『インストール』──女の子が部屋でひとり。何をしているのか、見たくないか?
#アイドル #映画 #梶野竜太郎 #上戸彩 #神木隆之介
アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。
●今回のお題
女の子が部屋でひとり。何をしているのか、見たくないか?
『インストール』
監督:片岡K/女性主演:上戸彩
例えば、AV女優がエッチなシーンを演じ、気持ちよくなり、濡れてしまう様をDVDで鑑賞すると、そりゃあ、エッチを演じるプロフェッショナルなので、観ている方も「おおぉ~」っという心のシャウトにより姿勢が前かがみとなり、「いい女だな~~~~」とか言いながら堪能してしまう。これ、男として当たり前の生理現象。
更に上のクラスになると、「プロフェッショナルじゃない」っぽさを求めてしまう。「芝居よりも、リアル追及!」みたいな感じ。
もちろん、”リアル=芝居下手”ではない。例えば、坂上とし恵主演の『胸さわぎの放課後』みたいな全編棒読みは、リアルではない。
してみる? する? したい?
“恋も勉強もイマイチうまくいかない、平均そこそこな女子”として過ごす毎日に突然脱力してしまった朝子(上戸彩)は”学校へ行く”という習慣を捨てた。いつものように制服を着て家を出て、母親(田中好子)の出勤を物陰から確認し、家へ戻る。「あんたにゃ人生の目標がない」とお説教してくれる片思いの彼(中村七之助)もいるけど。「もう17歳」という焦燥感と「まだ17歳」という安心感。このまま小さくまとまった人生を送るのかもしれないと思うとどうにも苦しい。
朝子が捨てたパソコンを拾っていった小学生のかずよし(神木竜之介)はかなり変わっている。カワイイ顔をしてパソコンをインストールし直し、押入れでこっそりネットにつなぎ、いいバイトを見つけたという。それは人妻”ミヤビ”の身代わりエロチャット!
そこでふたりが見たものは……。
まぁ、プロレスとK-1の違いみたいなもので、マジな動きが、「本当の女の子って……こうじゃね?」とか想像しながらウキウキする。そして、その最上級が、リアルかついつもは可愛いみんなのアイドル♪ が、女の一面を魅せ、キレイに堕ちた時。例えば、クラスでダントツ人気者で、片思いな女の子が、自分の部屋でひとりになったら何してるのかぁ~みたいなっ!
この価値観は、”ひとりの裸の女性を1時間好きに出来る権”の、およそ1京2000億4500万倍の価値はある。
そんな! 部屋で1人! たまに小学生男子と! しかも、押し入れ! しかも、ず~~~っと、制服! それも、飾っていない白&紺スカ!
でもって! スカートギリなカメラアングル! さらに! 文字にも起こせないエロワード羅列!(女性器名とかね)
この物凄いエロエベレストの頂点を制したのが! たぶん、ここ10年の、上戸彩歴の中で一番かわいい上戸彩なんです! これ! どうしますか! 持ち帰りますか!
たぶん、台本だけを読むと、官能小説(いわゆるポルノ小説)にしか、思われないよ! ってくらい上戸ちゃんが喋るべきセリフが、とんでもなくエロく熱く暑く篤い! しかも、この頃の上戸ちゃんなので、今のような”若手大物女優”以前の”女子高生にしか出せない女優らしさ炸裂時代”の上戸ちゃんなので、もう、リアル&リアルbutリアル!! 完璧な美味さですね!
私の作品でもいつも心がけてるのですが、台本を喋っているだけの芝居は、どんなに上手くてもそれは”芝居”であって、演技と同時にリアルを求める場合、その世界観の人物に感情ごと入り込んで頂かなければならない。
『インストール』だと、エロチャットに没頭し、感じ、濡れ、他の人の前では絶対に見せない上戸彩にならなければいけない。
それは、女優と監督との完全な勝負。役に徹しさせながら、上戸彩でもある。この映画の場合、見事な名勝負が繰り広げられている。
それでいて、ちゃんと女性も楽しむ&共感できるような、オシャレな作りになっているため、男には、エロく、女性には、共感できるような楽しい映画に仕上がっている。まったく、商売的にも上手いでやんすね!(やらしいな)
上戸ちゃんをエロ芝居に拍手を贈ることばかり、早く書きたくて、物語を説明するの忘れてましたが、何処にでもいる登校拒否の女の子が、マセた小学生の男の子と、エロチャットで儲けるお話。
男の子は、今や若手の大物、神木隆之介。たぶん、この撮影時では一番芝居のうまい小学生男子だろう。その男の子がまた、男の気持ちをウブに演じてくれるんですよ。ほれ、あるじゃないですか、小学生男子特有の、お姉さんに憧れちゃう系の行動が! おっぱい触りたいとか! ギュってして欲しいとか! もう、いい大人の私でさえ、小学生だった時の自分に、トランスフォームしちゃいますよ! この映画を観るたびに!! いいなぁ~神木隆之介……(そっちかよ)。
(文=梶野竜太郎)
ぼくもインストールされたい。
●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。2008年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。今後の展開に『メンタイマン』他がひかえている。現在、トークライブ『オビカヂドカン!』に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
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