魅惑の観覧車ワールドへようこそ! 日本の観覧車大全写真集『ニッポンの観覧車』
#サブカルチャー #写真集 #建築
デートといえば、遊園地。遊園地といえば、まず頭に浮かぶのが観覧車だろう。ジェットコースターの苦手な人も安心して乗れるし、高いところに密室で二人だけという、ムード満点のアトラクションだ。
この『ニッポンの観覧車』は、北海道から沖縄まで、日本全国の観覧車を紹介する写真集だ。大きなものに小さなもの、古いものから新しいものまで、観覧車も実に多種多様で面白い。天気ごとに色を変える札幌の「ノリア」や、秒針と同じ速度で進む、時計を模した、よこはまコスモワールドの「コスモクロック」など、意匠を凝らした全国153基の観覧車の写真とデータが揃った、まさに観覧車大図鑑といった写真集だ。60年も稼動し続けている観覧車には、「お疲れ様っス。まだまだ現役っスね」と、老いてなお盛んな印象を受けるし、”東洋一”なんてうたい文句の大観覧車は、日本人として少し誇らしくもある。また、ビルと一体化させた構造的に新しいものや、”足ぶら式”ゴンドラにしたものなど、それぞれ個性豊かだ。
しかし、その中で残念なニュースもある。日本一有名とされるお台場「パレットタウン大観覧車」が、2009年末に営業を終了する予定、商業施設パレットタウンの土地が東京都に返還されるのに伴ってのことだという。東京湾を一望できる、お台場のシンボルたる大観覧車が停止してしまうのはやはりさびしい。しかし、北海道・池田町にある「ガリバーくん」のようには、個人で運営されているものもある。現在は、ただアトラクションとしてだけでなく、その街のランドマーク、あるいは地方活性化のシンボルとして観覧車が注目を集めている。「パレットタウン大観覧車」が動き続ける意義も、きっとあるはずだ。
真っ暗な夜空に大きく光の輪を描く大観覧車の姿は、消えない花火のように美しく、壮大で、夢に満ちている。観覧車好きな人は楽しんで読めるだろうし、彼女とのデートにと考えている男性諸氏も、この本でバッチリ予習できる。楽しく、さらに”使える”一冊だ。手に取って、個性的な観覧車に会いに行こう。
(文=平野遼)
まわれ、まわれ。
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