藤原紀香の「顔」は誰のもの!? “音事協”に聞く肖像権の行方(後編)
#アイドル #出版 #インタビュー #著作権
出版物たち。ところで音事協とは長く対立関係に
あったコアマガジン「BUBKA」(12月号)の表紙
に中川翔子(音事協の中心的事務所・ワタナベエ
ンターテインメント所属)が、事務所承認のもと
登場。何があった!?
──そのほか、タレントの肖像権を考える上で、インターネットは無視できませんが、前述された通り、音事協としては手が回らない状況ですか?
【音】 個人のHPやブログに関してはそうですね。個別のプロダクションで対応はしていても、音事協としてはできていない。今は動画を重点的にチェックして、テレビやDVDなどのタレントの映像が無断で動画サイトなどに転載されているときは、業者と連携して削除するという作業は行っています。
──ただ、YouTubeなどに無断転載された動画が、新人タレントにとってはいいプロモーションになっているという現実もありますね。
【音】 これも、会員社によって温度差はあります。プロダクションによっては、今は露出を高めたい時期だから、この程度の肖像使用は見過ごそうと思うところもあるでしょう。やはり、物差しはあってないようなもの。ただ、動画の出元であるテレビ局などに対しては、「違法行為をされていると思いませんか? 著作権者として、しっかり管理しませんか?」と言い続けています。それと、プロダクションの思いとしては、ネットというメディアが、他のメディアのコンテンツを流用するだけのメディアになってほしくないというのはあります。もっとネットオリジナルのタレントの生かし方とかが出てきて、プロモーションメディアとしても、タレントに対価が落ちるメディアとしても機能してほしい。ネットは困り者のところもあるけど、芸能界にとっては期待も大きいんですよ。結局、出版にしても、ネットにしても、作り手の意志というか大義があるかどうかが、音事協の会員社が付き合う相手としては重要だと思うんです。タレントのお宝写真や悪口を並べて、人のふんどしで金儲けしようというメディアには、厳しい対応をしたくなる。反対に、強い意志のもとに行われていると感じられる批判や報道に関しては、タレントにマイナスになることがあっても許せるものが多い。決して、ヨイショばかりするメディアを望んでいるわけじゃないです。結局は、生身の人間同士がタレントという人間を扱うわけですから、お互いの気持ちを理解して、かつ共存共栄を目指すということが大事だと思うんです。
* * *
この取材で明確になったのは、音事協が「何をもって肖像権パブリシティ権侵害」を訴え出るかということについては、使用様態によりケースバイケース、”明確な統一規定はない”ということだ。「ブブカスペシャル」裁判のように高額の賠償金が認められたり、かつて、雑誌にアイコラを掲載したミリオン出版の社長らを名誉毀損罪で刑事告発し、逮捕にまで導いたという過去があるため、メディア側からしてみれば、音事協を恐れている面もあることは事実だろう。そのため、本文でも指摘した通り、メディア側による過剰な表現規制が危惧される。だが、現実は、音事協に警告を受けては平謝りをしておいて、時間がたったら、再度同じことを繰り返したり、写真の扱いを小さくして誌面の印象を変えたり、写真に目線やモザイク、マスク処理をしたりと、したたかな対応を見せているメディアも少なくない。
あるお宝雑誌編集者は「どうせイタチごっこになるのだから、自由に肖像を使用させることを前提に、雑誌の売り上げの数パーセントを音事協が徴収し、タレント側に分配するような仕組みを作ればいい。協定書を結んで、いちいち許可を取っていたら、何日も待たされて締め切りに間に合わないし、待たされた挙げ句、許可が下りなかったときが大変だ」という。もちろん、音事協にとっては肖像使用によって対価を得るのが第一義ではなく、肖像使用のされ方をコントロールしたいという意向が強いのだから、この言い分は受け入れられるものではないだろう。だが、今後、黙っていても、タレント側にとっては歓迎されざる肖像使用がネット上には氾濫していく。一方で、読者の雑誌離れも食い止めようがない。そうした流れの中で、芸能界と雑誌を中心とした芸能メディアが共存共栄していくための新たな関係性の構築が求められているのは確かだ。
ちなみに、本誌としては、プライベート写真やお宝写真、ゴシップ記事などから見えるタレントたちの人間模様があってこそ、芸能という世界が、より深みや彩りを持つと思うのだが……こんなことを言ってると、音事協からイエローカードを出されてしまうかも!?
(編集部/「サイゾー」1月号より)
実際、訴訟になったら……。
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