「進まぬトヨタの具体的認否」2007F1日本GP訴訟第六回口頭弁論傍聴記
#事件 #企業 #トヨタ #FSW訴訟 #F1
2007年9月に富士スピードウェイで開催されたF1日本グランプリのずさんな運営により、「劣悪な環境の中、長時間のバス待ちを余儀なくされ、精神的苦痛を受けた」として観客109名が富士スピードウェイ(以下、FSW)に対し損害賠償を求めた裁判の第六回口頭弁論が、3月26日3時より東京地裁で行われた。
原告側は、被告から具体的な反論・認否がなされないこと、バスの運行計画や実際の状況が分かる資料等が一切提出されないことから、今回文書提出命令を申し立てた。
●これまでの経緯
【第1回】“ずさんなF1″訴訟──富士スピードウェイに反省の色なし
【第2回】「どなたが失禁を?」F1日本GP訴訟 第二回口頭弁論傍聴記
【第3回】「今年は天国、ただしガラガラ」2007F1日本GP訴訟第三回傍聴記
【第4回】再び「どなたが失禁?」F1日本GP訴訟第四回傍聴記
【第5回】「トヨタやる気なし!?」2007F1日本GP訴訟第五回口頭弁論傍聴記
これに対し被告は文書提出命令の対象となる書類が広範囲に渡る上に膨大で、たとえ提出したとしてもすぐに分析できる量ではないことや、合理性がみられないものも含まれると主張した。
原告側は文書提出命令の申立は被告が必要な証拠をまったく出してこないためだとし、改めて提出を求めた。同時に被告から必要な証拠が提出されれば、申立の内容を再検討する用意があることを明らかにした。
被告は第3準備書面にて、スタートに間に合わなかった観客に対する払い戻しの件についての手順、バスの運行計画に関する主張を明らかにした。被告準備書面によると、手書きで遅延証明書を作成、コピーしたものを東ゲートで発給したと主張する一方で、西ゲートでは対象者はいなかったとし、また手書きの遅延証明書の現物は提出していない。バスの運行計画に関しては、バス手配の検討フローチャートや、各アクセスポイントのシャトルバス運行計画一覧表などを添付して主張した。
裁判所は、本件の翌年、2008年に富士スピードウェイで行われたF1グランプリが円滑に開催されていることから、2008年にどこをどのように改善したのか具体的な改善計画と実施内容、また2007年に実際どのようなバスの運行状況だったのか、わかるような証拠の提出を被告に求めた。
被告はバスの運行はJTBを通じて多くのバス会社へ委託していることから、資料の整理を進めているが間に合っていないことを明らかにした。その上で提出に向けて準備をすすめるが、時間がかかるとして理解を求めた。
さらに、裁判所は、バス誘導路の陥没事故について改めて確認をし、被告は2007年はアスファルト舗装であったために陥没したとし、2008年には陥没対策としてコンクリート舗装として頑丈にしたことを改めて示した。
原告側が添付した被害状況一覧表について、被告はバスの乗車時間が当初の計画よりも短い原告も見受けられるとして精査、仕分けが必要でこれに3ヶ月必要とした。これに対していくらなんでも長すぎるということから、途中で1回期日を設定し、次回期日では2008年の改善点やバスの実際の運行状況についての証拠を提出、次々回期日までに被害状況一覧表についての反論を被告が行うことになった。
文書提出命令の申立に関して被告は、書類が膨大なために整理、提出は困難としたが、必要な情報開示に協力するとした。これに対して裁判所が被告に、原告に書類を見せることを提案。原告は交通の便を考え、東京にある被告側弁護士事務所にて書類の開示を求めたところ、被告側弁護士は書類が膨大であり場所、時間の提供が困難としてこれを拒否。そのため原告および原告側弁護士が御殿場に所在する被告、富士スピードウェイ本社まで出向き、書類を確認することを、当事者双方で合意した。この書類の開示は次々回期日までの間に行われる予定である。
ようやく被告が証拠に基づいた反論を行うことになり、また原告団が富士スピードウェイに乗り込むことが決まったことで、裁判戦はこれからさらに白熱していくことが予想される。
一次訴訟の次回弁論は5月28日、次々回弁論は7月16日、二次訴訟の次回弁論は4月17日に東京地裁で行われる予定。
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