こんな時代だからこそ読みたい「無謀な冒険に挑戦した男」の生き様
米海底探査会社「オデッセイ・マリン・エクスプロレーション」(以下オ社)が、2007年にポルトガル沖で引き揚げた沈没船から現在の価値にして600億円にものぼる財宝を発見。ところが、沈没船がスペイン籍であったとして、財宝はスペインのものであるという申し立てを、同国政府がフロリダ州連邦地方裁判所に提起していたことは、当サイトで報じた通りだ(記事参照)。
そしてこの6月、財宝の所有権が100%スペイン政府に帰属する旨の和解案が出され、莫大な投資をしてきた同社は絶体絶命の窮地に立たされている。
こうしたトラブルを避けるために、「事前に引き揚げの権利及び許可を関係国と綿密に交渉しておくことは不可欠」と話すのは、国内のサルベージ企業、RST社の山本健二社長(東京都港区)。「今後は盗掘まがいの無法なサルベージは国際的に駆逐されていくでしょう。弊社は水中考古学者のロバート・F・マークス氏とコンサル契約を交わし、彼の持つ膨大な情報量と国際的な交渉能力に業務を全面的に委ねています」
(提供:RST)
本誌にもたびたび登場し、億単位のリスクを背負いながらプロジェクトの舵取りをするマークス氏とは一体何者なのだろうか。
マークス氏は、サルベージの実績において海外で最も広く知られた人物の一人だ。古語で書かれた膨大な量の古文書を解読しながら、多くの沈没船を引き揚げてきた。若い頃は冒険家としても知られ、1962年、29歳の時に、コロンブスが使用した船「ニーニャ号」を復元し、計器も食物も服装も15世紀の当時と全て同じ条件のもとで、同じルートの航海を77日間かけて敢行。そして、その冒険の記録がこのほど、『コロンブスそっくりそのまま航海記』(朝日新聞出版)として出版された。
「そっくりそのままというのは、エンジンやラジオ、救命ボート、缶詰など近代的なものを一切使っていないということ。手作りの船も長さ約15mと、レジャー用のヨットと変わりません」と話すのは、書籍編集部文芸編集長の芝田氏。なぜ今”冒険もの”なのか。
「先行きが見えない今の時代にこそ、無謀な冒険に挑戦した生き様を知ってもらい、少しでも元気になっていただければと。フィクションではない、想像を絶する緊張と恐怖と闘う男たちの姿は、理屈抜きに胸を熱くさせてくれます」
ちなみにこの冒険の功績で、マークス氏は当時のスペイン国王から「ナイト」の称号を受け、その後も多くのスペイン船の引き揚げで同国に寄与してきた(財宝は関係国と折半が原則であるため)。そのため氏とスペイン国との関係は極めて親密といわれており、現在同国海域に眠っている1000億ユーロ(約13兆円)といわれる財宝の引き揚げ権利の、今後の行方が注目されている。
一隻のサルベージで関係者たちに数百億の富をもたらしてきたロバート・マークス氏の、若かりし頃の夢とロマンの冒険実録。不況の今だからこそ読んでみるべき本かもしれない。
草食系男子たちへ
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