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これが本当の”昭和の香り”「ノッポさんと行く昭和のスキマ探訪」

pk_j04_s.jpgなつかしい自販機フードの世界

 いつの間にか「スパゲッティ」は「パスタ」と呼ばれるようになり、「ジーパン」は「ジーンズ」に名前を変えた。「和菓子」すらも「和風スイーツ」に変わりつつあり、子供たちに「ファミコン」と言っても伝わるものか心もとない。目まぐるしく移り変わる時代に合わせて言葉は変化してゆく。けれども変わらないでいてほしいと思う言葉もある。「カフェ」と「喫茶店」は全く別のものだ。

 今回紹介するDVD「ノッポさんと行く昭和のスキマ探訪」はレトロブームで再び脚光を浴びつつある「昭和」をテーマにした映像作品だ。昭和生まれの子供なら誰しもがお世話になった伝説の教育番組「できるかな」のノッポさんこと高見のっぽさんをナビゲーターにし、『喫茶店篇』『自販機篇』という2枚が同時リリースされた。

 まず、『喫茶店篇』では、0歳から喫茶店に通っていたというノッポさんがテンション高く喫茶店を紹介。「純喫茶」「ジャズ喫茶」などの住み分けがあった時代の「さてん」。「カフェ」が乱立する平成にあって、もはや絶滅危惧種となった「さてん」に対する想いが、これでもかというくらいに溢れ出てくる。紹介されているお店も神田にある創業76年の名店「ショパン」や、国分寺にひっそりと佇む芸術の香り漂う名曲喫茶「でんえん」など、どれも一癖も二癖もある気合いの入った名店ばかり。サイフォンで入れる味わい深いコーヒーの香りが画面越しからも伝わってくるような映像だ。懐かしく、思わず憧れを抱いてしまう昭和の時代がここにはある。

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 『喫茶店篇』が映し出すのが「憧れの昭和」ならば、一方の『自販機篇』は「愛すべきダメ~な昭和」といったところだろうか。

 「ハンバーガー」「かき氷」「そば」「ラーメン」など、様々な食品を自動販売機に導入しようとした昭和の日本人。そんな「自販機界の松下幸之助」ともいえる名もなき先人たちが遺した名機を、このDVDでは自販機内部に取り付けたCCDカメラの映像とともに紹介する。24時間営業のコンビニやファミレスが当たり前のものとなった現在から考えると、どれも「美味しそう」と思えるような代物ではない。しかし、「自販機篇」でノッポさんとともに解説を加える「自称日本一自販機にうるさい」という野村誠氏のゆる~い解説を含めて、その映像が伝えるのは、まさに昭和という時代の愛すべきダメさだ。その大きな機体とは裏腹に、機能は商品を電子レンジで温めるだけという「お弁当自動販売機」や、機械によって味が不均一な「そば自販機」など、今では考えられないほどにチープなその数々。けれども、それらに少しずつ改良を重ね、発展を遂げてきたのが、現在我々がお世話になっている自動販売機である。一口に自販機と言ってもそこには苦難と進化の道があったのだ。

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 「昭和レトロブーム」の今だからこそ、このDVDを見る意味がある。昭和は決して「古きよき時代」だけだったわけではない。ダメで、笑えて、でも愛せてしまう、そんな昭和の風景がこのDVDには確かに収録されている。
(文=萩原雄太)

ノッポさんと行く昭和のスキマ探訪 喫茶店編

ジャケットのイラストは安齋肇

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ノッポさんと行く昭和のスキマ探訪 自販機編

こっちも!

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最終更新:2009/08/27 11:00
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