『コスモアイル羽咋』に愛すべき”UFOバカ”のド本気を見た
#退屈巡礼
どう見ても本気です。
この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈そうな場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第18回は、石川県羽咋(はくい)市の『コスモアイル羽咋』をご紹介。「UFO関連」となるとついつい「胡散臭ぇ!」からの「ガッカリ」を期待してしまいますが、いやはや、本気で目をみはってしまいました。(館内の様子はこちらから)
全国各地、いろんなもので町おこしをしているものですが、いちばんスゴいなぁと思うのは、「出るんだか出ないんだかわからないシロモノ」での町おこし。たとえばツチノコなんかもそうですが(毎年「今年も見つかりませんでした」というオチのイベントが開かれていたりします)、もっとも熱いのは、やはりUFO関係でしょう。日本各地に「UFOの目撃情報が多い」というのをウリにした町がありますが、中でも石川県・羽咋市はマニアも認める「UFO神話の街」として有名な地。ここに古くより伝わる「そうはちぼん伝説」はUFOのことだと言われている(古文書の巻物に記されているあたり、そのテの話が好きな人にはたまりません)という歴史の長さ、そしてつい数年前も、正月番組の生中継中に謎の光る飛行物体が記録されるなど、かなりしっかりと”実績”のある「UFOの里」なのです。
そんな羽咋市のUFO町興しの中心にあるのが、宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」なる博物館。UFOの里であり、しかも”宇宙の出島”なんて銘打たれたコスモアイル、さぞかし宇宙に向かって(いろんな意味で)電波を発しているに違いない! と期待せずにはいられません。
実際に到着してみると、付近は想像以上にのどかな住宅街で和んでしまいましたが、そんな平和な光景に、いきなり現れるUFOのようなドームにまずビックリ。そして玄関わきには「実際に使用された」と説明にあるロケットまで立っています。正直、もう少しほのぼの……というか、B級っぽいテイストも期待していたんですが、どうやらガチで宇宙科学博物館のようです。
そして、外観に負けず、中の展示もなかなかの充実ぶり。アポロ宇宙船や月面着陸船から火星探査車、ボイジャー惑星探査船など、すべて実物大で、実物と同じパーツを使って作られたパーフェクトなレプリカがギッシリと並べられ、ヴォストーク宇宙カプセルに至っては、実際に宇宙から帰還したというマジモノ!(発ガン性物質が含まれているので手を触れるな、と怖いことが書いてある) こういう物言いはたいへん失礼ですが、まさかこんな物があるとは……という気さえする展示物には、いい意味で予想を裏切られました。
……というマトモな展示はさておき、UFOは無いの? と思ったら、ちゃんと関連ブースもありました! ですが、こちらもトンデモ系というわけではなく、極めて科学的かつ冷静に科学者がUFOを語るコーナー。グレイ型宇宙人の解剖人形などもあるんですが、片隅に追いやられてなにやら悲しい状態に……。
そんなワケで、ハッチャケたものを期待して来たUFOファンにはやや物足りないかもしれませんが、それでもこの素晴らしい内容には大満足。もしB級テイスト的なものを求めるなら、町のあちこちにあるUFO型の街灯や看板や「UFO定食」「UFOラーメン」といったムチャなメニュー、さらには「ユーフォリア」なる温泉施設まで、町をあげてのUFOバカ(褒め言葉です)っぷりを探索するといいでしょう。個人的にいちばんツボだったのが、錆びていてよく見えなかったんですが「U(うどん)・F(ふとん)・O(おふろ)」という看板。一体、どんな店だったのか、UFOよりも気になって仕方がありません。
アポロ司令船の実物大レプリカ。中までしっかりと造られています。
ちなみに「アポロチョコ」はもちろんこの形がモデル。
これもおなじみのマーキュリー宇宙カプセル。こちらも中の計器はもちろん、
見えないところまでこだわって再現されているとのこと。
「発ガン性物質が含まれております」という注意書きにはなんとなく恐怖。
タイプのレプリカで、NASAにあった素材はこれのために使い切ったんだとか。
UFO関連の展示もそれなりに。羽咋ならこちらがメインかと思っていた人には
少々物足りないかもしれませんが、UFOの破片? や、読み応えのある資料は必見。
売店ではUFOグッズやNASAグッズなどが充実の品揃え。
●ご利用の心得
・残念ながら(?)UFO博物館ではありません。でも宇宙開発の博物館として見どころたくさん。
・エレベーターの中など、意外なところにも仕掛けがあるのであちこち探検してみよう。
・博物館だけでなく、羽咋の町のあちこちにあるUFOネタも満喫しましょう。
●あまり親切でないご利用案内
■開館時間 午前8時30分から午後5時
■休館日 火曜(夏休み期間は無休。祝日にあたる場合は開館、翌平日に休館)
■入館料 大人350円 小中学生200円
■所在地 石川県羽咋市鶴田町免田25
■アクセス JR七尾線・羽咋駅より徒歩8分。車の場合、北陸自動車道経由、能登有料道路・千里浜I.Cより5分程度。
■HP http://www.city.hakui.lg.jp/cosmo/
(取材・文/大黒秀一)
火星へ行こうよ!
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