続【保守派、怒りの大反撃!】中山成彬×田母神俊雄×西村幸祐
#自衛隊 #日教組
●石破大臣へ反論! 「文民統制」の本当の意味
──田母神さんの論文をめぐる論争で、文民統制(シビリアン・コントロール)という言葉がよく出てきましたよね。この言葉はマスコミによってさまざまな解釈で使われており、正確な意味がよくわからないのですが……。
【田母神】 まず文民統制っていう言葉がね、日本ほど聞かれる国はほかにありませんよ。日本だけが「自衛隊が力を持つと暴走する」と考えている。だから文民統制が必要だというのですが、これもまた、自虐的な歴史観から来るものなんですけどね。
【中山】 自衛隊の問題になるといつも、そういう間違った歴史観が顔を出します。
【田母神】 一般的に文民統制というのは、軍を使って問題解決するのか否かの決定権を政治が握っているということ。なので、軍(日本の場合は自衛隊)が勝手に行動することは絶対ないという前提なんです。「出動も撤収も、すべては政府の命令によって自衛隊は行動する」というのが、文民統制です。予算や隊員の数、戦闘機の数も政治によって決まりますが、その後の「人と物と金を使って最強の軍を作る」という作業はミリタリーの専門分野のはず。というのは、軍を鍛えて強くするためには、素人ではわからないノウハウが多くありますから。だから、世界中で軍人という職業が認められている。政治家や素人の文官(ぶんかん)が、最強の軍を作ることは絶対にできません。ところが日本の場合、制服組だけに任せず防衛省にある内局(背広組)という文官の組織が、自衛隊に関してかなり細かく口を挟んでくる。そうすると、いわば箸の上げ下ろしまで文官に指示されるような状況になるわけです。そういう意味では、アメリカやイギリス、フランスなどに比べると、日本は文民統制がかなり徹底されています。日本の文民統制はどちらかというと、北朝鮮や中国に近いのです。今以上に文民統制が強化されたら自衛隊がもっと動きにくくなり、訓練もしづらくなって、自衛官がやる気をなくして弱体化します。
【中山】 浜田防衛大臣は、文民統制をより強化し、自衛官の歴史教育のあり方を見直すなんて言ってるでしょ。もはや思想統制ですよ。今の政府とマスコミの流れは、日本の国防力を弱め、他国から侵略されやすくしているとしか言いようがない! 本当にわかっているのかなと思う。
【西村】 それにしても、若い国会議員は勉強不足で歴史に無知な上に、文民統制のイロハも知らない、悲惨です。そもそも軍隊と認められていない組織に、文民統制というのは論理矛盾ですよ。
【田母神】 おっしゃる通りです。石破茂元防衛大臣(現・農水大臣)なんかね、軍事オタクだからもっと歴史も知っているかと思っていたんです。ところが全然知らない。
【西村】 彼ははただの兵器オタクですよ。それに、北朝鮮問題でも非常におかしな姿勢を見せている。拉致議連の会長だったことが信じられません。
【田母神】 昨年、私が東大の五月祭で、「極東の軍事情勢と21世紀における我が国の針路」というテーマで講演したとき、石破氏は「空幕長、中国が脅威だとか言わないでください」「東京裁判史観を真っ向から批判しないでください」って、紙に書いてよこしたからね。「ああ、この人はちょっと変だな」って思いましたよ。
【中山】 東京裁判史観を完全に刷り込まれているんだね。
【田母神】 「文藝春秋」の09年1月号に、石破氏が文民統制について寄稿しているんですが、私はそれを読んで本当にガッカリしました。彼はまず消極的な意味で、「文民統制とは、軍がクーデターを起こさないように見張っておくことだ」と、書いているんですよ。石破氏は防衛庁副長官、防衛庁長官をやって、防衛大臣にもなっているのに、我々自衛官をそんな目で見ていたのかと思うと、本当に悲しかった。自衛官は、暴力革命は絶対にダメだと徹底的に教え込まれていますし、暴力でこの国を変えたいなんて、一切考えていません。彼はね、さらに「田母神幕僚長は今回越えてはいけない一線を越えてしまった」とか述べてますが、歴史認識を述べることが越えてはいけない一線なのでしょうか。
【西村】 石破氏は、自衛隊を国の軍隊ではなく共産国のように党の軍隊だと思っているのか。あるいは、アメリカを非常に恐れているような気がします。
──しかし、中には偏った思想を持つ自衛官もいるのでは?
【田母神】 調べたことがないのでわかりませんが、まあ、いるかもしれないですね。
【西村】 僕なんかは、そういう過激な保守の自衛官がいてほしいと思いますけど(笑)。
【中山】 たとえいたとしても、クーデターを起こすほどの大勢にはならんでしょう。むしろ自衛官の士気が低下するほうを心配しますよ。
【田母神】 クーデターとなると、相当数の人員が必要です。だから、そんなことは絶対に起こりません。それに、私だってゴルフとか、来週、再来週までの予定が入ってるんですから、クーデターなんてやってられませんよ(笑)。
(続きは「サイゾー」2月号で/構成・遠藤麻衣)
田母神氏の近著。
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