月収10万円は当たり前!? ロックバンドの赤貧事情
#音楽 #出版 #著作権
ロック歌手で、現在はタレントとしても活動するダイアモンド☆ユカイが、今月5日に自伝『成り下がり』(光文社)を出版。華やかな女性遍歴に加え、一時は「月収10万円」の赤貧生活を送っていたことも告白し、波紋を呼んでいる。
ダイアモンド☆ユカイといえば、元レッド・ウォーリアーズのカリスマ的ボーカリスト。同バンドの絶頂期こそ短かったとはいえ、当時の彼は、玄人筋からも「日本では珍しい、本格派のロックンローラー」との評価を得ていた。バンド解散後もソロのライブ活動は続けていただけに、「月収10万円は意外だ」との声もある。
しかし現在のロック界では、ダイアモンド☆ユカイの懐事情はけっして珍しいものではないようだ。
「CDを数万枚程度売るバンドであっても、事務所から支払われる月給は10万円台が普通。さらに売れてないバンドや新人では、数万円というケースさえもあります」(事務所関係者)
これは、ミュージシャンの収入源の多くが印税によることも大きい。CDをリリースすれば、作詞作曲者には売上の3~5%、歌手や演奏者には1%程度の印税が入ってくる。したがって、月給自体はサラリーマンクラスであっても、年間の収入は億単位ということはあり得るのだ。
「先ごろ『某国民的バンドのリズム奏者の給与が30万円しかない』とのウワサが音楽業界内を駆け巡りました。彼の場合、相当の印税が入っているはずですが、事務所からの収入はその程度であってもおかしくはありません」(同前)
そうした収入構造となっているため、CDセールスの落ち込みが目立つ昨今、ミュージシャンの懐事情はさらに寒くなっているというわけだ。
他方、コンサートやイベントには多くの観客が集まり、現在の音楽界は「ライブバブル」の真っ只中にあるという。しかし、高コスト体質である日本の興行界では、当のミュージシャンには利益がほとんど還元されない構造となっている。そのため、ロックバンドがCDリリースから演奏活動へと活動の軸足を移したとしても、「全国中を回ったとしても収入はさほど増えない」(同前)のが現状であるそうだ。
なお、作詞作曲を手がけるミュージシャンにとって、もっとも確実な収入源はカラオケ関連の印税である。たとえば”泣けるパンク”の草分けバンドBの元メンバーは、誰もが知っているヒット曲を多数持っているため、年間で1,000万円を超える印税収入があるそうだ。ダイアモンド☆ユカイの場合、ヒット曲を持たなかったことがバンド解散後の苦境につながったといえる。
もっとも、CD不況の昨今、ヒット曲を出すのは至難の技。さしあたって、バンドマンの赤貧生活を改善するためには、ライブ活動できちんと稼ぎを得られる興行システムを確立する必要がありそうだ。
(玉井光太郎)
三浦理恵子との夫婦生活も。
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