トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 期間限定!? 幻想的な蝶の羽化を真面目に眺める『オオムラサキセンター』
【退屈巡礼】vol.20

期間限定!? 幻想的な蝶の羽化を真面目に眺める『オオムラサキセンター』

tokyokaseryo.jpg巨大なオオムラサキがお出迎え。

この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈そうな場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第20回は、日本の「国蝶」オオムラサキに出会えるという、山梨県の『オオムラサキセンター』をたずねてみました。センター内の様子はこちらから

 突然ですが、よく「日本人の常識」みたいなクイズ番組で出題される「国花」や「国鳥」はご存じでしょうか。日本の国花は桜、これは常識(もしかすると菊だと思っている方もいるかもしれませんが……)ですが、国鳥はキジ(トキじゃないですよ)、そして国蝶は? となると、そもそも「国蝶」自体にピンとこないかもしれませんが、正解は「オオムラサキ」です。ちなみに、もっとピンとこないかもしれない「国魚」はニシキゴイ。覚えておくと……ま、人生のどこかでは役に立ったり立たなかったりするかもしれません。

 ところでそのオオムラサキ、切手にもなっているのでなんとなく覚えがあるかと思いますが、でも、オオムラサキって実際に見たことありますか? 資料によると、オオムラサキが国蝶に指定された昭和32年当時は「全国で広く見ることができる」というのも選ばれた理由のひとつだったらしいのですが、今となってはすっかり数も減ってしまっているので「そういえば見たことないかも?」という人も多いのではないでしょうか。少なくとも、桜やキジやニシキゴイと比べると、かなり見る機会が少ないと思われます。

 というワケで、7月はオオムラサキの羽化シーズン。これを機会に、野山に観察に出かけましょう!……といっても、なかなか普通の人は乗り気になりませんよね(笑)。そもそも、どこに行けば見られるかわからないし……と、そんな人でもほぼ確実に生きているオオムラサキに出会える所があるんです。それがこの「北杜市オオムラサキセンター」。このコラムでいつも紹介している”がっかりスポット”とはやや趣きが違いますが、なかなか知らなければ行く機会もなさそうなので紹介してみたいと思います。残念ながら「虫」ってだけで全力で拒絶するような人にはがっかり以前の問題かもしれませんが……。

 さて、山梨県のこのあたりは日本ナンバーワンのオオムラサキ生息地で、その自然環境を保護する形でこのセンターが存在しています。その館内にある生態観察エリア「びばりうむ長坂」という、野山にそのまま、ものすごく大きなカゴをかぶせたような施設(温室のような人工的な感じではありません)で、オオムラサキをはじめ、さまざまな昆虫が飼育されているのです。で、さきほど「ほぼ確実に出会える」と書いたのには理由がありまして、自然のままの姿で飼育されているので、羽化シーズン以外はどういった所にいるのかという知識や観察眼、あと少しばかりの運がないと見つけられないかもしれません。しかし、羽化シーズン(7月中旬ぐらいまで)なら乱舞するほど見られるらしいので、あまり発見する自信がない方はぜひ今のうちにどうぞ。もっとも、夏の間なら少し羽化シーズンを過ぎても簡単に見つけられると思いますのでご安心を。

 何かと最近は呪文のように「エコ」が唱えられがちですが、こういった押し付けがましくない形で自然の素晴らしさを実感できるなら、なかなかいいんじゃないでしょうか。ささやかだけど印象に残りそうな夏休み向けのスポットとしてもオススメです。

tokyokaseryo.jpg
tokyokaseryo.jpgオオムラサキセンター外観。上から見ると、建物自体がオオムラサキの形をしていたりする。

tokyokaseryo.jpg
tokyokaseryo.jpg生きているオオムラサキが観察できる「びばりうむ長坂」。一見すると温室のよう
ですが、実際は「巨大な虫カゴ」のような構造で、周りの野山と中は歩きやすくな
っている以外はあまり大差がない。もちろん、それが良いんですが。

tokyokaseryo.jpg
tokyokaseryo.jpg取材時は羽化シーズン前だったため、数時間かけて探したオオムラサキ。
7月のシーズン中なら乱舞するほど見られるとのこと。
羽化を見たいなら午前中のうちがオススメ。

tokyokaseryo.jpg
tokyokaseryo.jpgもちろん、標本や模型などでもオオムラサキの生態を解説。
巨大な解剖模型は少々ぎょっとしますけどね。

●ご利用の心得

・知的好奇心強めの方にはオススメ。でもバカ騒ぎは厳禁ですよ。
・昆虫採集ができるわけではないので、勘違いなさらないようにご注意ください。
・虫が嫌いな人を無理につれて来るのはおやめください。たぶん、かなり不機嫌になると思います。

●あまり親切でないご利用案内

■開館時間 午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
■休館日 毎週月曜日(祝日は開館、翌平日休み)、祝日の翌日(土・日曜日の場合を除く)および年末年始(12月28日~1月4日)
■入館料 大人400円 小中学生200円
■所在地 山梨県北杜市長坂町富岡2812
■アクセス JR中央線日野春駅より徒歩約10分。車の場合、中央道長坂I.Cまたは須玉I.Cから10分程度。
■HP http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/~oomurasaki/
(取材・文/大黒秀一)

チョコエッグ 日本の動物 第3弾 084 オオムラサキU触覚

チョコエッグってなんかなつかしい

amazon_associate_logo.jpg

●連載「退屈巡礼」INDEX
合掌造りの村に突如現れる”超B級”駄洒落スポット『かえる神社』
『コスモアイル羽咋』に愛すべき”UFOバカ”のド本気を見た
『横浜税関資料展示室』のハードコア展示にお役所の狂気を垣間見る
こ、怖すぎる! いにしえの猟師の暮らしを超リアル再現『平家狩人村』
マニア必見!? レトロモダンな”団地”を完全再現『松戸市立博物館』
トラウマ必至の地獄絵図『伊豆極楽苑』がヤバすぎる!
「税金の無駄遣い!」山梨『大門碑林公園』は今日も閑古鳥
“暴走”するハコモノ!? マニア垂涎『彩の国ビジュアルプラザ』
年間10ヶ月オフシーズン『ほたるいかミュージアム』は大丈夫か
食べて満足!? 『駿河湾深海生物館』の深すぎるユル空間
B級スポット…じゃなかった!!『かまぼこ博物館』の超A級展示
謎の珍棒に「タッチ・ON」!? 那須高原『SLランド』で子供が号泣中
守衛も呆れる奇跡のダメハコモノ?『大型児童館 ビッグバン』
空飛ぶガマ!? がっかりを楽しむB級スポット『ガマ洞窟』
ユルいからこそ胸を打つ!?『関ヶ原ウォーランド』の反戦主張
世界の中心で「発祥」を叫ぶ!? 愛知『桃太郎神社』の本気な主張
そこに未来はあるか!? 『リニア見学センター』の意外な現実
これじゃ破綻も必然?『私のしごと館』に行ってみた

最終更新:2014/06/19 13:15
ページ上部へ戻る

配給映画