大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」(前編)
#テレビ #ネット #対談 #サブカルチャー #小明 #大根仁 #大人よ教えて!
モテない、金ない、華もない……負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストをノーギャラで呼び出し、お悩みまで聞いてもらおうという好評連載。第3回のゲストは、”深夜番長”ことテレビ演出家・大根仁さんです!
[今回のお悩み]
「ネットで叩かれて、つらいです……」
――はじめまして! 今日はギャラも出ないのに、わざわざすみません!
大根 いえいえ。これってどういう趣旨なんでしたっけ。
――えっと、社会的に成功している人にいろいろ相談に乗ってもらいたいっていう……。
大根 ……成功? それに相談って言われてもなぁ、君のこと良く知らないし……。
――面目ないです……。ちなみに簡単に自己紹介するとグラドル崩れのライターかぶれ、みたいなしょっぱい女なんですけれど、もう直感で答えちゃってもらっていいです。脚本・演出家という大根さんの視点から、私ってこの先の人生どうしたら良いと思いますかねー?
大根 ……え? ゴールデン街で店を開くとか?
――あ、いや、芸能界や出版界での話というか……。えっと、大根さんもいろんなアイドルとお仕事されてますけれど、やっぱり売れる子っていうのは違いますか? こう、オーラとか……私、なんか全体的に『負』って感じで、メジャー感が一切ないんですよ。
大根 ああ、グラビアアイドルと仕事もするけれど、僕のドラマに関わったアイドルってなんか、その後あんまり良いことになってないんですよ……。『ヴァンパイアホスト』っていうドラマで主演の小向美奈子(「BUBKA」に写真流出多数、覚せい剤で逮捕、ストリッパーに)に、『アキハバラ@DEEP』では小阪由佳(引退騒動)とか……。
――そういえば同じく『アキハバラ@DEEP』の松嶋初音ちゃんもよくブログにマズい記事を誤爆してましたねー。デス脚本! そういえば無事私も『アイドル墜落日記』っていう処女作を出版出来たんですけど、本がまだ発売になる前から、暴露本と間違えられて、ネットで「売名乙」ってものすごく叩かれちゃって、すごいショックなんですよ。
大根 僕も割と人の悪いところを意地悪く見ながら生きているタイプだから、叩く側の気持ちはわかるよね。そもそも、まず『墜落』するほど上ってるのかっていう。
――そこに気づいてから『アイドル低迷日記』にすれば良かったと思ってます……。
大根 タイトル、小向に売っちゃえば良いんじゃないの?
――それは確かに墜落ですけど、間違いなく本家(私)よりも売れちゃいますよ! 大根さんはそういうネットの評判とか、気にならない方ですか?
大根 あんまり気にしないね。ドラマの掲示板とか2ちゃんとか見たりしたことあるけど、そんなにこっぴどくやられてないんだよね。ネットに書き込む奴の気持ちはすごくわかるから、むしろ「いい視点だね、キミ!」みたいな(笑)。俺が十代だったら絶対そういうことやってるし、当時ネットがなくて良かったよ。けっこう気になっちゃうの?
――気になっちゃうんです。せっかく今までじめじめ負け続けた人生を払拭しそうな素敵な本になったのに、間違った情報のまま叩かれて悪い評判ばかり書かれるのが辛くて……。そのモヤモヤで胃が痛くなってしまって、いま順調に円形脱毛症も広がってるんですよ……ホラ(帽子を取る)。
大根 エー! ハゲ、大きいじゃない! 思ったよりもシリアスに大きいじゃない! もう美味しいものでも食べてよ、俺の金じゃないけど……。当時ネットがあったら一緒に叩いてた側から見ると、それが今の2ちゃんねるの人たちの可哀想なところかもしれないね。そういうエネルギーはもったいないから貯めといたら良いのに。でも、そういうネットの記事を読んで過激な暴露本と間違って買う人がいて、逆に売り上げが伸びたりしないの?
――あ、確かにアマゾンのランキングは上がってるんですよ……誤解なのに!
大根 じゃあ良いじゃない! 結果よし! ネットの書き込みなんて、書いてるのがどんな奴かって、大抵は想像がつくじゃないの。そこはもうバカにしていいんじゃない? どっちが頑張ってるかって言ったら、それはこっちなんだから。
――わー! 少し元気が出ました! じゃあ、御礼にこっちも大根さんを褒めさせてもらいます。最近テレビがつまらなくなったって言われてますけれど、『週刊真木よう子』は尖ってましたね! メンツも、ちょっと引くくらいすごかったじゃないですか。
大根 オレが一番たいしたことなかった(笑)。『週刊真木よう子』では本当に「テレビはまだ大丈夫よ! まだ好きなことやれるよ!」ってことは伝えられたかもしれないね。
(後編へつづく/取材・構成=小明/「サイゾー」8月号より)
●大根仁(おおね・ひとし)
1968年、東京都生まれ。テレビ演出家。『劇団演技者。』(フジテレビ)、『30minutes』(テレビ東京)、『週刊真木よう子』(テレビ朝日)、『湯けむりスナイパー』(テレビ東京)など、深夜帯で次々に話題作を放ち続ける、通称”深夜番長”。
●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、現在、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。6月2日に書籍『アイドル墜落日記』(洋泉社)刊行。以来、返本に怯える日々。ブログ「小明の秘話」
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