音楽ソフト市場の世界的不況が深刻化 頼みのネット配信はどうなる?
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音楽ソフト市場の世界的な縮小傾向が止まらない。日本経済新聞4月29日付朝刊によると、全米レコード協会(RIAA)が公表した2008年分統計で、米国の音楽ソフト販売額は前年比18%減の84億8,020万ドルにとどまったことが判明。その内訳をみると、ネット配信は前年比30%増と好調だったが、CD販売は同27%も減ったという。折からの「CD不況」が、音楽ソフト市場の凋落に拍車をかけた形だ。
このRIAA統計は、音楽ユーザーの興味深い動向も示している。ネット配信全体の64%がシングル曲の売り上げだったというのだ。一曲ごとに購入できるネット配信の特性もあり、ユーザーのシングル志向の高まりがうかがえる。
「欧米ではネット配信が本格化した00年以降、各レコード会社はまず、ネットでシングル曲を売り込むことに注力してきました。しかし、ここにきて、利幅の大きいアルバムの売り上げ向上にも力を入れています。各種の特典や値引きなどで、ネット配信におけるアルバム販売のシェアを高めることに必死です」(レコード会社関係者) 一方、日本の音楽ソフト市場事情はどうか。日本レコード協会の08年分統計によると、CD生産額は前年比10%弱減ったが、ネット配信(ケータイ含む)の総売上高は同20%ほど増えている。
「日本の場合、ケータイによる音楽配信が突出して人気を呼んでおり、ある意味でアメリカ以上にシングル志向は強まっているといえます。そこで注目すべきは、PCを経由したネット配信の売上高が、ネット配信全体の10分の1ほどの規模にとどまっていること。これには、CDの流通に配慮する各レコード会社の思惑も絡み、人気曲がなかなかPC向けに配信されないことも大きな要因です」(前出の関係者)
賛否両論はあるものの、CD販売からネット配信へのシフトは今後も続くとみられる。その点、日本においてはPCを経由したネット配信という”未開のマーケット”が広がっており、今後の音楽ソフト市場のテコ入れのカギを握るといえる。
著作権保護などの課題はあるにしても、音楽ユーザーとしては、ネット配信は実に便利なツール。各レコード会社がより幅広い楽曲をPC配信向けに開放するよう望みたい。
(文=玉井光太郎)
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