『THE OUTSIDER SPECIAL』戦慄の舞台裏レポート【3】
#格闘技 #前田日明 #THE OUTSIDER
●”川口連合 第十代総長”
武井勇輝(埼玉・21歳/出場3回目)
──すごい髪型ですね。
「昨日染めました。ヒョウ柄でよろしく、と言って」
──噂によると武井さんは、夜の街で喧嘩したり絡まれたり、なかなか刺激的な日常を送っているようですね。ひょっとして、酒乱なんですか?
「いや、飲むとお茶目になりますよ。なのに生意気だ、って絡まれちゃう。刺青入ってるからでしょうか」
──自分からは喧嘩を売らない?
「あまり。売られても、基本は無視です。よっぽど頭来たときは、まぁ……」
──まぁ、なんでしょう?
「ご想像にお任せします(笑)」
──控え室で、他の選手と交流を図ったりするんですか?
「体重の近い人とはなるべく喋らないようにしています。仲良くなっても平気で殴れる人もいるけど、僕はそういうの、できないんですよ。だからなるべく喋らない。あ、でも、黒石君とは喋りますけど」
黒石高大選手(撮影/水野嘉之)
● “横濱義道会 初代総長 濱の狂犬”
黒石高大(神奈川・22歳/出場4回目)
VS
● “太田総理の最強ブレーン ザ・タイタン”
野口悠介(東京・25歳/初出場)
赤コーナーの控え室で抜群の社交性を発揮していたのが、アウトサイダーきっての人気者、黒石選手だ。あちこちの選手にちょっかいを出しては、大声で笑い転げている。試合前なのに緊張感ゼロ。こんな調子で大丈夫なのだろうか?
対する青コーナーの野口選手は、爆笑問題やアンタッチャブルの番組で活躍中の放送作家。中学時代から空手をかじっているとはいえ、職業も見た目も文科系。試合前に抱負を聞くと、「怖いので目を合わさない戦法で行く」という頼りないコメント。こんな調子で大丈夫なのだろうか? 若い頃から人一倍短気で、バチバチに人を殴り倒してきた色黒ストリートファイターの黒石選手。若い頃から人一倍気が長く、シコシコと葉書を書き続けてきた色白ライターの野口選手。
まさに真逆の人生を歩んできた2人のバトルは、接戦の末、野口選手に軍配が上がった。
敗れた黒石選手に控え室で話を聞く。
──惜しかったですね。
「くっそ! あんな奴に負けて、いい笑いもんじゃないっすか! もう酒とか飲まねえ!」
──相手は強かったですか?
「弱いっすよ! そいつに負けた俺はなんなんだ、って話だけど(笑)。いやー、練習不足だな。ちきしょう! こうなったら秋山(第1回大会で黒石選手を敗った選手)に八つ当たりしようかな。おーい、秋山君、負けちゃったけど、どうしてくれんの?」
控え室全体から笑いが起きる。
「笑ってないで、なぐさめてくださいよ!」
ここでタイミングよくエンセン井上氏が登場。「毎回毎回うまくなってる。最初は根性だけで猫パンチしかなかったけど、今はパンチも持ってるから素晴らしいよ」と激励されると、黒石選手は「本当っすか?」と上機嫌に。
──ところで黒石さん、また試合後に応援団が暴れてましたけど、あれは何に対する怒りだったのでしょう?
「分からないです。あいつらみんな上にいたんじゃないの? 2階から飛んできたの?」
その乱闘に巻き込まれそうになった野口選手は「とにかく逃げることしか頭になかった。飛んできた椅子が足に当たって痛かった」と勝者らしからぬ怯えたコメント。なんだか気の毒になってきたので、お見舞い代わりにサイゾー賞を贈呈した。
学コング選手(撮影/水野嘉之)
●“リアル刃牙”
渋谷莉孔(東京・23歳/出場2回目)
VS
●“関東伝説チーマー元KGB幹部 千葉の鬼夜叉”
内藤裕(千葉・31歳/出場2回目)
黒石VS野口戦のお祭りムードとは対照的に、会場全体が手に汗握り、固唾を飲んで見守ったのが、この一戦ではないだろうか。
渋谷選手は第3回大会で衝撃的なデビュー。その強さもさることながら、試合後に「弱ぇえええ!」と敗者を罵倒する冷酷なキャラクターでも話題を呼び、また、試合後のブログ上で都内の有名な不良を次から次へと挑発したり、今回対戦する内藤選手のことも猟奇的な言葉で侮辱したりと、まさにやりたい放題、怖いもの知らずの言動で一躍注目の的となった選手。
一方の内藤選手は、”人刺し裕”の異名を取った元武闘派チーマー。渋谷選手の生意気すぎる言動を知り、「懲らしめてやる」と対戦を熱望。今回の一戦が実現した。
そうしたいきさつを多くの選手や観客は知っているため、試合が近付くにつれ、会場の緊張感は高まった。
試合前に両者の声を聞こうと思ったが、赤コーナーの控え室を何度覗いても、渋谷選手は見当たらない。……と思いきや、所定の場所とは全然違う場所に悠然と寝そべり、マッサージを受けている赤毛の男を発見。髪型と髪色が前回とまったく変わっていたため気付くのが遅れたが、それが渋谷選手であった。
──お話を聞かせてもらっていいですか?
「…………」
目も合わさずにノーコメント。その表情はとても険しい。
深追いすると蹴り殺されるかもしれないので、控え室を出ると、相手選手欠場のため今日の試合が流れてしまった山田史博選手(神奈川・21歳)と遭遇。「渋谷君を見に来た」という。山田選手はかつて、ブログで渋谷選手との対戦を望んだものの、格下扱いされ、断られた過去がある。浅からぬ因縁があるふたり。さては場外乱闘勃発か……!? 山田選手は控え室の扉を開けると、入口付近にどっしり腰掛け、約20m先でミット打ちしている渋谷選手を睨みつける。渋谷選手はそれを知ってか知らずか、ミットめがけて猛然とラッシュ。やがて山田選手は「武者震いしてきた」と言い残し、控え室を立ち去った。なんともシビれる一幕であった。
(【4】につづく/取材・文=岡林敬太)
明日のためのその3。
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