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オタクなのにホスト? 海猫沢めろんのアニオタ自伝小説『全滅脳フューチャー!!!』

melon_0927.jpg『全滅脳フューチャー!!!』(太田出版)

 海猫沢めろんといえば、地方在住アニオタ→田舎のホスト→暴力団の手下→上京してデザイナー→小説家という無茶な経歴で知られる正体不明の文化人。

 03年にアダルトPCゲーム『ぷに☆ふご~』の企画・製作を手がけると、翌年には同ソフトのノベライズ『左巻キ式ラストリゾート』で”文壇”デビュー。変形文字や手書き文字を本編にふんだんに挿入し、奇抜なデザインと観念的なストーリーが融合した独自の世界観が注目を集める。06年にはオタクの右傾化を止めるためのカウンター企画『嫌オタク流』(共著/中原昌也他)を出版するもさっぱり売れず、デイトレードブームに安易に乗って株をはじめるも大失敗、全財産を失う。08年にはなぜかボクシングのプロテストを受験するも、ペーパー試験で「パンチの種類」の問に「ネコパンチ」と書いたところ試験官に「てめ、ナメてんのか!?」と怒鳴られて失格。

 一体何をしたいのか本人以外は理解ができない謎の人生。そんな男の足跡をまとめた自伝小説『全滅脳フューチャー!!!』(太田出版)がこのほど出版された。

「美少女アニメとゲーム文化で育った男のコアなオタクネタが満載です。海猫沢氏が高校卒業後の数年間に体験した密度の濃い時間を、独特の筆致で描いたほぼ実話の小説です」(太田出版)

 舞台は、とある地方都市H市(海猫沢氏の育った姫路市と思われる)。18歳の主人公「ぼく」は典型的なアニオタの工場作業員。「なんとなく」トラックで職人をひき殺そうとしたことが理由でクビになり、田舎の場末感漂うホストクラブで働くはめに。「障害者の子は障害者」と言い放つシャブ中の「シンさん」や、ヤクザとつながった町長候補など、”人間味豊か”な登場人物との出会いがゆるやかに「ぼく」を変えてゆく。

 圧巻はアニメキャラの声で作った「ぼく」のオナネタ。録画したアニメドラマの声優のセリフから〈学校へ行くよ〉〈すきやき〉〈隙あり!〉〈プリンが好き?〉〈いくわよ〉〈逝ってしまった……〉など、「すき」と「いく」だけをひたすら切り張りして作ったオリジナルテープを聴きながら射精。「これは自慰行為などではなく、究極に鈍化された性行為」と言い切る主人公の「ぼく」。

 あまりに赤裸々で恥ずかしく、そしてワイルドな異色の自伝は、読者一人ひとりの心に眠るオタク魂を、激しく突き動かすエネルギーに満ちている。気鋭のアート集団『Chim↑Pom』が手がけたアバンギャルドなカバーデザインが目印だ。
(文=浮島さとし)

全滅脳フューチャー!!!

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最終更新:2009/09/27 15:00
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