男子禁制!? 女性による女性だけのカードゲームワンダーワールド(前編)
#イベント #萌え #サブカルチャー
イベント。時折会場に迷い込んでしまった草食系男子が、女子校的オーラに気圧され、
すごすごと引き返す後ろ姿に、なぜか謝りながら取材を敢行。
ずっとオレのターン!!!!
で、お馴染み(!?)のトレーティングカードゲーム(以下TCG)。TCGと言えば、やっぱり小学生男児が夢中になってる遊びというイメージや、レアリティの高いカードを血眼になって買い集めるマニアとか、辞書を片手に難しい単語を翻訳しつつあーだこーだとカードの効能を考えるデュエルな人々の、あまり真似をしたくない日常などを想像することでしょう。
と・こ・ろ・がっ! こうしたTCGの世界に、今、異変が起こっている。男子ばかりが夢中になっているTCGに、なんと女子向けなるものがっ! 今春、(株)ブシロードからリリースされた史上初の女子向けTCG『アリス×クロス』がソレ。現在、女性カードゲームプレイヤーがジワジワと増殖しているらしい……。
『アリス×クロス』とは、アニメ・ゲームなどを好む女性層をターゲットにしたTCGのこと。乙女たちが萌萌したりキュンキュンしたりするゲームやアニメのキャラクターをあしらったカードで、対戦をしあう。ルールは至って簡単。主人公とパートナーを設定して、原作さながらのドラマチックなイベントを発生させ、ラブポイント(相性というか相手との絆みたいなもの)を上げて、先に恋愛を成就した方が勝ちというものだ。遊び過ぎても「もう1人の僕」は出てきませんからご安心を。
「男子向けの”デュエル”のように相手を”うち負かす!”というようなギラギラした感じではなく、あくまでも”先に幸せになりますっ”というスタンスが女の子向けなんですね」と、『アリス×クロス』のプロデューサー・朝倉千絵美さんは語る。
さらに「女性ユーザーを対象に、ルールを説明する講習会や、女性限定の大会がありますから、一度ご覧になられては?」(朝倉さん)とのお誘いを頂き、男子禁制の会合におじゃましてみました。
場所はヲタクの聖地アキバの某所。普段は、フリーのデュエリストたちが対戦相手を求めて集うサロンのようなスペースとして有名なスポットなのだが、この日は『アリス×クロス』ご一行様の貸し切り。会場は見渡す限り、女子、女子、女子。オシャレな服装で、壇上のスタッフの説明に聞き入る姿は、まるでカルチャースクールを思い浮かべる。ただ、手元にはスイーツの材料ではなく、カードが並ぶ。
ルールの講習が終わったところで、いよいよ実戦。まったくの初対面らしき女の子らが、おもむろに対戦を始める。だいたい1回の対戦は10分前後。決着が付くや、対戦前の堅い表情消え去り、みな笑顔で語り合う。死闘を繰り広げたあと、互いを好敵手と認め合ったあの瞬間だろうか?
「いえいえ、違うんです。実はこのTCG、女性に人気のゲームやアニメ、コミックを元に作られているから、好きなキャラについての共通の話題でのおしゃべりがしやすいんです。会場で新しいお友達ができましたというお話をよく聞きますよ」(朝倉さん)
なるほど! 『アリス×クロス』を起点に、新しいコミュニティができるというわけだ。新しい「何か」が生まれつつある、そんな雰囲気を感じずにはいられない。そもそも『アリス×クロス』が生まれた経緯はどんな感じだったのだろうか?
「弊社の木谷(ブシロード代表)の構想の中で、女性にもカードゲームを楽しんでもらいたいという目標がありまして。やはりTCGカンパニーと謳っているカードゲームの専門会社ですから、どこもやっていないことにチャレンジしてみようとこのプロジェクトが立ち上がりました」(朝倉さん)
「TCG専門会社と名乗っているところは他にありませんからね」((株)ブシロード副社長・黒川文雄さん)
おぉっ!? 黒川さんっ! いつの間にっ!
「他社さんの場合、TCGを扱っていても、他にキャラクターグッズやコンシューマゲームや玩具を扱っている場合があるんですが、我々はTCG専門に特化していこうと思っていて。実は、新しいカテゴリーを作りたいんですよ。言い方が良いかわかりませんが、”業界”をつくりたい。ゲーム業界、玩具業界のように、TCG業界というものを確立したいと思ってまして。その中でTCG専門会社としては、オールジャンル、オールカテゴリー、オール年齢なるスタンスで商品をリリースしていくべきというのが大前提にあったんです。また、最近、女性がゲームやアニメなど、ある種のバーチャルな妄想の世界に強く関心を持って参入してきている現状がある。ボーイズラブゲームとか、恋愛シミュレーション的なゲームに対して、女性ユーザーは非常に敏感に反応していることも考えると、やはりそこに1つ市場があるんじゃないか? と、考えたのが弊社代表の木谷でした。彼のアイディアと現場の女性スタッフがプランニングをしていって、『アリス×クロス』というゲームが生まれたわけです」(黒川さん)
ゲーム業界では知る人ぞ知る人物が関わっていたとはっ! 後編ではTCG市場の展望から新ジャンル開拓構想まで、黒川大先生のご講釈をご披露!
(後編へ続く/取材・文=竹石和幸【ヘッドルーム】)
●『アリス×クロス』
業界初の女性向けTCG。カードの種類はいろいろあって、女性の主人公と男性キャラの恋愛がテーマの「Side Queen」と、男性の主人公が繰り広げる作品がテーマの「Side Joker」の2系統がある。現在「Side Queen」には、『緋色の欠片』(オトメイト)、『VitaminX』(ディースリーパブリッシャー)、『D.C.Girl’s Symphony』(サーカス)の3作品、「Side Joker」には、『咎狗の血』(Nitro+CHiRAL)、『純情ロマンチカ』(角川書店)の2作品がリリースされている。
●黒川文雄(くろかわ・ふみお)
(株)ブシロード副社長。かつてセガ・エンタープライズゼス(現セガ)の泣く子も黙る「AM2研」にて、カリスマクリエイーター鈴木裕とともに『バーチャファイター』の宣伝を担当。後にデジキューブにてコンビニでゲームソフトを販売を、デックスエンタテインメント社で映画製作、オンラインゲームを手がける。アーケード、コンシューマ、開発、流通、ネットワークetc…….ある意味ゲーム業界のグランドスラムを達成した人。
乙女ゴコロが萌えます
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