ニコラス・ケイジが魅せるミステリー・サスペンスの俊作『ノウイング』
#洋画
夏だから大作映画が続々と公開されてはじめているが、「ただ映像が派手なだけの大作映画は飽きた」けど、「小難しいアート系の映画はちょっと……」という人には、7月10日公開のニコラス・ケイジ主演作『ノウイング』はいかがだろうか。一風変わったサスペンス風で、受け止め方も様々ありそうで、見終わった後に互いにその印象を語り合うのも良いかもしれない。
マサチューセッツ工科大学の宇宙物理学者ジョン(ニコラス・ケイジ)は、息子ケイレブが通う小学校の記念式典で50年前のタイムカプセルから取り出された不可解な紙に惹き寄せられる。その紙には一見すると意味不明な数字が羅列されているだけだが、ジョンはその数字の羅列が過去50年間の災害、事故、テロ事件や紛争の発生と犠牲者数を的確に予言していることを突き止める。そしてその紙にはこれから先に起こると思われる事故、災害の日時と被害者数も記されていたことから、ジョンは地球滅亡の危機が迫っていることを知ることになるが……。
これまでも「地球崩壊」はさまざまな映画でさんざん描かれてきたが、本作はVFX満載の映像スペクタクルよりも、そこへ至る過程を細かに描いたミステリーサスペンスといった印象。その一方で、随所では予告編に使われているようなド派手な災害シーンなどもあり、そのさじ加減は、斬新なビジュアルとミステリアスなストーリー展開でカルト的人気を誇る傑作『ダークシティ』のアレックス・プロヤス監督の手腕によるところが大きいだろう。
あらかじめ定められた地球崩壊の危機を、一介の科学者にすぎない、ひとりの人間に止めることができるのか? 「地球滅亡」というところまで一気に大風呂敷を広げた映画の結末はどこへ行くのか? 50年前に予言された数字の羅列の謎は? 主人公の息子の前に時折現れる怪しげな男たちや謎めいた声は……?
ジリジリと進む物語に少しじれったさも感じるが、その間にあれこれと先を予想しながら見ると面白い。この映画の評価は、ラストを受け入れられるか否かで変わってくるだろから、結末でその予想が的中して納得するか、あるいは予想を覆されてアッと驚くか……。
ベートーベンの交響曲第7番第2楽章が印象的に使われているのも、監督のセンスがうかがわれる。この映画が面白いと思った人は監督の出世作『ダークシティ』もご覧あれ。
(eiga.com編集部・浅香義明)
『ノウイング』
『ノウイング』ニコラス・ケイジ インタビュー
『ノウイング』映画評論
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