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人間関係に疲れた現代人を癒す、『ボルト』犬との深い絆 

bolt_main.jpg『ボルト』/(c) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved. 
8月1日(土)より全国ロードショー

 渋谷駅前の銅像が待ち合わせ場所として有名な秋田犬ハチ。その生きざまをハリウッドが映画化した『HACHI 約束の犬』が、「ハチ」にちなんだ8月8日、アメリカに先駆けて日本公開される。「飼い主を駅前で待ち続けたていた」ということは漠然と誰もが知っているだろうが、この機会にあらためてハチの物語を知っておくのも良いだろう。

 渋谷駅前に銅像として鎮座している本物のハチは、1923年に生まれ、東京帝国大学(現・東京大学)教授だった上野英三郎博士に飼われることになった。いつしか通勤のため渋谷駅で乗降する上野教授を送り迎えするようになるが、上野教授は1925年、大学で講演中に倒れて急逝。ハチは渋谷の雑踏の中で、帰らぬ主人を待ち続けることになる。そんな彼の美談が、1932年の朝日新聞で紹介され、「忠犬」として広く知られるようになり、ハチが他界する1年前の1934年、銅像が建立された。

『HACHI』では、リチャード・ギア演じる大学教授パーカーと、彼に偶然拾われた秋田犬ハチの物語を、シンプルだが丁寧に描き出している。サプライズも余計な刺激も何もないが、パーカーとハチが互いを見つめる姿は、もはや恋人同士にすら見えるほど愛情に満ちている。ハチが上野教授の死後も渋谷駅に通い続けたのは、駅前の焼鳥屋がくれる肉をもらいに行くためだったという俗説もあるが、映画を見れば教授とハチの絆を素直に信じたくなる。

 監督は『ギルバート・グレイプ』『ショコラ』など、上質なドラマ作りに定評のあるラッセ・ハルストレム。ハチの映画といえは、1987年に仲代達矢主演で『ハチ公物語』として日本でも映画化されており、『HACHI』のエンドロールにも、『ハチ公物語』監督・神山征二郎、脚本・新藤兼人の名前がオリジナル作品としてクレジットされているので、いわゆるハリウッドリメイク作になるが、舞台がアメリカになったということ以外は目立った改変も加えられておらず、日本人でも安心して見られる。

 ちなみに、もう1本、公開中のディズニーアニメ最新作『ボルト』も、飼い主と犬の絆を描いた作品だ。

 ハリウッドの撮影スタジオで育てられ、人気TVドラマに出演するスター犬のボルトは、飼い主のペニーをスーパーパワーで悪者から守るというドラマの世界が現実だと思い込まされていた。ある日、ドラマの中でペニーが悪者にさらわれてしまったボルトは、ペニーを助けようとスタジオを飛び出してしまい、ふとしたことからそのままニューヨークまで連れて行かれてしまう。今までの自分のいた世界が作り物だと知ったボルトは、ペニーの愛情も偽者だったのかと疑う。しかし、たとえスーパーパワーが嘘でも、ペニーとの絆だけは本物だと信じ、ボルトは遥かロサンゼルスを目指して旅に出る。

 本作は、『ウォーリー』『ファインディング・ニモ』などで知られるピクサースタジオの創設者ジョン・ラセターが、親会社であるディズニーのアニメーション部門の製作総指揮を務めるようになってから最初の作品で、このところ他スタジオの後塵を拝していたディズニーアニメを、ピクサー流の制作術を用いて再生させたとして高い評価を受けている。

 『HACHI』は実話にもとづいた実写映画で、『ボルト』は作り話のアニメーション映画と全く趣は異なるが、ともに愛犬家が愛しの我が家の犬との絆を再確認したくなってしまいそうな作品。もちろん、特に犬が好きでなくとも、幅広い世代で楽しめる作品になっているのでご安心を。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)

『HACHI 約束の犬』
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『ボルト』製作総指揮ジョン・ラセター、クリス・ウィリアムズ&バイロン・ハワード監督 インタビュー

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ロボット犬でも絆は深まる?

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最終更新:2009/08/07 18:04
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