B級スポット…じゃなかった!!『かまぼこ博物館』の超A級展示
#退屈巡礼
思いのほか盛りだくさんで充実の内容。
この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。新年一発目の第八回は、ゆる~い心持ちで小田原の『かまぼこ博物館』へ。ところがココ、MoMAかと見紛うような超豪華な展示物が飾られていたのでした。(館内の様子はこちらから)
そろそろ皆さんお正月気分も抜けた頃だとは思いますが、いちおうこの連載の年明け第一弾ということで、新年っぽいムードでかつ脱力できそうなところを探していたところ、気になるところを発見しました。その名もズバリ、「かまぼこ博物館」。おせち料理に必ず入っているわりには「子孫代々繁栄しますように」とか「まめに過ごせますように」といった語呂合わせ的なものがあるわけでもなく、ちょっと控えめな存在感が非常に愛おしく感じる(豪華なおせちだとえらく派手な飾り切りにされている場合もありますけど)かまぼこですが、そんなかまぼこオンリーの博物館があると聞けば、この連載としては見逃すわけにいきません。
ところが行ってみてビックリ! 「どんだけ地味な博物館なのか」と脱力と退屈を求めて向かったのに、地味どころか充実しまくりの博物館なんですよコレ。全然「退屈巡礼」じゃない! なので、今回は普通に「オススメ穴場スポット」になっています。がっかりぶりを期待されている読者の方には申し訳ございません。
この「かまぼこ博物館」は、小田原にある老舗のかまぼこメーカー「鈴廣」が運営する博物館。でも、よくある企業系ミュージアムのように「ほとんど物販じゃん!」ということもなく、余裕が感じられる構成に好感度アップです。1階はかまぼこの歴史や、科学的側面から見たかまぼこなど、まさに「かまぼこのすべて」が学習できるコーナーからスタート。……と、このあたりはまだ予想の範囲内でしたが、最も広いスペースをとってある「かまぼこ手づくり体験教室」がまず想像以上の楽しさ。職人さんの指導でかまぼこやちくわを作るのですが、作業工程はわくわくするうえ、焼きたてのちくわや作ったばかりのかまぼこってめちゃくちゃ美味! 今までちょっと軽く見ていてごめんなさい!と全力で謝りたくなるほどの味でした。(体験教室は当日申し込みもできますが、満員の場合もあるので事前予約をオススメ)
さらに予想外だったのが、2階にある「板絵ギャラリー」。かまぼこ板に描かれた小さな作品のギャラリー……と聞くと、これまた正直なところショボいものかと思っていたんですが、収蔵されている作家の豪華さがハンパじゃない! 手塚治虫に石ノ森章太郎、ちばてつや、赤塚不二夫、水木しげるなど漫画界の超大御所から村上隆、横尾忠則、日比野克彦、リリー・フランキーといった現代アートやイラストの人気作家まで、日本を代表するアーティストの作品がズラリ(ただし、展示されているのは収蔵作品の一部なので、ここに挙げた作家の作品が必ず見られるわけではないのをご了承ください)。もう、本当に脱力を期待したりしてすみません! 近くにある「鈴なり市場」では買い物やイートインも楽しめ、まさかかまぼこで1日たっぷりエンジョイできるとは……。
というワケで、「退屈巡礼」という連載コンセプトからはやや逸脱してしまいましたが、まぁ、退屈を楽しむつもりで探さなければ個人的には一生スルーしていたかもしれないのでお許しを。ミュージアムショップには、期待通りのゆるキャラやオリジナルかまぼこソングのCDもあったので、そちらが好みの方はお見逃しなく。
ここのみ有料ですが、これなら十分にその価値はあり。
思いきや、予想をはるかに超えるハイレベルなコレクション。
作品はファン垂涎のものが多数あり。
いくら払ったんだ!?
オリジナルのゆるキャラやかまぼこストラップなど、
この連載的には期待通りのグッズが多数。
●ご利用の心得
・かまぼこをバカにしてる人にこそオススメ! 見方が変わります
・体験コーナーはかなり時間がかかるので、余裕をもったご計画を。
・ギャラリー目当ての方は、事前に展示作家のご確認を。
●あまり親切でないご利用案内
■開館時間 午前10時から午後5時
■休館日 年末年始の他は無休
■入館料 無料
(手づくり体験教室は有料)
■住所 神奈川県小田原市風祭245
■アクセス 箱根登山鉄道・風祭駅下車徒歩2分。もしくは小田原駅よりタクシーで約10分。車の場合は小田原厚木道路 箱根口出口より国道1号沿いすぐ。
■HP http://www.kamaboko.com/odawarakanko/sato/museum/
(取材・文/大黒秀一)
●連載「退屈巡礼」INDEX
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