『アメトーーク』ひな壇の席順に見る”スベリ屋芸人”という存在
#お笑い #アメトーーク!
『アメトーーク』(テレビ朝日)のいわゆる「ひな壇芸人」たちの座席には、だいたい「定位置」があるらしい。これは、同番組の「芸人ドラフト会議」の回でも、上島竜兵の横には「通訳」的なポジションとして土田かデンジャラス・安田を置いている……などと語られていたが、いちばん気になるのは、「端っこ」の席に位置する芸人である。
たとえば、ダンディ坂野、出川、アンジャッシュ児島、小島よしお、かつてのワッキーなど。
端っこに座る芸人が口を開くと、シーンとして空気がおかしくなる→スベった、というのが、1つのパターンになっている。
これを受け、MCの雨上がり決死隊・宮迫が「うわうわうわ……」とおどける、あるいは「帰ってもらっていいですか」と言うなどのお約束があるが、この「端っこの席」への疑問が大きくなったのは、7月23日放送分『和田という男』だった。
この日も端っこには出川哲朗が座り、ところどころで「スベって」いたのだが、気になったのは出川が喋る瞬間、隣の松村邦洋がしきりに下を見ていたこと。まるで何かを読んでいるような視線だが……もしかして、あえて「スベらせる」よう、スタッフが「笑うな!」などの指示を出していたりする? 思えば、これまでも端っこの芸人が喋ると、土田などが下を向いていたけど、あれって……?
ある放送作家に聞いてみると……。
「カンペなどの指示は出ていないと思いますよ。指示を出さなくても、スタッフ・お客さんも含めて自然にできる空気だと思います」
ただし、「端っこ=スベリ役、いじられ役」に関しては「(意図的に配置)していると思う」と言う。
「普通ひな壇の並び方は、芸人がズラリと並ぶわけではなく、主婦タレントがいたり大物俳優がいたりするわけですが、『アメトーーク』では芸人一色なので、その中で役割分担をすることになりますよね。スベリ役なんて普通は要らないですが、スベる人は実はいちばんスベッてない、ということがプラスになります。普通はスベッただけで笑いにならないけど、MCが振ることで間違いなく笑いになるんですよ」
いちばんのオチになって、結局、いちばんオイシイところを持っていく……ということか。だが、これにはマイナス面もあると指摘する。
「『アメトーーク』はスタッフに”芸人愛”があるので、そういうスベリも含めて芸となっているのでしょうが、番組内でいちばんオイシイ役割であっても、別の番組でも『スベるんでしょ』という扱いを受けるなど、他の仕事に影響が出てしまうことはありますね」
それには、こんな声もある。
「ある公演にワッキーが出たとき、それまで和やかだった空気が一転し、みんなが『スベるんじゃないか』とハラハラ見守る空気になっていました。本人も、スベる扱いを受け続けていたから、すっかり怯えているように見えましたよ」(雑誌編集者)
「スベリ屋」としてキャラクター・イメージが確立されれば、需要は増える。一方で、常に「スベる」と烙印を押されてしまう危険もあるわけで……。
人 気番組が用意してくれた「端っこ=スベリ屋」を生かせるかどうかは、実力か、はたまた尋常でない「ハートの強さ」かもしれない。
(文=田幸和歌子)
伝説の”出川ナイト”収録!
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