“特殊マンガ家生活”約30周年、根本敬の集大成がココに!
#マンガ #サブカルチャー
『映像夜間中学講義録 イエスタデイ・ネヴァー・ノウ
ズ』(K&Bパブリッシャーズ/DVD付き/2520円・税込)、
『特殊まんが−前衛の−道』(発行:東京キララ社、
発売:河出書房新社/1890円・税込)。
『因果鉄道の旅』(KKベストセラーズ)や『生きる』(青林工藝舎)など、人間の業を追求した作品群を通じ、石野卓球をはじめ、多くの表現者から絶大な支持を集める”特殊マンガ家”根本敬。
最近、彼の周辺が慌ただしい。1月にはエッセイや小説をまとめた『真理先生』、2月には「因果の世界」をレクチャーするイベントの採録『映像夜間中学講義録 イエスタデイ・ネヴァー・ノウズ』、そして今月は、半生記『特殊まんが−前衛の−道』を刊行。自ら「ここ10年で出した書き下ろし本は2冊」と語る寡作の根本が”攻め”に転じるのはなぜか?
「マンガ家生活も、もう30年近く。50歳にもなった。そろそろ歴史を振り返ってみてもいいのかな、と。それだけといえばそれだけです。ほら、関係者の中には死んじゃった人も多いし、今ならしがらみなく、書けるから(笑)」
なんとも飄々とした回答が返ってきてしまったが、そこは特殊マンガ家。一連の著作、特に『特殊まんが−前衛の−道』の内容は、当然一筋縄ではいかない。デビュー当時の想い出、蛭子能収らとの出会いなど、来歴を240ページにわたって綴り、さらに「バカサイ」でおなじみマンガ家・天久聖一との80ページに及ぶ対談では、途中かかってきた電話の様子まで、ノーカット収録している。
「今のオレのテーマは『現実の熟成』。身の回りのできごとを煮詰めるだけ煮詰めて、物語に昇華させてみたい」
その内容は虚実ない交ぜ。文字どおり”特殊”で”前衛”ながらも、これまで余人の理解を許さなかった感もある「根本敬の正体」に迫れる一冊が誕生したようだ。(文=成松 哲/「サイゾー」5月号より)
●ねもと・たかし/けい
1958年、東京都目黒区生まれ。81年、「ガロ」(青林堂)でデビュー。自称・特殊マンガ家、蛭子劇画プロダクション・チーフ。そのほか、文筆、映像、デザイン、講演、出版プロデュースなど、多岐にわたり活動。湯浅学、船橋英雄とともに「幻の名盤解放同盟」を結成し、昭和歌謡ブームの礎を築く。苦節(?)四半世紀にして、第11回みうらじゅん賞を受賞。ちなみに、次回作は”金嬉老版・成り上がり(矢沢永吉=金嬉老、根本敬=糸井重里)”ともいえる、「金嬉老半生記」を執筆中!
裏まんが道。
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