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【退屈巡礼】vol.11

“暴走”するハコモノ!? マニア垂涎『彩の国ビジュアルプラザ』

tokyokaseryo.jpg複合文化エリア・SKIPシティに建つ「彩の国ビジュアルプラザ」。
ただのハコモノかと思っていたら、いつかはマニアの巣窟になってしまいそうな施設でした。

この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第11回は、かつての”裏フーゾクの聖地”西川口に現れた映画ファン垂涎の『彩の国ビジュアルプラザ』。噂に違わぬコアな展示に圧倒されました。館内の様子はこちらから

 埼玉県・西川口というと、いまだに「裏フーゾク」とかのやや怪しいイメージをお持ちの人も少なくないようですが(実際には違法なものは一掃されてるんですけどね)、さすがにこのままではマズいと思ったのか、数年前から県と市が文化施設などの方面でがんばって、イメージチェンジを図っているようです。その一環で2003年に完成したのが「SKIPシティ」。

 NHK川口ラジオ放送所の跡地を官民共同で再開発したエリアで、映像関係の施設や市立科学館などが集まっているんですが……イマイチ知られていないのか、残念ながらまだ人影はまばら。でも、よくあるムダなハコモノかと思ったら大間違いで、各施設の充実度はかなりのものです。中でも「彩の国ビジュアルプラザ」の”暴走”ともいえる内容は、一部の人のハートをがっちりと捕らえるかもしれません。

「彩の国ビジュアルプラザ」がどういう施設なのか簡単に説明すると、映画やテレビの映像に関する歴史や作り方が学べる体験型のミュージアム。撮影や編集、効果音にアフレコから合成、さらには人形アニメやモーションキャプチャー(人の動きをトレースしてCGに反映させる技術)までがプロ用の機材を使って体験できてしまうという、想像よりもはるかに本格派なのにも驚きなんですが、要所要所に”参考資料”として展示されているものにはさらにビックリ。「なんでこんな所に?」というマニア垂涎のアイテムのオンパレードなんです。

 たとえば「シナリオ」や「デザイン画」などの説明に使われているのは『ゴジラVSモスラ』、「小道具・衣装」はやはりゴジラや『MIB2』などで実際に使われた物ばかり。さらに「デジタル合成」の資料は、あの人類大量虐殺SF映画『スターシップ・トゥルーパーズ』で使われた宇宙船のミニチュア(といっても大きいです)と歩兵の衣装……って、とんでもなく偏った展示なのは気のせいでしょうか? どちらかといえば普通の親子が来そうな施設なので、『スターシップ・トゥルーパーズ』がどんな映画か気になってDVDを家族で鑑賞したりすることがないよう、祈るばかりです。

 と、こんな所に子供のうちから通ったりしようものなら、将来は何かのオタクになるのはほぼ確定ですが、さらに追い打ちをかけるように4月5日まで「ウルトラマンの世界」という企画展も開催中。正直、地味~な雰囲気の外観なのに、中身はこんなことになっていようとは……。この調子でいけば、将来は「風俗とギャンブルの街」なんてイメージは忘れ去られて、特撮オタクの聖地になってるかもしれませんね。

 他にも、隣接する「NHKアーカイブス」ではNHKの貴重な過去映像が無料で見放題だったり『ひょっこりひょうたん島』や『プリンプリン物語』の人形が展示されていたりと、やはりオタク心に響きまくるコンテンツが大充実。なんだか、ご近所にお住まいの方が羨ましくて仕方ありません。

tokyokaseryo.jpg案内係の人も「まだ、あまり知られてないのか……」と漏らしていましたが、
たしかにちょっと閑散としたムード。
この内容なら、もっと人がいてもよさそうなものですが。

tokyokaseryo.jpgまず最初は「絵が動く仕組み」を学ぶコーナー。
このあたりは予想の範囲だったんですが……。

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tokyokaseryo.jpg「シナリオ」や「美術」の説明に使われるのは『ゴジラVSモスラ』の台本やデザイン画。

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tokyokaseryo.jpg「小道具・衣装」はゴジラヘッドに『MIB2』のスーツや光線銃、
そして『ジュマンジ』のボードゲーム。
SF・特撮映画ばっかり!

tokyokaseryo.jpg
tokyokaseryo.jpg「デジタル合成」は『スターシップ・トゥルーパーズ』。
よりによってそんな映画を選ぶとは……。
どうせなら、気持ち悪い蟲の方を展示してほしい気もしますが。

tokyokaseryo.jpgカメラを乗せた台車をレールで移動させながらの撮影が
体験できるコーナー。設備はとにかく本格的です。

tokyokaseryo.jpgブルーバック合成も体験できます。
上のフロアでは「空飛ぶじゅうたん」のコーナーも。
記念にビデオに録ってもらえるサービスもあり。

●ご利用の心得

・体験コーナーの充実ぶりはどんな親子にもオススメ。将来は映像クリエイターに? なんて期待も。
・もし単なるオタクに成長した場合は、あきらめてください。
・すでに特撮オタクの自覚がある方は、すぐにでも行った方がいいかもしれません。

●あまり親切でないご利用案内

■開館時間 午前9時から午後5時(入館は30分前まで)
■休館日 毎週月曜(祝日の場合は翌日休)、および年末年始(12月29日~1月3日)
■入館料 大人500円 小中学生250円
■住所 埼玉県川口市上青木3-12-63
■アクセス JR西川口駅または川口駅よりバスで約10分。車の場合は川口西I.Cもしくは川口中央I.Cから約10分。
■HP http://www.skipcity.jp/
(取材・文/大黒秀一)

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最終更新:2009/02/23 08:00
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