週刊現代シルバー世代向けトルコ風呂もいいけど、ポストの民主党政権予測は他誌を圧倒!
#雑誌 #出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
部数低迷が叫ばれ、その存在意義が問われども、テレビや大手新聞が”書けない”真実を暴く週刊誌ジャーナリズム──。毎週発売される各週刊誌の中から、伝説の編集長・元木昌彦が選りすぐりのスクープ大賞を認定!!
●第4回(6月30日~7月6日発売号より)
第1位
「民主党政権『3ヶ月後のニッポン』明と暗大予測」(「週刊ポスト」7月17日号)
第2位
「寝言は寝て言ってくれ!暴行 淫乱 不倫『東国原宮崎県知事』の傷だらけの脛がゲラゲラ嗤ってる」(「週刊新潮」7月9日号)
第3位
「ここが天国にいちばん近いお風呂か」(「週刊現代」7月18日号)
現代は、伊集院静・日垣隆・藤島大の新連載を始めた。藤島氏のラグビーを扱った連載は、編集長の好みだろう。伊集院氏は、かつて新潮の名コラム、山口瞳の「男性自身」になりうるか。日垣氏は、現代の中で、唯一はっきりしたもの言いで愛読している大橋巨泉氏のコラム(今週の「オバマの歴史的タバコ新法を見て見ぬふりをしていた日本の大新聞の堕落」も必読ですぞ)と、どこかでぶつかりそうな気がするが、よけいなお世話か。
ここ何代か続いた、若者層や女性層取り込み路線をあきらめ(?)、シルバー路線に戻ったのか、今号のグラビアは、「マドンナたちの記憶1970年代扁」で秋山庄太郎氏が撮った超懐かしい表紙を並べ、大特集に「みんな悩んでいる『老いた親』のトラブル解決します!」を組んでいる。
中でも、今週の第3位、伝説のソープランド体験記は、私のような「トルコ風呂世代」には、涙が出るほど懐かしい。私が現代の編集現場にいた頃は、毎週、トルコ風呂紹介の記事をつくったものだ。「トルコ徒然草」「トルコ奥の細道」などは、いまだに名作との誉れが高い(誰が評価しとるんじゃ!)。
しばらく前に、福岡のソープランド街に、二ヶ月に1回出る年金を手に、高齢者たちが列をつくる店があるという話しを聞いたことがある。今時の草食ひ弱軟弱男たちには、この世代の「欲望」の深さはわかるまい。
ここで紹介されているソープランドは、熊本空港からクルマで約30分。90分で4万2000円也だが、芸能人や会社の偉いさんたちで盛況だそうだ。往生するならこんな所でしたいものだが、店は迷惑だろうね。
第2位は、「私を総裁候補に」発言で賛否両論渦巻いている東国原知事に対する批判記事。相手を批判するなら、これほど徹底的にやらなきゃダメという見本のようなタイトル、さすが新潮だ。フライデーへの集団暴行や16歳少女との淫行疑惑、果ては不倫で慰謝料払ったりと、いかに、この人間が一国のリーダーに相応しくないか、書き連ねてある。
しかし、中味を読まなくても、タイトルだけ見ればすべてわかっちゃうのって、いいタイトルなのかね?
第1位は、静岡県知事選で、民主党候補が勝つことを見越しての特集づくりで、現代に圧勝したポスト。
もはや、都知事選、総選挙で民主党が勝つことは、ほぼ既定路線。ならば、民主党政権ができて3ヶ月後のニッポンはどうなっているのかをシミュレーションしている。
株と景気では○。高速道路無料化でも○。雇用では「派遣の給料アップ」はあるが、「正社員はダウンする」から△か。年金と医療は、ミスター年金・長妻昭議員の力量に負うところ大で、これも△。天下りは全廃され、公務員の定年を65歳まで延長するから、窓際族公務員が7万人出現するが、多くの国民にとっては○。地方分権では、各自治体の財政管理部局に、これまで扱ったことのないような額の資金が集まり、予算を握った「自治労役人」がふんぞり返ることになるというから△。外交・安保では、党内でも右左がいて、連立政権相手の社民党とも考えが違うから、一旦有事の際、閣内不一致で立ち往生するという予測で×。
記事全体では、いまの自民党より少しはましな政権になりそうだが、本当にそうか。
「政権交代」だけを唯一の錦の御旗にして、バラ色のマニフェストを掲げる民主党を、選挙前にきちっと検証する記事を、さまざまなメディアがもっとやるべきであること、いうまでもない。
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。
【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)ほか
●元木昌彦の【週刊誌スクープ大賞】INDEX
【第3回】 新潮・文春、二大硬派週刊誌を押さえ、今週も『フライデー』が熱い!
【第2回】 週刊誌ジャーナリズムの原点 『女性自身』の長寿連載の真価
【第1回】 「フライデー」の”百聞は一見にしかず”強硬グラビア
洋娼、吉原、ストリッパ、トルコ嬢……
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