耳毛、ヨウジ、ループタイ…おやじの真髄を一冊に
#サブカルチャー
”ちょいワル”に”カレセン”と、ここ数年おやじが人気だ。しかし、”オトナの男”が女子の心をつかむのはわかるが、それは本当の「おやじ」とは違うんじゃ?
そんな状況にアンチを標榜するかのように、”本当のおやじ”を蒐集したイラスト集『おやじがき』(にんげん出版)が出版された。著者はイラストルポライターの内澤旬子さん。登場するおやじの数は、なんと71人!
「最初は『こんなおやじがいた』っていうのを、揶揄するような気持ちで描いてたんですけど、そのうちこちらも歳とってきて、『おやじ』『おばさん』と呼ばれる側になって。気がつくと、同年代男子は努力して『おやじ』になるまいとしている人ばかり。そっちのほうが見苦しいと思うんですよ。このままだと潔くすすけたおやじが絶滅していくのかなぁと」(内澤さん)
1999年の夏コミ、冬コミで出したコピー本に、書籍化に当たって大幅加筆をしたという本書。「すだれ」(頭頂部の髪が流れている様子)、「のりほお」(あごなのか頬なのか、はっきりしない部位がぐんにゃり襟にのる様子)など、特徴をとらえたスケッチには、「おやじってこういう生き物だよなぁ」と、あらためて思わされる。それにしても、今の20代がこんなふうになるのが想像できない! 一体人はいつから”おやじ”になるんだろうか?
「うーん……それがわからなくなってるから、若く見せようとしたり、皆あがいてるんだと思いますよ」(同)
本書に登場するおやじたちは、ラクそうで、幸せそう。読者諸兄も、潔くすすけてしまっては?
(編集部/「サイゾー」2月号)
●『おやじがき』
コミケで販売したコピー本を持っていたことが縁で、本書の帯は辛酸なめ子さんが書いている。「なめ子さんの帯の文中に、『男は枯れるのではなく、煮詰まってゆく』という一文があるんですが、まさにその通りですよね」(内澤さん)
発行/にんげん出版 価格/1365円(税込)
●うちざわ・じゅんこ
1967年、東京都生まれ。イラストルポライター。現在、朝日新聞朝刊にて連載中の「徒然王子」(島田雅彦)の挿絵を手がけている。著書に『世界屠畜紀行』(解放出版社)、『センセイの書斎』(幻戯書房)など。〈http://d.hatena.ne.jp/halohalo7676/〉
明日はわが身。
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