お笑い界に革新をもたらした『くりぃむナントカ』の栄光を改めて検証
#お笑い #DVD #くりぃむしちゅー
くりぃむしちゅー初の冠番組として04年10月から08年9月までテレビ朝日系で放送された『くりぃむナントカ』が、初めてDVD化され、9月30日(水)に3巻同時発売される。ユルくてグダグダした笑い=”ユルグダ”路線を確立しながらも、まさかのゴールデンタイム進出半年で無残に散った番組の栄光を改めて検証する。
『くりぃむナントカ』は、04年10月深夜24時台に30分枠でスタート、その後、05年10月からテレ朝の人気枠深夜23時台の「ネオバラエティ」枠に進出。深夜ならではの、気を抜いてまったりと見られる”ユルグダ”な笑いを追求していった。あるバラエティ構成作家は次のように分析する。
「04年、スタート当時は、くりぃむしちゅーといえば、上田晋也のうんちくという時代でした。そんな中、上田があえて当時隆盛を極めた雑学路線を捨て、ボケともツッコミとも言えない有田哲平のユルい笑いをフィーチャーしたのが『くりぃむナントカ』。23時台進出後は、裏番組に高視聴率の『あいのり』(フジテレビ系)がありながらも、独自の笑いを追及して、人気を呼びました」
人気を確立した理由の一つが、随所に笑いがちりばめられた人気コーナーの数々。さまざまな場所を訪ね、その場に仕込まれた間違いを探す「芸能界ビンカン選手権」では、やたら石原裕次郎のモノマネで知られるゆうたろうが度々登場し、天丼(お笑い用語で、同じネタをカブせることで笑いを取る手法)的な笑いを見せ、東京ムツゴロウ動物王国でのロケの際にはおぎやはぎ・矢作兼が「ここはムツゴロウ王国ではない」と大ボケをかましたところ、それが実は正解だったという笑いの神が舞い降りたようなミラクルも発生した。また、深夜時代で忘れてならないのが、「長渕ファン王決定戦」長渕剛のモノマネ歌手・英二らが、長時間、長渕のモノマネライブを行い、それに何時間耐えられるかという無謀の企画だったが、2回目の放送には、なんと長渕剛本人が登場!! カラオケボックスで「ろくなもんじゃねえ」などのヒット曲を2時間半熱唱した。そのほか、番組アシスタントの座を巡って、互いの秘密をぶっちゃけあった大木優紀アナVS前田有紀アナの「アシスタント対決」、芸人らしいリアクションを競った「N(ナントカ)-1 グランプリ」など人気企画を次々に打ち出していった。満を持して、08年4月にゴールデンタイムに進出するが、深夜の栄光もむなしく、あえなく半年で終了してしまった。
「深夜番組のゴールデンタイム進出は予算も増え、出演者のギャラもアップするので、”昇格”と言われますが、番組のファンからすれば”降格”です。視聴率のためには、ファミリー向けの毒のない、誰もが親しめるあっさりした笑いせざるを得ないのが実情なので。『くりぃむナントカ』は、深夜のまま通用するような『芸能界ビンカン選手権』などの企画がありましたが、裏番組に『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)があり、視聴率は5パーセント台に低迷。『Matthew’s Best Hit TV』『銭形金太郎』などと同じく、深夜では人気でもゴールデンの客層の違いに合わせられず、終了する運命をたどりました」(前出のバラエティ構成作家)
だが、番組終了後もテレビ朝日のホームページには『くりぃむナントカ』復活を依頼する書き込みなどが殺到。09年1月と4月に深夜に単発で放送。さらに、9月30日にDVDが3巻同時発売される。収録内容はまだ未定だが、”ユルグダ”な笑いを満喫できる内容となるはずだ。
(文=本城零次)
9月30日発売。
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