アンチ精神が生みだす笑い『マキタスポーツ上京物語』
#お笑い #DVD
[徳光正行オススメポイント!]
安直なテレビ番組を批判するマイナーならではの至高ネタ
マキタさん、やっぱり面白いですね。中でも最高なのが、長渕剛さんの格好をして彼にゆかりのある人にインタビューするシーン。アーティストとして成功している設定なのに、昔よく行っていたはずのライブハウス店頭からは「覚えてない」と言われ、浅草キッドさんからも「モノマネ芸人だろ」とバッサリ。
1971年、神奈川県生まれ。タレント。徳光和夫の次男。『ザ・ゴールデンアワー』(東京MXテレビ)、『スペチャ!』(スペースシャワーTB)などで活躍中! もちろんサイゾー本誌連載『愛のズルむけい地』に登場いただいているアノ人です!
また、ゆかりの土地を回っているなかで、ボロが出てつじつまが合わなくなり、それをスタッフに追及されて逃げ出すシーンがあります。それは、芸能人が故郷に帰るというようなテレビ番組を皮肉っているように感じました。あれもかなりウソで塗り固められているんで。ほかにも、現存のテレビに対するアンチ精神を感じるところが多くて、芸術大学の卒業制作みたいにマイナー感が漂っているのがたまらないですね。
きっと、彼は器用だけれど不器用な人で、本格派にこだわって売れない芸人。おそらく死後に名前が残るタイプなので、死んだら売れるかもしれませんね(笑)。
(取材・文=丸山大次郎/「サイゾー」9月号より)
[本人インタビュー]
超大物と自分が混在!? ブレイクしない大物芸人のメタ・ドキュメンタリー
同作は長渕剛さんをモチーフにしたフェイク”お笑い”ドキュメンタリーなんですが、もちろん本人に許可を取っていないため「長渕剛」という名前をまったく出していないんです。とは言っても、ボクは、リスペクトできる人しかモノマネをしないのですが、声や顔を似せることに興味はなく、その人を徹底的に観察して内面までを表現しようとしています。世間の人は皆コンプレックスを持っている。長渕さんとて同じです。ただ彼はそのコンプレックスをイチイチ克服するんです。その都度誰かに影響受けつつ、憧れて。で、挙げ句、長渕剛にしかないオリジナリティーを獲得する。それは「狂気」です。普通の人は「狂気」を持ち合わせていないから、人の真似をしつつコンプレックスなんか克服することはなかなかできない。現実に負けていく(笑)。そういう弱さは悲劇を生むけど、逆に言えば喜劇的なんですよ。でも、それが「普通」なんです。踏まえて言えば、長渕さんじゃ笑いにはならない、感動しちゃう(笑)。でも、本人が見たら激怒するかもしれません。彼から呼び出しを受けたら、その思いを打ち明けてみたくもありますね。基本的に土下座の姿勢ですけど(笑)。
また、この作品は素のマキタスポーツを見ることもできます。僕の”弱さ”と、それを克服してく狂気の一面とがパラレルに交錯する。「売れる」ということは世間に狂気を認められるということでもあります。普通じゃ売れない。僕? もちろん、もうすぐ売れそうですよ(笑)。
マキタスポーツの上京物語
故郷を捨てて家を飛び出したのは19。でも東京に着いたのは28のときだった一一。高田文夫から「上手すぎてブレイクできない芸人」と絶賛され、矢沢永吉、長渕剛、浜田省吾など、多彩な思想模写のレパートリーを持つ実力派芸人マキタスポーツ。今作では、長渕剛をモチーフにした彼の人気ネタ「なかなか上京しない上京物語」の主人公が、ゆかりの地を訪ね、自分の軌跡を振り返る。
販売元/アミューズソフトエンタテイメント
出演/マキタスポーツ
時間/約74分(本編)
価格/2940円(税込)
発売中
©2009アミューズソフトエンタテイメント
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