ネタ切れハリウッド苦肉の策!? 『スター・トレック』の新たなる始まり
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最近のネタ切れ気味なハリウッドで、リメイクのほかに多く見かけるのが、過去の人気シリーズの再スタート。単純にリメイクするのではなく、新たに描き直すことで過去のファンを取り込みつつ、新たなファンを開拓し、そこからフランチャイズ化していこうというのがスタジオの狙いだ。
たとえば、かつてティム・バートン監督が手がけた『バットマン』(89)を新たにスタートさせたクリストファー・ノーラン監督の『バットマン・ビギンズ』(05)は、旧シリーズの悪夢的なファンタジー要素よりも現代的なリアリティを重視した作りが受け、その続編となる『ダークナイト』(08)に至っては、娯楽性と社会性を兼ね備えた傑作映画として絶賛され、故ヒース・レジャーの怪演もあって『タイタニック』に次ぐ歴史的な大ヒットとなったのは記憶に新しい。新シリーズ3作目ももちろん製作が決定していて、これは大成功した例。しかし、一方で『スーパーマン』(78)を新たに仕切り直した『スーパーマン・リターンズ』(06)のように評価も収支も芳しくないと、その後が続かないというものもある。
5月29日から公開中の『スター・トレック』も、そんな過去の人気シリーズを新たに描く”新シリーズ”の1本目となる作品。1960年代に「宇宙大戦争」として放映されたTVシリーズが元祖で、79年に『スター・トレック』として映画化された後、計10本の映画が作られる人気SFシリーズとなった。今回の『スター・トレック』は、地球やバルカン星などからなる惑星連邦に所属する宇宙船エンタープライズ号とそのクルーたちの冒険を描くという舞台設定や主な登場人物はそのままに、物語を一新。文字通りゼロからスタートした新作だ。
主人公はジェームズ・T・カーク。進むべき道を見出せずに無鉄砲で荒れた生活を送っていたカークは、惑星連邦の伝説的なキャプテンとして語られる亡き父を知る人物に誘われ、惑星連邦に入隊。新造宇宙戦艦”USSエンタープライズ”に乗り込み、冷静沈着、頭脳明晰なバルカン人のスポックと対立しながらも、宇宙の危機に立ち向かっていく中で成長していく。
過去のシリーズではエンタープライズ号の名キャプテンとして知られているカークが、いかにしてキャプテンになったかを描いたという点で、過去作ファンにはうれしい物語でもあるし、他にも過去シリーズのスポック役として知られるレナード・ニモイが意外に重要なかたちで登場していたりするなど、過去作ファンを喜ばせる要素は多い。
とはいえ、これまでのシリーズを知らない人にとっても、ゼロから始まっているのでひとりの青年の成長物語として見ることができるはず。加えてスピーディな展開に怒涛のアクションシーンもふんだんで娯楽作品としても目を楽しませてくれる。アメリカでは大ヒットスタートを切り評判も上々で、シリーズ第2弾の製作も決定。新しいシリーズ物として、これから楽しみたい人にはうってつけの1本だ。
監督は、人気TVシリーズ「LOST」や、斬新なバイラルプロモーションで成功した映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』などのプロデューサーで、稀代の仕掛け人として知られるJ・J・エイブラムス。本作の成功でまた名を上げた、注目のクリエイターだ。また、主演のカーク役のクリス・パインは”第2のブラッド・ピット”とも言われているイケメン俳優で、こちらも今後の活躍が期待されることから、注目しておきたい。
余談だが、アメリカではオバマ大統領が「スポックに似ている」と言われ、気になってこの映画を鑑賞したそうだが、その結果、いたくお気に召したようで「すごく良かった」と発言。大統領のお墨付きももらって、『スター・トレック』の新たな航海はまさに順風満帆だ。
(eiga.com編集部・浅香義明)
『スター・トレック』
『スター・トレック』J・J・エイブラムス監督、主演クリス・パインほか インタビュー
彼らのように。
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