ち、再生を繰り返す「役人」を演じる大俳優・平幹二朗から「首すじ」や「裸足の白い足」を愛撫され、体中のいたるところを触られるが、清純で妖艶な表情を見せる。若いながらも寺山修司の世界に傾倒している恐るべし15才である。

●没後四半世紀、寺山修司ブームが再び。公演ポスターから見るエロチシズム

 没後25年以上経っても人気が衰えない青森県生まれの劇作家、寺山修司。彼は1960年代後半~70年代にかけての日本がまだ不安定であった時代、若者が熱狂したサブ・カルチャーを代表する人物である。

 1983年(昭和58年)に、47歳で病死するまで”言葉の錬金術師”の異名をとり、膨大な量の文芸作品(小説・エッセイ・評論・戯曲・シナリオなど)を発表した寺山修司は、その一方で、映画・演劇なども幅広く手掛けた。「毛皮のマリー」(1967年)や、「身毒丸(しんとくまる)」(1978年)など、印象的な題名と内容を持つ実験的な演劇を、主宰する劇団『天井桟敷』で行って来た寺山修司。従来の演劇とは一線を隔した実験性にあふれた「アングラ演劇」を他の若手演劇家たちと共に確立、またこれらの演劇に使用されるポスターは、当時の時代を導くデザイナーによって生み出された。

shuji0928_3.jpgクリックすると拡大表示します

 センセーショナルな「アングラ演劇」の内容に負けない、強く視覚に訴えるこれらのポスターは、サブカルチャー全盛期を鮮やかに彩るものでもあった。『中国の不思議な役人』公演中のパルコ劇場からほど近い道玄坂にある「ポスターハリス・カンパニー」<http://posterharis.com/>は、『天井桟敷』を含むの演劇ポスターを数多く所蔵、展示している。公演を見た帰りに、寄ってみるのもいいかもしれない。(画像は現在開催中の宇野亜喜良展より。)

●『中国の不思議な役人』
http://www.parco-play.com/web/play/fushigi/index.html

ジャパン・アヴァンギャルド -アングラ演劇傑作ポスター100

サブカルの歴史、ぎっしり。

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最終更新:2009/09/28 15:00
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