「電車男」でカニバリズムで格闘映画の傑作『カクトウ便 VS 謎の恐怖集団人肉宴会』
#アイドル #映画 #梶野竜太郎 #木口亜矢
アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。
●今回のお題
「電車男」でカニバリズムで格闘映画の傑作
『カクトウ便 VS 謎の恐怖集団人肉宴会』
監督:石井哲也/女性主演:木口亜矢、甲斐麻美
既に長いタイトルなのに、この映画はいろんなフレーバーがテンコ盛りなため、あえてこのようなサブタイトルを入れたい。
「カクトウ便 VS 謎の恐怖集団人肉宴会 あぁ、愛しきヲタクの片思い、そして涙……」
何だか○曜サスペンス劇場みたいで、盛りだくさんでしょ? でも、この映画、本当に盛りだくさんなのに、すべてがハイクオリティなのです。
日本全国何処へでも、どんな”ワケあり”な荷物も届ける「裏の運び屋」……それがカクトウ便! 危険なところも走り抜け、行く手を阻まれたら闘います!
Vol.2「VS 謎の恐怖集団人肉宴会」
愛するアイドルを守れ!アキバ系オタクが闘う<純愛アクション>
「カクトウ便」の活躍を描いたシリーズ第2弾。仕事では最強ともいわれる「カクトウ便」のメンバー遠藤。実は、普段の彼は、アイドル風花(木口亜矢)のオッカケだった。ある日、風花がアイドル活動に嫌気がさし、自作自演の失踪劇を演じる。ただ、それは人肉を愛好する変態集団によって仕組まれた、アイドル殺害計画のシナリオだった……。忍び寄る魔の手から風花を救うため、アキバ系オタクの<純愛アクション>が炸裂する!
3,990円(税込)
発売中
発売元:ハピネット
(C)2007 カクトウ便製作委員会/キックファクトリー
そもそも”カクトウ便”とは、ワケありな荷物を届ける裏の宅配便のこと。その宅配便メンバー遠藤は、普段、人気グラビアクイーン木口亜矢ちゃん演じる大物アイドルの熱烈な追っかけ。で、このアイドルに惚れたファンの少年が見てしまう、見てはいけないアイドルの私生活と本音、そこから淡い恋へと物語が進む……。おおぉ! 素晴らしいピュア度の高さっ! 『電車男』の”手に入るはずのない女性を手に入てた時の感動”に近いぞ! なんて感じで、ホンワカしながら見ていたら、今度はいきなりカニバリズムテンコ盛りなリアル・ゴア・スリラー映画へ。
ぎゃあぁ!? さっきの暖かい気持ちは? 人肉喰ってるぞ!
気持ち悪さが視覚ではなく、『ホステル』みたいに、ちゃんと胸クソ悪くしてくれる。
この展開の違いにワタワタする間もなく、今度は元々の淡い恋のカクトウ編へ! って、ついて行けるか!? これ、DVDで観た場合、ポーズしないでトイレ行ったらわけわからんぞ。要注意!
と、まあ物語は(伝わってないだろうが)これくらいにして、タイトルのごとく格闘シーンがものすごいハイクオリティ! それも、そのはず、アクション監督は谷垣健治監督なのだ。
解説しよう! 谷垣監督は、ジャッキー・チェンが会長をつとめる「香港動作特技演員公會」唯一の日本人会員で、香港映画界の中でもアクション指導をするような方です。そりゃすごいですよ。マジ殴りだもん。
そしてこの監督がすごいのは、アクションができない子にはそれなりのことしかやらせないのに、ちゃんとかっこよく撮る! ってところ。
私のこのコラムの第2幕『妄想少女オタク系』でも取り上げた甲斐麻美ちゃんが、たいしたアクションもしてないのに、ちゃんとこの映画の水戸黄門役として、かっこいい画が撮れているところが、素晴らしい! でもって、甲斐ちゃんが相変わらずかわいいところも、また素晴らしい。まぁ、黄門役と言っても印籠を出すわけではないのですが、何事にも動じない、見た目は普通の女子高生なんだけど、ものすごい力を秘めている、そしていつもニコニコ余裕の微笑み。ね! 黄門様でしょ♪
……で、ここまで述べたように、この映画は3つのテイストが見事に融合された傑作なのですが、その3つのテイストすべてに登場するのが木口亜矢ちゃんなわけです。アイドルを演じるときの萌々なカメラ目線、1人の女としてのオフカメラ目線……と、そこまで木口亜矢の”アイドルの表と裏”を描きながら、時間が経過したその後に待っているのは、囚われたボンテージ&ボールギャグ! しかも、大股開きですよ。でも、それをあえてカメラマンがなめない! なめちゃうとこの映画が一挙にチャラくなり、木口亜矢の熱演が、やちゅっぽいPVへと堕ちてゆく。そこをやらずして、拉致度を上げている。ラスト、縛られている木口亜矢が、大ピンチで縛られながら、あることをする! そう! あることを!! それはまるで、超時空要塞マクロス。リン・ミンメイのよう……愛・おぼえていますか。(あとは見てのお楽しみだが、オーバーだろ。笑)
木口亜矢の見事な拉致演技(なんだそりゃ)と、甲斐麻美のまったくブレない水戸黄門的立ち位置がちゃんと際立ちながらも、モテない男のアイドルへの恋、そしてカニバリズム・ゴア・スリラー、さらに猛格闘アクションが交差するも、すべてが見事に綺麗におさまった傑作です。
ところでこの『カクトウ便』、全3部作でこれが第2作。ほかの2作も、小阪由佳、次原かなが大活躍! そして全編に登場する甲斐麻美は、見事な黄門様。PART4を期待したいところである。
(文=梶野竜太郎)
ぼくもけってけって。
●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。9月の第2回したまちコメディ映画祭 in 台東にて、新作『魚介類 山岡マイコ』の上映が決定している。現在、トークライブ『オビカヂドカン!』に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/
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