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【退屈巡礼】vol.16

こ、怖すぎる! いにしえの猟師の暮らしを超リアル再現『平家狩人村』

tokyokaseryo.jpg「平家狩人村」入口。すでにここでただならぬ空気を感じます。

この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈そうな場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第16回は、「平家狩人村」へ行ってきました。猟師の生活を紹介する資料館、とだけ聞くと、どこにでもありそうな資料館なのですが……。村内の様子はこちらから

 この連載で紹介しているスポットは、内容がチープだったりいいかげんだったりするせいで脱力感や残念なムードがあふれがちなんですが、今回紹介するのは本格派です。

 その本格派スポットの名は、栃木県・湯西川温泉にある「平家狩人村」。そもそも湯西川温泉そのものが「逃げ延びた平家の生き残りが身を隠して住んでいた」という、ちょっぴり雰囲気ありすぎな由縁がある秘湯(別に本当に怖いワケではありませんので。念のため)なんですが、野趣に富んだ猟師料理が楽しめるのもここの特徴で、実際に狩りでしとめたクマ肉やシカ肉、さらに珍味としてサンショウウオの炙り焼きなんてものまで味わえる(ただし安定して捕獲できるものではないので、巡りあえるかは運次第ですが)という非常に濃~いお土地柄。

 そんな場所にある「平家狩人村」は、この土地に根ざした猟師の生活を紹介する資料館……といっても、これが尋常ではないディープさなんです。

 いちおうはココ、観光スポットのハズなんですが、入村するなりとてもそうとは思えない物悲しすぎる音楽が流れていて、気持ちもロービートにならざるを得ません。遊びにきたというよりは、間違って横溝正史作品にでも迷い込んだような錯覚に陥りそうです。

 さて、最初の展示室は山の動物たちがお出迎え……ですが、当然メルヘンチックなカワイイ動物などではなく、そこにあるのはひたすら生々しい剥製たち。時間経過とともにナチュラルに朽ちている動物たちと、ところどころに飾られている虚ろな視線が印象的なイケメン猟師の人形が後々まで消えない思い出として残りそうな展示室です。

 しかしこれはまだ序の口、ここから先が本当に”村”といえる造りで、小屋や茅葺きの家が立ち並び、その建物ごとにテーマが分けられた狩人ライフが紹介されているのですが、まず建物自体がこれまたリアルに作りすぎたせいで朽ちています。中には見たこともないキノコや菌類に覆われつつあるものもあって、軽く恐怖する人も居るかもしれませんが、展示の怖さはそんなものではありません。「解体小屋」ではクマを捌く様子が実物大ジオラマで紹介されていますが、さすがにクマは作り物なものの、周りにぶらさがる動物たちの骨や毛皮はすべてホンモノ! ちょうど見学に訪れたときは「何かの骨」が水洗いの最中だったようで、ただならぬムードに拍車をかけていました。

 他の小屋もとにかく動物の骨だらけで、本格的にもほどがあります。さらになんだか性的なものを連想させるアイテムが山盛りの小屋、さりげなくサンショウウオやヘビが漬けられた酒瓶(当然、すべてホンモノです)が並ぶ小屋に蚕の小屋……と、ヤワな方なら卒倒してしまいそうな施設でしたが、このむせ返るぐらいの濃さは必見! なにかとライトなものばかりが横行する今日このごろ、たまにはヤバいぐらい本格的なところもいいんじゃないでしょうか。

剥製がならぶ山のジオラマから展示はスタート。すべてが時間とともに朽ちて色褪せている、いろんな意味でゾクゾクする空間。


表情が絶妙な猟師の人形(よく見るとけっこうイケメン?)が侘しい雰囲気をさらに倍増させているような…。

小屋や家そのものが、テーマ別の展示室になっているという凝った造り。

写真では分かりにくいかもしれませんが、あまり見たことがないキノコでびっしり覆われつつあります。


「解体小屋」の様子。周りにぶら下がっている動物の骨がなんともヤバげなムード。

他の小屋でも、まず普通の人生では見ない量の動物の骨を堪能できます。


tokyokaseryo.jpg「山祭小屋」なる展示室。祭りというか、露骨に性的なものを連想させるアイテムが並ぶ小屋で、なんだか湿度高めに感じて仕方ありません。

とにかくあちこちの展示物が「ナチュラルに朽ちている」のが特徴なので、気になる人は早めに行かれることをお勧めします。

●ご利用の心得

・こんなご時世に「ホンモノ」を求める方には、温泉込みでたいへんオススメ。
・ひょっとしたら夢に出そうな体験をするかもしれないので、誘う相手はよく考えた方がいいかもしれません。
・温泉地の中心にある「平家の里」とは別物ですのでご注意を。(そちらはそちらで見応えあります)

●あまり親切でないご利用案内

■営業時間 午前8時30分から午後4時(10月~4月は午後3時30分まで)
■休業日 不定休(天候により臨時休業あり)12月から3月は冬期休業
■入場料 600円
■所在地 栃木県塩谷郡栗山村大字湯西川1658
■アクセス 東北自動車道・宇都宮ICから日光宇都宮道路に乗継、今市IC下車。国道121号を鬼怒川方面へ、さらに県道249号経由で湯西川温泉方面。公共交通機関+徒歩の場合、野岩鉄道・会津鬼怒川線湯西川温泉駅から東武ダイヤルバスで35分、終点からさらに徒歩40分……と、正直かなり困難な道のりです。(湯西川温泉からは連絡すれば送迎車ありとのこと)
※公式HPなし
(取材・文/大黒秀一)

入らずの森

平家の落人村伝説。

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最終更新:2009/05/03 11:00
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