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巨大スクリーンでどっぷり浸かる 美しき地球の神秘

framingo_t.jpg©Disney

 自然ドキュメンタリー映画というジャンルは昔から存在するが、近年では特に2004年公開の『ディープ・ブルー』が大ヒットしたあたりから、ある種のブームのようになり、定期的にこのジャンルの映画が公開されるようになったように思う。米アカデミー賞を受賞した『皇帝ペンギン』や、昨年、興行収入24億円を記録して08年度洋画興収第10位になった『アース』などが代表的なところだろう。

 そんな中、かつて1948~60年に故ウォルト・ディズニーが自然ドキュメンタリー映画を製作していたこともあり、ハリウッドメジャースタジオのディズニーが、新たに自然ドキュメンタリーの専門レーベル「ディズニーネイチャー」を立ち上げ、年に1本のペースで新作を公開していくと発表。その第1弾となる『ディズニーネイチャー/フラミンゴに隠された地球の秘密』が現在公開中だ。

 タイトルの通りフラミンゴにフォーカスした作品で、舞台はアフリカ、タンザニア北部のナトロン湖。水中の微生物が繁殖すると、その影響で湖水が真っ赤になり、「炎の湖」と呼ばれる一方で、乾期に水が干上がると、辺り一面が塩で真っ白に覆われる。加えて湖水は毒性の高いソーダ塩を含むため、ほとんどの生物が生きていくことができない。そんな過酷な環境ながらも、雨期には150万羽ものフラミンゴが飛来し、子を産み、育てる。そして、ある時期が来ると、まだ空を飛ぶことができないヒナたちを親鳥たちが先導しながら、群れはいずこかへと旅立っていく。

framingo_sub2.jpg©Disney

 フラミンゴといえば、片足で立つあの姿が有名だが、その生態について知っている人は、よほど動物好きでもなければいないはず。彼らがどのようにして子を育て、命をつないでいくのか? また、ピンク色に染まるのはなぜか? 片足で立つ理由は? この映画を見るとそれらのことがよくわかるし、雄大な映像と音楽に酔いしれるだけでも十分に楽しめる。150万羽のフラミンゴが空を埋め尽くすさまは圧巻で、時に気温40℃や50℃にもなる過酷なナトロン湖の環境の中でこそ、繰り広げらる自然の美しさは驚きに満ちている。

 こうした自然ドキュメンタリーが一般的になるにつれ、ドキュメンタリー映画の視線は地球から「宇宙」へも向けられるようになった。こちらも現在公開中の『宇宙(そら)へ。』が、そんな1本だ。

 今年1月にも、同ジャンルの『ザ・ムーン』というドキュメンタリー映画が公開されたが、あちらは月面着陸を目標としたアポロ計画に焦点を絞ったものだったのに対し、本作は月を目指した60年代から、やがてスペースシャトルの時代へと突入し、現在に至るまでのNASAの全歴史とプロジェクト、それらに関わってきた人々の挫折や栄光が、NASAの蔵出し映像満載で描かれている。

 昨年はNASA設立50周年で、今年は月面着陸40周年など、宇宙に関する節目の年が続き、日本でも7月に皆既日食が46年ぶりに観察されたり、日本人宇宙飛行士・若田光一氏の4カ月半に及ぶ長期宇宙滞在など、なにかと宇宙に関する話題が豊富。そして、ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で宇宙を覗いてから400周年であることから、今年は「世界天文年2009」と銘打たれている。

 SF映画やアニメで宇宙が描かれることは多いが、本作のリアルな宇宙空間や、宇宙から見た地球の映像を見ると、あらためてその大きさに気が付き、人間がいかに小さなものであるかを知らされる。しかし、そんなちっぽけな人間がまた、宇宙という広大な世界へと挑戦する可能性を秘めていることにも感動を覚えるはずだ。

 自然ドキュメンタリーも、宇宙に関するドキュメンタリーも、普段目にすることができない自然や生物、ひいては地球の神秘や美しさを見せてくれるもの。劇場のスクリーンで、その世界にどっぷりと浸ってはいかがだろうか。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)

『ディズニーネイチャー/フラミンゴに隠された地球の秘密』
<http://eiga.com/movie/54445>

『ディズニーネイチャー/フラミンゴに隠された地球の秘密』マシュー・エバーハート監督インタビュー
<http://eiga.com/buzz/20090821/7>

『宇宙へ。』
<http://eiga.com/movie/54429>

『宇宙へ。』リチャード・デイル監督インタビュー
<http://eiga.com/buzz/20090820/6>

ディープ・ブルー

制作期間はなんと7年!

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最終更新:2009/09/05 11:11
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