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ギョーカイ【裏】座談会 [二丁目のママ]編

石原都知事はゲイを叩く前に二丁目に遊びにいらっしゃい!!(後編)

nichoumemachikad.jpgかつてほど活気のない新宿
二丁目のメインストリート『仲通り』

前編はこちら。

──メディアの影響で二丁目が観光地化したことによって、ノンケの客足は増えた半面、リラックスできなくて窮屈な思いをしているゲイも多いと聞きます。この傾向は、大体いつ頃から始まったのでしょうか?

SHUN 96~97年頃から急に変わり始めたわね。おそらく原因はネットの普及と、テレビなどメディアの影響で二丁目が広く知られるようになったこと。お店側も軒数が少なかったときは、店同士の連帯感がすごく強かったのよ。だけど、若い世代が経営するお店やらが増えて、店ごとに客層のターゲットを絞るようになってくると、次第に店同士のつながりも希薄になり……。昔からあるような先輩方のお店では、深夜0時を回るとカラオケのボリュームを下げるとか、近隣住民への配慮が見られるけど、若い世代のお店だと盛り上がってくるのが午前3時以降。かといって生活が懸かっているわけだから、一概にアタシたちが注意するわけにもいかず……。ただ、そうやって二丁目全体で保ってきた社会性が欠け始めているのは事実。中には明け方まで営業していて、収集車が行った後にゴミを出す店まであるし。そうでなくても、ゴミの不法投棄が増えているのにさ!

福島 年末になると、二丁目はゲイバーが開店する時間までゴーストタウン化するから、それを狙って捨てに来る奴がいるんだよね。振興会のある会員さんが発見したときは、わざわざトラックでやって来て、ゴミ捨て場にどんどんゴミを積んでいったらしい。それで慌てて通報したんだけど、警察から「その場で言ってくれないと対応できない」と言われてしまったって。そういう問題が起きてしまうと、行政に悪印象を持たれかねないから厄介だよね。

SHUN あと、二丁目ってこんだけ店がひしめき合っている上に住居地域も伴っているから、ノンケが外でギャアギャア騒いでいたりすると、すぐに通報されちゃう。現に騒音問題での通報率が、ちょっとずつ高くなってきているのよ……。おかげで08年のレインボー祭りは、警察から開催の許可がなかなか下りなかったわ。「騒音による通報があった場合、来年は自粛します」って念書まで書かされたもの。

福島 「年に一度のお祭りで、しかも限られた時間内だからいいじゃないか」と考えてしまいがちだけど、実はそうじゃないんだよね。古くから住んでいるわけではない近隣住民の方々からすると、「一年中深夜の騒音に苦しめられているのに、さらにまたでかい音を出すとはどういうつもりだ!」と思ってしまう。そして、その気持ちはすごく納得できるんです。

──特に最近は二丁目付近に住居ビルが続々と建ち始めているので、そうした逆風はさらに強まりそうですね。

福島 ええ。ただ、そうやって二丁目付近に住居ビルを増やすことで、都政が徐々に圧力をかけている……という考え方もできるんですよ。表立った規制がない一方で、そういった勢力に我々はジワジワ囲まれ始めているのかもしれません。

SHUN そんな手に屈しないためにも、今後は地域ぐるみでモラルを向上させていくことが必須だと思うわ。お掃除もちゃんとしなきゃ!

●ゲイは”ゲイになること”を選んだわけじゃない

──過去に「俺はナマコとオカマは大嫌いだ」という暴言を吐いたとされるなど、石原都知事には以前からゲイに対して差別的な兆候が見られます。そのことについてはどう思われますか?

SHUN 嫌いなら嫌いで結構よ! でもさ、ほとんどのゲイって一生独り身だから税金の控除額も少ないわけだし、ぶっちゃけノンケの方々よりお国のために多くお金を支払っていると思うのよ。アタシたちゲイバーのママだって、所得税、住民税、消費税、事業税を納め……それも、朝方まで働いているのに、お役所や銀行がやってる時間帯にわざわざ出向いて納めてるわけよ。この不況のご時世に、従業員も雇用しているし。正直、ゲイバーをやるよりコンビニとかで堅実に働いたほうが幸せになれると思うんだけど。お弁当チンするときに、やけどしちゃったりするかもしれないけどさ! でも、そうやって真面目に生きている都民の生活の場を、ひとつの側面だけでとらえて、まるで汚いかのような物言いをされるのは心外だわ。

福島 そもそも石原都知事には、根本的にセクシャルマイノリティに対する大きな誤解があると思う。ゲイっていうのは、選んでなったわけじゃないからね。ノンケの方々は思春期に異性に対して興味を抱くけれど、我々はなぜか同性に対して興味を持っただけで。

まぁがりん そう、たまたまなのよね。

福島 体に障害がある人や、うつ病を患ってしまった人も、別に自ら選んでそうなったわけじゃない。だからこそ、苦しんでいるわけで。我々だってさまざまな苦しみや葛藤を乗り越えて、”ゲイとして生きること”を選んだとはいえ、決して”ゲイになること”を選んだわけじゃないんですよ。そういう人々が集まっている場所に対して「美観とはいえない」と発言するなんて、「お前らは汚いから目障りだ」と言っているのと、なんら変わらない。

──そうですね。そして、ああいった発言を迷うことなく載せてしまう東京新聞側にも疑問を感じます。

福島 00年の「三国人発言」に匹敵するくらい、差別的な表現ですよね。ただ、こういう主張を我々ゲイシーンが声に出して主張してこなかったことにも問題があります。その溝を埋めるためにも、今後もレインボー祭りなどでアピールしていくつもりではいますが。

まぁがりん でもさ、『おネエMANS』みたいな番組がゴールデンタイムに成立するってことは、それだけゲイに対する需要が高まっているってことだと思うの。実際に二丁目にもノンケが出入りするようになって、もうゲイだけのアンダーグラウンドな場ではなくなっているわけだし。そうやってノンケとゲイは共存共栄してきているのに、石原さんってば、いつの時代の価値観で物事を考えているのかしら!? 一度も来たことなんかないくせに!!

SHUN 東京都の職員さんたちは、大勢飲みに来てるけどねぇ(笑)。本気で規制したいなら、ちゃんとご自分の部下に「二丁目には行ってはいけません」ってくぎを刺しとかなきゃダメじゃないねぇ~。

まぁがりん ゲイバーが1つの地域に200店舗以上密集しているという点で、新宿二丁目は”世界一のゲイタウン”とも言われているんだから、日本の文化としてもとらえられると思うの。

──おっしゃる通りです。もうこの掲載誌、石原都知事に送ってやりましょう。ということで、最後に石原都知事に向けてメッセージをお願いします。

福島 繰り返しますが、セクシャルマイノリティは選んでなったわけじゃない。みんなそれぞれ苦しみを抱えて、それを受け入れた上で新宿二丁目に集まってきているのに、そこをどうしていじめるんですか?

SHUN 今の新宿二丁目がどうして納得いかないのか、またどのように変わったら納得できるのかということを、アタシたちにも理解できるように示してもらいたい。「美観とはいえない」の一言だけで済ましてしまうのは、いささか人道的ではないわね!

まぁがりん アンタが都知事としての任期を終えたって、アタシたちオカマの任期は続いていくんだからね! アンタには屈しないわよー!!
(写真・田中まこと/文・アボンヌ安田/「サイゾー」2月号より)

2chome_sub_HI.jpg石原都知事にプンプンのみなさん
左から・SHUNさん 1971年生まれ。93年、新宿二丁目にゲイバー「10count」をオープン。ゲイの客がリラックスできるように、紹介以外での女性の入店は断っているそう。新宿二丁目振興会副理事。

福島光生さん 1958年生まれ。97年、新宿二丁目にゲイバー「メゾフォルテ」(http://www.g-token.com/bars/mf)をオープン。こちらも週末は、基本的に女性の入店は断っているとのこと。新宿二丁目振興会会長。ライターとしても活躍し、共著『ソメイヨシノは、実をつけない』(メディアファクトリー)がある。

まぁがりんさん 1971年生まれ。93年、新宿二丁目にゲイバー「あっぱれ!」(http://www.appare-bar.com/)をオープン。テレビや雑誌などのメディアでも活躍中。新宿二丁目振興会会員。

トーチソング・トリロジー

どぶねずみみたいに美しいゲイ映画。

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最終更新:2009/02/08 16:00
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