軍事、薬事、葬儀、家電……ほか 話題のギョーカイ意外な事件(前編)
#出版
北朝鮮のミサイル発射で揺れた「軍事」、薬事法の改正が話題となった「薬事」、映画『おくりびと』が大ヒットを記録した「葬儀」など、最近話題になったギョーカイの業界誌編集長が、”ギョーカイならでは”のニッチなゴシップを語ってくれました!
レビュー/毎月10日発行/1050円/
発行部数/2万5000部/1966年創刊
以来、戦史から最新兵器まで、戦争・
軍事のあらゆる分野を網羅する専門
誌。いかなる思想からも中立という
立場をとる。
【軍事】『軍事研究』大久保義信 副編集長
“飛翔体”の迎撃システムは発射できない訓練だった!?
4月5日、日本の安全を脅かす出来事が起こりました。北朝鮮による”飛翔体”の発射実験です。弾道ミサイルなのかそれとも人工衛星かと騒がれる中、日本政府は最新鋭のミサイル迎撃システム「PAC3」を各地に緊急配備しました。これにより大きな注目が集まりましたが、我々専門家の間ではこんなことが話題となっていたんです。
市ヶ谷の防衛省にPAC3が配備されましたが、その多くに「INERT」、つまり訓練弾と書かれていたんです。マスコミは「今、市ヶ谷にPAC3が配備されました」と騒ぎ立てましたが、我々専門家は「おいおい! あれは訓練弾じゃないか」と違う意味で騒然となりました。あの映像を見た諸外国の軍事専門家も、きっと驚いたに違いありません。
ではなぜ発射できない訓練弾を用いたのか。日本政府は最初から迎撃する気はなく、単なるデモンストレーションのつもりだったのでしょうか?
取材を進めてわかったのですが、こんなにも早くPAC3を実戦配備する事態は想定外で、実弾の調達が進んでいなかったようなのです。しかし緊急事態のため、各地に配備しなければならない。そこで問題になったのがミサイルの運搬方法です。発射台兼用のトレーラーで各地に運ぶのですが、実弾コンテナをひとつだけ積んだ場合、バランスが崩れてトレーラーが横転する可能性がある。そこで左右の重量バランスを取るための”バランサー”として訓練弾コンテナを積んだんです。
なんともお粗末な話ですが、もっとも、実際に発射する事態になったとしても、市ヶ谷からは発射できなかったのではないでしょうか。というのも、ミサイルを発射するとものすごい噴煙が巻き起こりますし、第一発射されるとすぐに音速になります。そうなればソニックブーム(音速を超えた時に発生する衝撃波)で、周囲にあるマンションの窓ガラスはことごとく割れてしまったことでしょう。
さらに、日本海に配備されたイージス艦に搭載されている海上配備型迎撃ミサイル「SM3」にも重大な問題がありました。SM3の場合は、迎撃対象のミサイルの弾頭の形(ほぼ円錐形)をあらかじめインプットしておいて、画像で認識するようにプログラムされていますから、ロケットのエンジン部分が落ちてきたとしても形が違うので認識できなかったはずです。
ハードだけでなくこうしたソフトの面でも、日本の防衛は大きな課題に直面しているのです。
毎月25日発行/590円/発行部数
10万部1980年6月に一般向けの「ラジ
オ情報誌」として創刊。現在は家電の
裏ネタや無線傍受、官公庁研究など、
多種多様な情報を扱う。
【家電】『月刊ラジオライフ』遠藤悠樹 編集長
芸人まで便乗した家電ブーム 身近なプロテクト突破の裏ワザ
家電芸人なるタレントらが昨年から登場したり、今年6月に、パナソニックとサンヨーの正式合併のニュースで注目を浴びた家電業界ですが、弊誌では各種家電の裏ネタを取り上げることが多いため、今回はその分野で注目されている製品の話をしようと思います。
現在の家電製品で売れ筋といえばHDDレコーダーですが、市販されているほとんどの製品は自分でHDDの容量を増やすことは不可能。これは録画容量の大きい高額製品へ買い替えを促すメーカーの手段ですが、現状では容量が限界になるとデータを移すか、削除するしかありません。ところが、日立の「Wooo」シリーズはPC用の外付けHDDが自分で増設できるため、業界内では評判になりました。この製品は生産終了品なのでヤフオクなどでも争奪戦になっています。
あとはブルーレイも人気ですが、ソフトの料金が高額な上、レンタル品ではコピープロテクトがかけられていて複製するのが難しい。そこでいま話題なのが「画像安定装置」(実勢価格1万円)という機器。これはもともと、VHSなどで画像のノイズを除去するために作られた機器ですが、プロテクトも一緒に外してしまうため、ブルーレイディスク(DVDも含む)の複製が容易になります。これはヨドバシカメラなど大型量販店の片隅に置かれているので入手も簡単ですよ。
もともと弊誌はラジオ雑誌としてスタートしたのですが、時代とともに映像メディアを取り上げることが多くなってきました。今後も地デジへの完全移行で新製品が続々と登場しそうなので、しばらくネタに困ることはなさそうです(笑)。
21日発行/860円/発行部数5万部
主にビジュアル系インディーズバンド
の活動内容ほか、バンドのファッション
情報などを紹介。今年1月には全米で
米国版も出版。
【音楽】『Cure』夏野元嗣 代表兼編集長
X-JAPANの復活で湧くビジュアル系バンド海外進出の裏
X-JAPANの復活やDir en greyの活躍でビジュアル系バンドに注目が集まっている音楽業界ですが、これは国内に限った話ではなく、ヨーロッパ全域、アメリカ全域、アジア全域など世界中で大変な盛り上がりを見せています。一般的にビジュアル系バンドブームは90年代後半に国内でピークを迎えたと思われていますが、その後、日本の文化であるアニメの影響、「YouTube」及び「myspace」や弊社発行「Cure」の存在もあり、日本国内で過小評価されているインディーズビジュアル系バンドが頻繁に海外公演を行えるようになり、ビジュアル系の人気は世界中に拡大しています。
しかし、一部のインディーズバンドの場合、言語がネックとなり交渉がうまくいかない為、トラブルにみまわれることもあります。私がバンドから直接聞いた例をあげると、インフォメーションメールに直接出演依頼があり、数回のやりとりのみで日本を出発、さてホテルにと思いきや、実はホテルではなく自宅に案内されたとか。また、ライブ会場では事前にお願いしていた機材が用意されておらず、何時間も待たされた……といったトラブルが発生しているようです。せっかくの海外公演でそのような残念な結果になってしまうのは、凄くもったいない気がします。きっと専門知識がない若いファンの方がバンドを応援したいという純粋な強い気持ちのみで行動してしまっているのでしょう。悪気はないと思いますし、凄く有難いことなんですけどね……それに、そういう方達がいるから海外のヴィジュアルシーンは盛り上がってきているのだと思います。
今後、「Cure」として、更にビジュアル系バンドが世界に羽ばたいていける架け橋を作っていきたいと思っております。
近い将来、日本で逆輸入型のバンドが出てくるかもしれませんね(笑)。
(後編に続く/取材・文=Kyopro/「サイゾー」9月号より)
どれどれ……
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