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アイドル映画専門映画監督・梶野竜太郎の【アイドル映画評】第7幕

知的に低脳な『秘密潜入捜査官 ワイルドキャッツ in ストリップ ロワイアル』

wildcats.jpg東映ビデオ

アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。

●今回のお題
インテレクチュアル低脳ムービー
『秘密潜入捜査官 ワイルドキャッツ in ストリップ ロワイアル』
監督:小林啓一/女性主演:かでなれおん、森下悠里、中村知世、大友みなみ、秋山優、早坂ひとみ、中島史恵

 こんなに、バカっぽいのに、ちゃんと面白いってのは、くだらなさを堪能できる心の領域の豊かなスタッフが集まったからなのか。もしくは、この映画通り、全スタッフがバカ一代なのか(失礼)。私はこの作品を”インテレクチュアル低脳ムービー”つまり、知的なバカ映画と呼ぶことにした。

 斉藤とも子の生足見せシーン以外、何がしたかったのかわからない珍作『ヘリウッド』のバカさ加減とはまた違う。ちなみに、『ヘリウッド』とは、昭和のハチャメチャSFミュージカル・コメディ。今は無き、渋谷PARCOのドーム映画館で観ましたよ。

sundome02.jpg『秘密潜入捜査官 ワイルドキャッツ イン ストリップロワイヤル』
“かでなれおん”×”森下悠里”の2人の人気アイドルが、はち切れんばかりのダイナマイトボディと本気の演技で魅せるエロティック・コメディ!怪事件を解決するため、選りすぐりの美女から選ばれた秘密潜入捜査官、通称「ワイルドキャッツ」。数々の難事件を解決してきた名コンビ・ハニーとバニーは、持ち前の美貌を武器にアイドルとして次なる事件の潜入捜査をするが…。(Amazonより引用)
発売:東映ビデオ
販売:東映
価格:税込4,725円

 この世に”エッチ・バカ・コメディ”は、山ほどある。特にVシネ。本当に多い。

 だが、その中のほとんど……いや、ほとんどは言い過ぎか。その中の、とある区域の作品群は、苦笑&苦痛。もちろん、お目当てのアイドルを見たいだけだからいいんだよ! っていう意見や、”NO LIFE NO 苦笑”っていう向きも少なからず、いるだろう。

 だが、この作品は違う。カントクとして断言しよう。ちゃんとしっかりと、くだらない。ズバリ、そう簡単にできるもんじゃない──。

 物語は、浴びると脱ぎたくなるストリップライトという、”夜のドラえもん”みたいなプチSFなアイテムをめぐって、お色気リーダーである、かでなれおんと、ちょ~~萌萌担当の、森下悠里が、中村知世と謎を解明していく展開。

 もーね、森下悠里のポジションが絶妙に美味いんですよ。だって見た目だけなら、超グラマラスなグラビア女王で、ヒモビキニが一番似合う”いい女”なのに、この映画では、体操着と着て、ちょ~~萌々な声で、ロリ系好きにはたまらん「てへっ♪」ってな声で、「青春の汗~かいてないか~♪」みたいなこのキャラだから許される、なんのこっちゃフレーズ満載な森下悠里が”毎週水曜日は5倍ポイント!”くらいの勢いで堪能できる。

 実は計算されたこのキャラ、さすが、森下悠里。ただ、おっぱいが大きいだけじゃないっスね。

 サブタイトルが”ストリップ・ロワイアル”ということで、要所要所に0●7のコメディが入っているのも秀逸。オープニングなんて、気持ちよく0●7パロディしてて、拍手したくなりますよ。「ゴールドフィンガー」を歌ったシャーリー・バッシーに頼んだのかと思ったもん!(褒め過ぎ)

 しかし、この映画、実は大変な冒険をしているのです。先程も触れた通り、サブタイトルは”ストリップ・ロワイアル”。なのに、誰も脱がない。というか、ヘアヌードをごく短期間だけ披露してくれたれおん嬢と、脱いだことないお嬢さんたちしかいない。そして、脱げるエキストラすらいない。普通、この手のタイトルをつけておいて、すっぽんぽんなしってのはないだろ! おいなりさんしか廻ってない食べ放題の回転寿司と同じだ! バカゾンビ映画の『ゾンビ・ストリッパーズ』(『エルム街の悪夢』のフレディ役のオヤジが人間役で主演!)なんて、ゾンビでも脱いでるぞ! ムキー!

 ……というクレームが(周囲からは、あまり)出ない。なぜだ? まぁ、推測だが、この映画の場合、途中途中にもっとエッチなシーンになりそうなシーンが多い。くー! もうちょいエッチでもいいのに~と思いながらも、物語は進む。よって、もうちょい角度が下なら見えるのに! とか、もうちょい先まで見れれば事が起きるのに! の連続を食らいながらも、物語の面白さ、バカバカしさにひかれ、時は流れてゆく。

 そうなのだ。じょじょに毒を盛られ続けるモルモットのように、私達は脱がない彼女らに免疫がついて行くのである。

 残ったのは、アホ臭い展開に笑いながら許してしまい、あ~楽しかったと言って劇場を出て行く自分の姿のみ。期待させるだけさせといて、ラストのがっかり! みたいな失敗を取らない為の構成と演出。そこまで考えたかどうかは推測でしかないですが、素晴らしき”インテレクチュアル低脳ムービー”です。PART2を望みますよ♪「キャバクラより愛をこめて」とか「ピンサロ・イズ・ノット・イナフ」とかどうっスか?
(文=梶野竜太郎)

kajinoryutaroprof.jpg

●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。9月の第2回したまちコメディ映画祭 in 台東にて、新作『魚介類 山岡マイコ』の上映が決定している。現在、トークライブ『オビカヂドカン!』に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/

●アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】INDEX
【第6回】『インストール』──女の子が部屋でひとり。何をしているのか、見たくないか?
【第5回】『お姉チャンバラ THE MOVIE』──ビキニvsセーラー服の恍惚
【第4回】『デコトラ・ギャル奈美』──古きよき時代のロマンポルノ・リターンズ
【第3回】『リンダ リンダ リンダ』──王道的傑作に潜む”多角的フェチズム”
【第2回】『妄想少女オタク系』──初心者歓迎!? BLの世界へご案内
【第1回】『すんドめ』──オナニー禁止とチラリズムの限界点

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最終更新:2009/07/30 18:00
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