メジャーレーベルを捨てた矢沢永吉の新作が音楽ビジネスを変える!?
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矢沢永吉のニューアルバム『ROCK’N’ROLL』が、8月17日付のオリコンチャートで3位にランクイン。推定5万枚強を売り上げるヒットとなっているが、今回のアルバムはその枚数以上のインパクトを、音楽業界に与えているようだ。
レコード会社関係者がこう語る。
「今回のアルバムは、矢沢さんが立ち上げたレコード会社『ガルル・レコード』からリリースされました。約20年所属したEMIミュージックを離れた今の矢沢さんは、いわばインディーズレーベルのオーナー兼アーティスト。そうした立場では、原盤権をふくめた著作上の権利を自らコントロールできるために、この枚数でも大きな収益を上げることができるんです。大手レコード会社の上層部には、”矢沢モデル”が広がることを警戒する向きもありますね」
大手レコード会社の強みは、全国に広大かつ強力なCD流通網を有していること。そのため、インディーズレーベルが有名アーティストの作品を出す場合、CD販売を大手レコード会社の流通部門に委託するのが一般的だ。今回の矢沢のアルバムは、インディーズ系の流通会社を通して販売されている点でも注目される。
「矢沢さんは今回の作品を出すにあたって、かつてないほど多くのメディアに登場しています。テレビ、ラジオに加え、かなりマイナーな雑誌にも出てましたからね。これは、インディーズ作品ということでCDの受注が少なくなることを防ぐため、CDショップのバイヤーに自らの存在をアピールする意図もあったのでしょう」(前出の関係者)
実際、『ROCK’N’ROLL』の初動枚数は前作を上回っており、インディーズレーベルゆえの不利益は見られない。矢沢といえば、これまでもコンサートの興行にまつわる諸権利を自らコントロールしてきたアーティスト。コンサート会場で販売する1枚5,000円のタオルが、詐欺事件で背負った借金の返済に一役買ったことはよく知られている。そんな矢沢が今回、CD制作・販売においても新たなモデルを確立したことで、音楽業界はどう反応するのか。
「現在、多くのバンドやアーティストにとってグッズ販売が重要な収入源となっていますが、これは矢沢さんの影響も大きいでしょう。矢沢さんの成功以降、業界ではグッズ販売に対する権利意識が高まっており、レコード会社とマネジメント事務所が権利の帰属をめぐって争うこともあるほどです。自身のレーベルからCDを出すことについても、矢沢さんを見習うアーティストが出てくるのでは?」(前出の関係者)
現在では、赤坂の一等地に豪華なスタジオビルを所有する矢沢永吉。来月に還暦を迎えるロックンローラーは、音楽ビジネスの世界でも超一流といえそうだ。
(文=石山博美)
今年はフェスにもひっぱりダコ
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