「トヨタやる気なし!?」2007F1日本GP訴訟第五回口頭弁論傍聴記
#事件 #企業 #トヨタ #FSW訴訟 #F1
2007年9月に富士スピードウェイで開催されたF1日本グランプリのずさんな運営により、「劣悪な環境の中、長時間のバス待ちを余儀なくされ、精神的苦痛を受けた」として観客109名が富士スピードウェイ(以下、FSW)に対し損害賠償を求めた裁判の第五回口頭弁論が、2月17日1時30分より東京地裁510号法廷で行われた。
●これまでの経緯
【第1回】“ずさんなF1″訴訟──富士スピードウェイに反省の色なし
【第2回】「どなたが失禁を?」F1日本GP訴訟 第二回口頭弁論傍聴記
【第3回】「今年は天国、ただしガラガラ」2007F1日本GP訴訟第三回傍聴記
【第4回】再び「どなたが失禁?」F1日本GP訴訟第四回傍聴記
原告側は原告第三準備書面にて、これまで具体的な認否を避けていることを悪質な訴訟遅延行為として批判。また被告の主張に対し反論、前回提出した原告個別の被害・窮状に対しての具体的な認否を再度求めるとともに、いくつか釈明を求めた。
●シャトルバスの運行計画の詳細、およびそれを根拠付ける証拠の提出。
●9月29日(予選日)、9月30日(決勝日)の天候がシャトルバス渋滞にどのような影響を及ぼしたのかと、その主張の基とした資料の提出。
●被告が問題としている「陥没事故」について、いつ、どこで、どんな事故が発生し、それがどのように波及してシャトルバスの渋滞を引き起こしたのか。また9月29日の天候が陥没事故を引き起こしたというのであれば、その因果関係を明らかにすること。
●85名に対し遅延証明書を発給した主張についての詳細。特に遅延証明書の発給をいつ誰が決定し、スタッフおよび観客へどのようにアナウンスしたのか。また31名の辞退、または手続きをとらなかった者がいたというが、その詳細と証拠。具体的な返金金額と内訳を明らかにすること。
●最終のシャトルバスがバス乗り場から発車した時刻について、具体的な証拠の提示。
前回、被告が原告番号1番はバスの乗車時刻について嘘を述べていると指摘した件に関して、原告は逆に記憶は正確であり、他の原告も同時刻以降にバスに乗車していることなどから、被告の主張の方が虚偽であると反論。また未舗装の東富士駐車場が泥濘化したことで、自家用車のエアロパーツが損壊、フロアマットが汚損したことを個別の被害として追加して主張した。
同時にH席チケットを購入した原告において、H席の目の前に常設ポストが設置されており、視界が遮られてコースが見えなかったことを個別被害として追加主張した。
以上のように多くの求釈明、追加主張をしたにも関わらず、被告弁護士は個人的な都合により原告第三準備書面を見たのは期日直前であり、じっくり目を通してないと発言。具体的な反論を避けた。
また裁判所は被告に対し客観的データの提出を促したが、被告は「3年以上かけて周辺交通のリサーチ、交通計画を立てた計画書がある」としながらも、とても厚く複数冊に及ぶためにそのまま提出するのは大変、精査した上で提出するのは時間がかかるとした。
これに先立ち、26名からなる二次原告団による第二次訴訟の第二回期日が2月13日に行われている。ここでも新たな求釈明が追加されていた原告第一準備書面に対し、被告は新たな反論・主張はないとし、さらには「審理をここで終えても結構」という投げやりな対応で、原告および裁判所を驚かせた。結局裁判所が被告に対し再三確認を促し、後日書面にて反論をするということになった。
原告側は再三再四具体的認否を求めているが、被告は具体的な認否や客観的データ、証拠の提出を避けている。さらに原告準備書面をよく読まないなど明らかに準備不足で、裁判を長引かせている。こういった対応に原告は業を煮やし、裁判所に対して文書提出命令の申し立てを行う予定があることを明らかにした。
この一連の経緯から被告弁護団のやる気のなさが浮き彫りになってきた格好だ。もしかして、親会社トヨタの業績悪化の影響で、弁護士費用までコストダウンしているということだろうか……。
一次訴訟の次回弁論は3月26日、二次訴訟の次回弁論は4月17日、東京地裁で行われる予定。
消えるのか。
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