洋邦ともに不調の正月映画…『007/慰めの報酬』に期待
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今年の正月映画の興行収入は『ウォーリー』が約40億円の見込みでトップとなるようだ。同作は作品評価も高いが、一方でキアヌ・リーブス主演の全世界同時公開の洋画大作『地球が静止する日』は、フタをあけてみると作品の出来も評判も芳しくない。興行成績でいえば『ウォーリー』に次ぐ二番手くらいにつけそうだが、それでも25億円くらい。
一方の邦画では『K-20 怪人二十面相・伝』は評判こそそれなりなものの、興収は10数億円程度と、どうも今年の正月映画はどれもパッとしない。もちろん興行成績ですべてをはかれるわけではないが、作品評価の高さと興行の盛り上がりがリンクした作品がこれといってなく、観客としてもいまいち消化不良だったのではないだろうか? そんな人にお勧めしたいのが、今週末に全国で先行上映が行われる『007/慰めの報酬』だ(封切りは24日から)。
映画について詳しい説明は不要と思うが、英国諜報機関MI6の諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描いたシリーズの最新作である。2006年に公開された『007/カジノ・ロワイヤル』から新たにジェームズ・ボンド役に就いたダニエル・クレイグ主演のシリーズでいえば2作目。初代ボンド役のショーン・コネリーが主演した1962年の『007/ドクター・ノオ』から数えると22作目となる新作だ。
近年、荒唐無稽な路線になりつつあった『007』シリーズだが、ダニエル・クレイグがボンド役になった前作『カジノ・ロワイヤル』から再びリセットされた。ボンドが超人的なスパイではなく、あくまでひとりの人間として苦悩し、成長する姿が描かれおり、本作でもその姿勢を踏襲。
というのも今回の『慰めの報酬』は、『カジノ・ロワイヤル』から直接続く物語で、これまで1作ごと完結してきた『007』シリーズにおいて、初めて”続編もの”となっているからだ。前作のラストで最愛の女性ヴェスパー・リンドを失ったボンドが、彼女を背後で操っていた男たちを追う。すると、そこには謎の巨大な組織の存在が。ボンドは、殺された両親の報復を誓う女・カミーユと任務の途中で出会い、共闘することになるが……。
前作の1時間後ということ設定なので、『カジノ・ロワイヤル』を事前にチェックしておけば、より楽しめる。
また、シリーズ全22作中でも最も短い106分という上映時間ながら、アクションがてんこ盛り。のっけからアストンマーチンによるド迫力のカーチェイスで始まり、シエナ(イタリア)の市街地で繰り広げられる肉弾アクション、さらにはボートや飛行機を使った水上、空中でのアクションまである。
陸・海・空で縦横無尽に繰り広げられる生身のアクションや、そのたびに傷だらけになるボンドの肉体的な”痛み”は、彼があくまで一人の人間であることを文字通り観客にも痛感させる。それによりCGばかりの映画や、重力を無視したワイヤーアクションとは一味違う迫力と緊迫感を伝わってくる。加えて、先述の通り、前作から引き続き描かれるボンドの人間的成長と苦悩もあり、謎の組織をめぐるサスペンスもありと、内容も充実。
正月映画がいまいち盛り上がらなかったという人は、この『007/慰めの報酬』で満腹感を味わってもらいたい。
(eiga.com編集部・浅香義明)
作品の詳細は以下より。
『007/慰めの報酬』
『007/慰めの報酬』映画評
前作はこちら。
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