大人だって恋したい! アラ還・アラサー向け作品が続々登場
#映画 #邦画
30歳前後を指す”アラサー(Around Thirty)”という言葉が当たり前に使われるようになり、最近では60歳(還暦)前後を指す”アラ還”という言葉も出てきている。どちらも人生の一区切りといった年代だが、今回はそんなアラ還、アラサー向けの映画をそれぞれ紹介する。
5月16日から公開されている『60歳のラブレター』は、タイトル通りアラ還向け。定年退職後、子育て後の夫婦のあり方、いわゆる”第二の人生(セカンドライフ)”に悩む熟年夫婦も多いというが、そんな現代の夫婦像をとらえた群像劇だ。
中村雅俊と原田美枝子が演じる夫婦は、家庭を顧みずに仕事に打ち込んできたサラリーマンと、そんな夫の帰りをただ待つだけだった専業主婦。30年以上連れ添ったが、夫婦仲は冷え切り、夫の定年退職を機に熟年離婚。イッセー尾形と綾戸智恵が演じるのは、町の小さな魚屋を営む夫婦。憎まれ口をたたき合いながらも、なんだかんだで仲良し。妻は夫の糖尿病の治療に尽くしていたが、今度は妻に病が見つかってしまう。そして、井上順と戸田恵子が演じるのは、妻に先立たれたやもめの医師と、彼と仕事で知り合った奔放な独身翻訳家。二人は徐々に引かれ合うのだが…。
社会的地位も生きてきた道も全く異なる3組の男女が、人生の節目を迎え、あらためて互いのパートナーの大切さに気付くという物語。熟年夫婦が、口に出しては言いにくい感謝の気持ちをハガキにつづる応募企画「60歳のラブレター」(住友信託銀行主催)に寄せられたエピソードを基に映画化されていることから、ある種の”実話”ともいえる。
中心は熟年カップルだが、パートナーとの関係を見つめ直すという意味では、これから結婚を控える若い世代にも考えさせるものはあるし、主要人物の子どもたちも物語に絡んでくるので、若い世代はスクリーンの登場人物に親の姿を重ねて見ることもできる。監督の深川栄洋、脚本の古沢良太(『ALWAYS 三丁目の夕日』)は、ともに30代の若手だが、その若い作り手ならではの視点かもしれない。アラ還向けとは言ったが、実は老若男女に響く物語なのだ。
一方、アラサー向けの映画は、こちらも5月16日から公開となっている岡田准一と麻生久美子が主演の『おと・な・り』(熊澤尚人監督)だ。
主人公は岡田演じるカメラマン・聡と、麻生演じる花屋の店員・七緒。聡は友人のモデルの専属カメラマンとして働いているが、本当は風景写真の道に進みたいと思っており、それがかなわない現実に悩んでいる。七緒はフラワーデザイナーを目指すべく勉強を続けており、間もなくフランス留学が控えている。そんな二人は古ぼけたアパートの隣同士。ちゃんとした面識はないが、壁越しに聞こえてくる互いの生活音に、知らず知らずのうちに心癒されていく。
主人公はともに30歳。恋人もなく、夢の実現に向けて歩んできた二人だが、30歳という節目を迎えて、仕事や恋に対する身の振り方、進むべき道を真剣に考える。やがて、それまで自身で目を背けてきた現実と向き合い、新たな一歩を踏み出す決意をする。
20代は若さだけで突っ走ることもできる。だが30歳にもなると、それまでの、そしてこれからの自分について嫌でも考えを巡らせてしまう…そんな人は少なくないはず。何かに迷っている30歳は、見ると背中を押してもらえるかも知れない一本だ。
(eiga.com編集部・浅香義明)
『60歳のラブレター』
『60歳のラブレター』特集&中村雅俊インタビュー
『おと・な・り』
愛のしるし。
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