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崩壊してゆく”世界最大のカジノ” マカオ──その裏道を歩く(後編)

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前編はこちらから

 マカオの経済成長は、中国とは切り離せない関係にある。ちょうど世界同時不況に陥り、有名ホテルが建設の中断を発表。労働者を大量に解雇したニュースが世界を駆け巡った。が、ここで言う「不況」とはアメリカ発の同時不況とは異なる。同国のカジノ関係者がこう声を潜める。

「米国系の某カジノが、マカオで得た収益をそっくりそのままシンガポールのカジノ建設の費用に充ててしまった。この行為に中国政府が大激怒。中国人観光客の渡航を月1回という規則を設けて、経済発展のスピードを低下させたんです」

 こんなデータがある。06年にマカオを訪れた観光客は2,200万人だった。上位の観光客を分類すると、中国本土から1,200万人、香港から700万人。観光客の約8割は中国人であり、裏を返せば中国政府は自国の富裕層の増加で個人消費が海外に流出することに懸念を抱き、カジノを主軸としたマカオへの観光誘致に躍起になったと噂されている。とはいえ、現在もカジノ収入の増加は10%台。前年の30%台と比べれば物足りないが鈍化したとは言いにくい。

 マカオのカジノは、観光客が減少しても富裕層が常連であり続ける限り、収益の減少が起きにくいという側面を持っている。それが、カジノ内でVIPルームを作り、別会社が保有・運営するという”ジャンケット”というシステムである。

 カジノの総収入に対する、実に5割がジャンケットの売上で、比重は年々高まっているという。顧客管理はジャンケットの業務であり、VIP客である富裕層との取引がカジノ側の経営にも左右。ジャンケットの会員は、必然と滞在中のVIP待遇が保証されている。

 そのジャンケットの最大手『Suncity Group』は、カジノ全体の約1割が同社の売上という急成長を続ける企業である。同社の社長、周氏は現在34歳。ディーラーから転身、30歳でネットカジノを起業して、わずか4年で莫大なる財産を築くというマカオ・ドリームを体現した人物でもある。カジノ事業は韓国やフィリピンにも展開し、約2万人を雇用。ネット事業、ディスコ経営、はては芸能プロダクションや映画製作まで。多角経営を成功させて中国本土から「マカオのミステリー」とも呼ばれている。同社の幹部はこう語る。

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「会員になるには法人と個人があり、当社の規定で是非を判別させて貰っています。ジャンケット内にVIPルームを設けて、さらなる高額レートでのギャンブルも心置きなく楽しめます」

「2日間で8億円負けた」「1回の張った額が2,000万円」という顧客も存在。その多くは中国人である。中国の富裕層は日本の金持ちと比べても桁違いというが、実際にジャンケットで出会った9割以上は中国人だった。

「お金を持て余して投資する物もない。中国の富裕層には、ギャンブルも投資の一貫と考えている人もいます」(日本の中小企業社長)

 ジャンケットはコンシェルジェサービスまで請け負う。移動はハマーのリムジンである。そういえば破産法を適用した自動車大手のGMが赤字部門であるハマーの売却を検討。中国企業が買収するという話題が日本でも新聞紙上で踊った――。

 その上昇ぶりと80年代日本のバブル経済とを重ねあわせる向きも多いが、日本の無策からマカオはなにかを学べているのだろうか?
(取材・文=加藤慶/studioKEIF)

協力/Suncity Group

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最終更新:2009/07/20 15:00
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