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緊縮財政に右往左往の新聞社 秘策は”締め切り繰上げ”!?

shinbun_0522.jpg東京・築地に屹立する、朝日新聞社の社
屋。記者の収入は30代で1000万円を超え
るとされ、同紙が貧困問題を扱っても、「金
持ちに貧乏人の気持ちがわかるのか?」と
揶揄されることもしばしば。だけど、今後は
その給料もアブナイ!?

 昨秋からの不況による企業業績の悪化が、連日新聞紙面を飾っている。しかし、報じる側の新聞社の業績悪化もまた、深刻化の一途をたどっている。インターネットの成長に押された読者数の減少という長年抱えている構造不況に加え、今般の世界同時不況により、自動車メーカーや電機メーカーなど、大企業による広告出稿のとりやめが進んだことが、追い打ちをかけているのだ。

 「『よその会社の経営危機を報じてる場合じゃないだろ』なんて、仲間内ではよく言いますよ(苦笑)。以前から業績悪化がささやかれていた毎日、産経、時事だけでなく、これまで勝ち組とされていた朝日や読売、日経でさえ、かなり苦しい台所事情だと聞きます」(全国紙経済部記者)

 実際大手紙各社では、着々と経費削減やリストラが進められている。産経では、夜討ち朝駆けに欠かせないハイヤーの使用制限を実施。同社の若手記者は、「これまでは、社会部の警視庁担当や検察担当は、取材の足としてほぼ毎日使っていた。ところが、大幅に使用が制限されるようになって、電車を使って取材先に向かうことも日常化している。ハイヤーなら2~3件取材できる時間でも、電車では1件行くのがやっと。体力的にもキツイし、不満が充満して社内の雰囲気は悪くなっている」と、窮状を切々と訴える。同社では今春、40代の社員を対象とした早期退職の募集も行われており、利益確保に向けたなりふり構わない取り組みが進められている。

 また、企業からの広告出稿が抜きんでて多かった日経にも、業績悪化が影を落としている。同社は、4月に予定していた業務部門の採用試験を、3月末に突如として中止。編集部門やデジタル部門の採用は予定通り行われたが、すでに数百人からの応募が集まっていた試験を中止するのは、極めて異例のことだ。

 「新しい超豪華本社ビルを大手町に4月に建てるなど、積極的な経営を進めてきたが、盤石と思われてきた企業からの広告出稿が急減するなど、収益基盤が大きく揺らぎ始めているんです。

 採用の中止はそういった事態を受けた措置。財界には、『立派な本社ビルを建てた企業の業績は悪化する』という格言があるが、社内では『今のうちがまさにそうだ』という声がよく聞かれますよ(笑)」(日経の中堅記者)

 これまで中途採用を積極的に行っていた朝日や読売でも、その募集が抑制されているといい、緊縮財政はまさに新聞業界全体に広がっている。そして、ここにきて新聞業界では、経費削減に向けた「ウルトラC」(全国紙関係者)も検討されているという。それはズバリ、締め切り時間の繰り上げだ。

 「現在、新聞社の朝刊の締め切りは、業界内の協定で午前1~2時と決められているが、これを11~12時台に繰り上げることが協議されているという噂を聞きます。そうすれば、電車が動いているうちに帰宅できるようになり、タクシーの使用料金を大幅に縮減できるようになるわけです。ただ、締め切り時間の繰り上げは、報道機関としての存在価値を自ら落とすことにもつながるので、協議は難航しているようですが」(同)

 しかし、こうした取り組みも焼け石に水だとの指摘も少なくない。前出の全国紙経済部記者は、「今の全国紙は横並びの取材ばかりで、紙面も代わり映えしない。誰でもできるような取材は通信社に任せるなどして、官公庁などに大量に張り付けていた記者を減らして独自の取材に振り分けるなど、抜本的な改革をしなければ生き残ることはできない」と話す。これまで、規制や既得権益に守られ、まともな経営を行ってこなかった新聞社だが、ここらで真剣に生き残りを懸けた構造改革に踏み切らなければ、新聞が「過去の遺物」になるのも、そう遠い未来ではないのかもしれない。
(文=編集部/「サイゾー」6月号より)

新聞社販売局担当員日誌

揺らぐ新聞社の屋台骨。

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最終更新:2009/05/23 11:00
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