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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 年間10ヶ月オフシーズン『ほたるいかミュージアム』は大丈夫か
【退屈巡礼】vol.10

年間10ヶ月オフシーズン『ほたるいかミュージアム』は大丈夫か

tokyokaseryo.jpgマスコットキャラの「ナピカ」くんがいい味過ぎ。
オリジナルグッズも多少ありましたが、もっと大々的に展開していただきたい。

この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第10回は、富山県・滑川の『ほたるいかミュージアム』へ行ってきました。ホタルイカのシーズンはたった2ヶ月だそうで、オフシーズンはどうなっていることやら……。館内の様子はこちらから

 この連載で何度かネタにしている「それがメインで本当に大丈夫なのか?」と心配してしまうスポット。その”大丈夫なのかポイント”のひとつに「シーズンオフはどうしてるんだココ?」というのがあります。まぁ、普通の観光客は旬のシーズンに合わせて来ると思うのですが、「がっかりを楽しみたい派」としては、むしろシーズンオフが気になる! というワケで、今回ターゲットに選んだのは富山県・滑川にあります「ほたるいかミュージアム」。名前だけでもけっこうな脱力っぷりですが、ホタルイカ漁のシーズンは長く見積もっても3月下旬から5月いっぱい。1年のうち約10ヶ月がシーズンオフのホタルイカだけでミュージアムが成立するのか謎のスポットです。

 ちなみに富山県のホタルイカは「ホタルイカ群遊海面」が国から天然記念物にも指定されるほどのれっきとした観光資源。指定されているのは「ホタルイカの発光で美しい海面」なので、ホタルイカ自体は食べてもOKです。食べられる天然記念物だと思えばネタ的にもオイシイですね。そしてシーズン中の海上観光(今年は4月11日~5月6日予定)は深夜の3時からスタートという、普通の人にとっては過酷なスケジュールですが、もちろんその苦労の甲斐もある光景が見られます。はたしてミュージアムの方にも、その感動と興奮が詰まっている……といいんですけど(笑)。

 とりあえず到着してみて驚くのが、建物の外観。地方の公民館みたいな地味なものを想像していたんですが、これが必要以上のオシャレっぷり! 『CASAブルータス』なんかで紹介されているようなグッドルッキングなミュージアムでした。しかしそのクールなエントランスに描かれているゆるキャラ的なマスコット(ナピカという名前らしい)のギャップ。これだけでも来た価値があるというものです。

 さて入館してみると、中もSF映画のセットのような真っ白な空間。展示物がほとんど無いだけの気がしないでもありませんが、とりあえず2階の展示室に進んでみると、淡々とホタルイカ料理が紹介されるモニターや「まだ謎が多くわかっていません」という説明文がやたら多いホタルイカの生態を解説するパネル。この連載としてはほぼパーフェクトの内容です。

 さらに順路に従って1階に戻ると、ホタルイカの能力にちなんだ科学系遊具……と思いきや、早々にネタが尽きたのかホタルイカ限定からイカ類の能力になり、最終的には「水の中に不思議な気泡が出来る」といった単なる雰囲気アイテムと、ホタルイカとはあまり関係がない気もする海洋深層水のプール(パイプを通って直接海洋深層水が来ているので、運がいいと生きた深海魚が見られることがありますが)がフロアのほとんどを占め、「深海銀河劇場」なるCGミュージカルからは「カルメン」の曲に乗せて「♪キンキンキラキラ ホタルイカ~」とオペラ調に歌う、気がヘンになりそうな音楽が……。

 そしてシーズン中はメインイベントだと思われるホタルイカの「発光シアター」では、苦肉の策と思われる発光ダイオード入りの模型と、「竜宮ホタル」とがんばって命名された発光プランクトン(かなり暗~い光なのがこれまたなんとも)の展示に「努力はよくわかります」とはげましムードになるほど。そのへんの自覚があるのか、シーズンオフ期間は入館料が安かったりします。慎ましくていいですね。

 というか、結果としてシーズンオフとか関係なしにハイクオリティー(あくまでこの連載的に)な内容でした。同好の方には強くオススメいたします!

tokyokaseryo.jpg総工費約20億円という、おそろしく本気でオシャレな外観のミュージアム。
建築オタクの人にもオススメ……かも?

tokyokaseryo.jpgホタルイカの生態を説明するパネル。
やたらと謎が残りっぱなしなのもご愛嬌です。

tokyokaseryo.jpg早速ホタルイカだけではネタが切れた模様。

tokyokaseryo.jpgプラズマモニターに淡々と紹介されるホタルイカ料理。

tokyokaseryo.jpg1階の様子。中央にあるのが海洋深層水のプール。

tokyokaseryo.jpgカニなどの他にパイプを通って深海魚が紛れ込むことも。
この日はザラピクニンという深海魚がいました。

tokyokaseryo.jpgイカと関係あるような無いような科学系遊具が並びます。
正直、どうリアクションしていいのか不明。

tokyokaseryo.jpg館内のあちこちにはイカアートが。これまた、いい感じにビミョーです。

tokyokaseryo.jpgできれば動画で紹介したい「深海銀河劇場」。カルメンの替え歌はぜひCD化希望!

tokyokaseryo.jpgシーズンオフの「発光シアター」の地味さは尋常ではありませんでした。

●ご利用の心得

・がっかりしたくない人は、シーズン中に訪れてください。
・シーズン中に訪れても……いや、まぁ、ホタルイカ群遊海面は素晴らしいですよ!
・併設のレストランでは海鮮丼からピザまでほたるいか料理が楽しめます。

●あまり親切でないご利用案内

■開館時間 午前9時から午後5時(入館は30分前まで)
■休館日 3月20日~5月31日は無休
6月1日~3月19日の毎週火曜日 (祝日の場合は開館、翌日休)および年末年始

■入館料 3月20日~5月31日
     大人800円
     小人400円
     6月1日~3月19日
     大人600円
     小人300円
■住所 富山県滑川市中川原410
■アクセス JR北陸本線・滑川駅より徒歩5分。車の場合は北陸自動車道・滑川I.Cより約5分。
■HP http://www.hotaruikamuseum.com/
(取材・文/大黒秀一)

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最終更新:2009/02/09 08:00
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