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イーストウッド監督最新作『グラン・トリノ』で俳優は引退!?

grantorino.jpg(c)2009 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films
(BVI) Limited. All Rights Reserved.

『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー作品賞と監督賞を2度受賞しているクリント・イーストウッドの監督最新作『グラン・トリノ』が4月25日より公開される。

 イーストウッド作品といえば、今年2月にアンジェリーナ・ジョリー主演の『チェンジリング』が公開されたばかりだが、本作では『ミリオンダラー・ベイビー』以来4年ぶりに自身が主演を務めており、さらに本作が俳優イーストウッドとしての引退作になるかもしれないということでも注目を集めている。

 伝わってくる様子では、あくまで「積極的に自ら主演していくことはなくなるだろう」という程度の意味合いで、ひょっとすると気が変わるかもしれないし、脇役程度で今後も俳優として映画に出演はするかもしれないともとれるわけだが、少なくとも、本作以降しばらくは”主演俳優”としてのイーストウッドは見られないと思っていたほうがよさそうだ。

 考えてみればイーストウッドも御年78歳。2000年代に入ってほぼ年に1作、時には2作の監督作を送り出す多作ぶりで、なおかつ『ミスティック・リバー』『ミリオンダラー・ベイビー』『硫黄島からの手紙』『チェンジリング』など、いずれもアカデミー賞に絡むクオリティの高い作品とくれば、そんな高齢であることを忘れてしまいがちだが、監督としてはまだまだ旺盛で、すでに次回作『ヒューマン・ファクター』も今年12月に全米公開が控えている。

『グラン・トリノ』でイーストウッドが演じるのは、朝鮮戦争への出征経験のある元自動車修理工の老人ウォルト。昔堅気で頑固な彼は、妻が他界した後、愛犬と静かな引退生活を送っていたが、そんな彼の隣家にアジア系の移民の一家が引越してくる。常々移民を蔑視していたウォルトだったが、ふとしたことから隣家の内気な青年タオと関わりをもつようになり、彼らは次第に世代や人種を超えた父子、兄弟、あるいは友人のような存在になっていき絆を深めていく。ちなみに、映画のタイトルは、ウォルトの愛車で、タオとの絆を結ぶきっかけにもなる72年型フォード”グラン・トリノ”のこと。

 生き方も価値観も異なる老人と若者が交流していく筋書きそのものは、そんなに珍しいものでもないが、イーストウッドの存在感はさすが。イーストウッドが演じたウォルトがいたからこそ成り立つ『グラン・トリノ』という映画で、主演俳優とは単に与えられた主人公の役割を演じるだけではなく、映画の出来そのものを変えてしまうものだということが、この映画を見るとよくわかると思う。

『荒野の用心棒』や『ダーティハリー』といった1960~70年代から活躍し、当時を知る往年のファンにはより感慨深い作品だが、そうでない若い世代にとっても、シンプルで胸を打つストーリーで余韻に浸れる。ゴールデンウィークの大人向けの1本としてぜひお勧めしたい。
eiga.com編集部・浅香義明)

『グラン・トリノ』
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最終更新:2009/04/25 13:00
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