ウルフルズ活動休止の裏側でささやかれる「シビアなビジネス事情」
#音楽業界
ウルフルズが先日、無期限の活動休止を発表したことが、音楽業界内外に波紋を広げている。デビュー以来、ヒットにはさほど恵まれなかったものの、コンサートでは安定した観客動員を誇ってきたウルフルズ。息長く活動するタイプのバンドと見られていただけに、「なぜいま休止なのか」と失望の声も聞かれる。
しかし、バンド事情に詳しいレコード会社関係者は「これは計画通りの休止劇ではないか」と指摘する。
「ウルフルズの所属事務所TAISUKEの森本社長は、ナニワ商人風の物腰で有名なやり手業界人です。ウルフルズや、同じく所属するBONNIE PINKはいずれもデビュー以来長く低迷していましたが、同社長の手腕もあり、結果的にはヒットに結びつきました。最近ではSuperflyなどの若手も育っている。ここでさらに、ウルフルズで唯一タレント性を持つトータス松本をソロでブレイクさせるために、事務所として周辺環境の一新を図ったのが、活動休止の真相ではないでしょうか」
実際、ペプシのCMキャラクターに抜擢されるなど、最近、トータス松本をクローズアップする動きが目立っていた。また、今回の活動休止発表は、トータス松本のニューアルバム発売を間近に控え、ソロでの大型メディア露出が組まれたタイミングでのこと。やはりそこには、マーケティング的な戦略性を感じざるを得ない。
一方、ベテランバンドが直面する「収入問題」を指摘するのは、別のマネジメント事務所関係者だ。
「ベテランバンドの場合、メンバー間の収入格差の調整が難しいのです。作詞や作曲を行っているメンバーは一定の印税収入が見込めますが、演奏だけしかしていないメンバーの場合、収入の多くは事務所から支払われる給料だけ。しかし、メンバーがある年齢以上になれば、相応の給料を払う必要が出てくるため、小さな事務所にとっては大きな負担となります。それよりも、バンドを解散して中心メンバーとだけ再契約を結び、必要に応じてスタジオミュージシャンを呼んだほうが、事務所にとってははるかに経済的なんです」
いずれにしても、トータス松本以外のメンバーの生活が厳しくなるのは間違いなさそうだ。
(文=石山博美)
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