「自伝なんて書けない!」アンジャッシュ・渡部健の”らし過ぎる”ミステリー小説
#お笑い #本 #アンジャッシュ #渡部建
バラエティ番組で見せる顔とは違う、やや硬い表情で現れたアンジャッシュ・渡部建さん。「さあ、小説のことを語るぞ」という気持ちがびんびん伝わってくるような真面目な面持ちだ。7月に出版された処女小説『エスケープ!』(幻冬舎)への反応について聞くと、 「こんなにもインターネットでの評価を気にしたのは、アンジャッシュのデビュー当時以来」と笑う。
一連の芸人小説ブームに乗っかる形で出版されたように見える本作だが、芸人小説によくある半自伝的なものとはかなり違っている。
「周囲に勧められて書くことになったけど、僕は貧乏でも不良でもなく、たっぷり両親の愛を受けて育ったので(笑)、自伝は書くことがないから、フィクションのミステリーにしました」
小説の見所は、登場人物のちょっとした勘違いで話が行き違ったり、嘘をごまかすためにさらなる嘘をついて挙動がおかしくなったりする、まるでアンジャッシュのコントを見ているような場面。それと、前半の何げない話が伏線になっていたり、ごくありふれた青年が犯罪を犯すまでの経過をじっくり描いたりと、物語に引き込ませるべく、多分に含まれたミステリー要素だ。
「ミステリーは昔から好きでした。最近だと、湊かなえさんの『告白』(双葉社)が面白かった。学生の頃は”叙述トリック”にハマッたなぁ……」
人物描写のリアルさや、細かい伏線などを丁寧に書くため、構想から発売まで担当編集者と相談しながら2年も費やしたのだとか。マジメ! その甲斐あって本作は、映画監督の堤幸彦さんに映画化のオファーを受けたほどの出来に。今回の小説、もし映画化されたら、キャストは誰がいいですか?
「うーん、まったく考えてませんでした……次にその質問をされるまでに、考えておきます(笑)」
テレビで活躍してて、イケメンでモテモテで、その上小説まで書いちゃって……なんだかズルい! ひとつぐらい才能を僕にちょうだい!
(文=梅田カズヒコ[プレスラボ]/「サイゾー」10月号より)
●わたべ・けん
1972年9月23日、東京都生まれ。お笑い芸人。93年、相方・児島一哉とアンジャッシュを結成。綿密に作りこまれたコントには数多くのファンがいる。現在『めざせ! 会社の星』(NHK)、ラジオ『PLATon』(J-WAVE)などに出演中。
エスケープ!
就職も決まり、可愛い彼女もいる大学4年生の主人公。だが、この先の人生を考えたとき、あまりの刺激のなさに辟易した彼は、ある計画を練り始め……。
発行/幻冬舎 価格/1365円(税込)
【関連記事】 インパルス・板倉俊之がハードボイルド処女小説『トリガー』を書いた理由
【関連記事】 “絶対にインタビューを受けない男”明石家さんまがあのメディアで「独占告白」
【関連記事】 「ドス黒いエロス」大久保佳代子の果てなき野望とOLを続ける理由
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事