HIPHOP冬の時代 生き残りをかけて”泣き”に走るラッパーたち
#音楽 #RIP SLYME
2000年代前半には、数多くのラッパーがメジャーデビューを果たすなど、大変なにぎわいを見せていたヒップホップシーン。独特のファッションなどから「21世紀のヤンキー文化」とも評され、すっかり日本の若者層に定着した感もあった。
しかし、ここ数年はヒットチャートに顔を出すヒップホップアーティストが減り、メジャー契約を打ち切られるケースも続出するなど一時のブームは終焉の兆し。「ラッパー冬の時代」とも言うべき状況が生まれている。
そんな中で生き残りをめざすラッパーは、ほとんどの場合、”泣ける歌モノ”路線に走るようだ。アウトロー的なキャラクターでも人気のあったシーモネーターが突如、SEAMOとしてJポップシーンに切り込んだのをきっかけに、甘い歌メロにラップを絡めたスタイルに走るラッパーが続出。もともとハードコアな作風で知られたSpontania(前Hi-Timez)が、女性歌手JUJUをフィーチャリングして”恋心”を歌った「君のすべてに」でヒットを放ったのは記憶に新しい。彼らは路線変更にひとまず成功したケースだが、思い切って”泣ける歌モノ”路線に走ったものの、不発に終わったラッパーも多い。
一時はJポップシーンの中心に居たRIP SLYME等の人気グループにも、逆風は吹いている。
RIP SLYMEの場合、大型タイアップがついたシングルを出し続けているが、ヒットらしいヒットは出ていない。その代わりというわけではないのだろうが、メンバーが他のアーティストと組む機会が増え、MCのPESは、森山直太朗やkj(ドラゴンアッシュ)らとともに楽曲「THE LIGHT」をリリース。また、同じくMCのRYO-ZとILMARIは、牧瀬理穂と結婚した”ヒップホップ界のパトロン”NIGOを中心とするユニットTERIYAKI BOYZに参加している。いずれも、音楽的評価はさておき、セールス的にはさほど話題になっていない。
このほか、コラボといえば聞こえはいいが、”まとめ売り”としか言いようがないユニットも多く、ヒップホップアーティストの売り出しに頭を悩ませるレコード会社の裏事情がうかがえる。
一方、メジャー以外で活動するラッパーの場合、「他に生業を持っているか、あるいはグッズの通販等で糊口をしのいでいる人が大半で、音楽だけでの活動継続は難しい」(レーベル関係者)という。本場アメリカでは、社会的主張をともなうコミュニティ型音楽として市民権を得たヒップホップだが、日本では今が正念場と言えそうだ。
(玉井光太郎)
“泣き系”の代表選手?
【関連記事】 サエキけんぞうが語る「地下アイドル」の魅力
【関連記事】 DL販売の弊害!? レコード会社が「ベスト盤」を乱発する裏事情
【関連記事】 “横暴なカリスマ”長渕剛のユニバーサル移籍で次に泣くのは…
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事